税務・会計

新型コロナウイルスの資金繰り対策で使える給付金・貸付・融資まとめ

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で、売上が激減し、資金繰りが厳しい会社が多いです。政府は多くの新たな貸付制度、給付金制度をもうけ、企業が新型コロナウイルス禍を乗り越える手助けをしています。

陰鬱なニュースが多く、テレビや新聞などの報道を見ると不安が倍増することと思います、

一方で、国が、この新型コロナウイルス感染症についての経済対策として108兆という過去最大規模の対策の準備をしていることが発表されました。いずれも、会社が生き延びるための資金調達策として役立つものです。

今回は、新型コロナウイルス感染症の影響によって経営状況が悪化している会社に向けて、資金繰り対策で使える給付金・貸付・融資の各制度について、弁護士が解説します。

まだ概要のみの発表にとどまり、具体的な要件・効果・手続きなどが詳細には明らかにはなっていないものについては、2020年4月20日時点の情報に基づいて記載しています。

「新型コロナウイルスと企業法務」まとめ

 解説協力税理士


岡本道雄税理士事務所
税理士 岡本道雄(おかもとみちお)

一橋大学経済学卒業。政府系金融機関にて法人営業を担当し、その後世界四大会計事務所の一角を占める税理士法人に税理士として勤務(その間6ヶ月大手証券会社に常駐)。平成30年4月四ツ谷駅の傍で税理士事務所を開業。

「融資・貸付」に関する弁護士×税理士対談(Youtube)

「給付」と「貸付」を区別する

まず、新型コロナウイルスの感染拡大を乗り切るための資金繰りを考えるにあたっては、「給付」と「貸付」の区別をすることが重要です。

「給付」は、その名の通り、「そのままもらえるお金」であり「返済不要」という意味です。これに対して「貸付」は、将来返済をしなければなりません。「貸付」は、「ローン」「融資」ともいいます。

「貸付」の制度は、新型コロナウイルス感染症の影響下で、どれほどの特例措置が講じられていたとしても、結果として将来返さなければならないものですから、借りることにはメリットだけでなく一定のリスクがつきまといます。

今回解説する資金繰り対策にも、返済をしなくてもよい「給付」の制度と、返済が必要となる「貸付」の制度の両方があります。

返済をしなくてもよい「給付」の制度だけで乗り越えられる会社はよいですが、とはいえ給付される金額はそれほど多くなく、会社の規模によっては「焼石に水」の場合もあります。この場合には、「貸付」の制度もあわせて検討していくこととなります。

利用できる制度は多くありますが、自社に合った必要かつ十分な制度の組み合わせを利用することで、よりリスク少なく、新型コロナウイルスによる苦境を乗り越えることができます。

参 考
新型コロナウイルスで倒産する会社が検討べき注意点・倒産回避策

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「給付」による資金繰り対策

第一に、「給付」による資金繰り対策について解説します。

「給付」による資金繰り対策に利用できる制度はいずれも、新型コロナウイルスによる経済への大きな打撃を理由として、今回あらたに作られた制度です。そのため、新型コロナウイルスによる影響を受けた会社では、積極的に利用することが推奨されています。

なお、「売上減少」などの要件に自社が該当するかが不明な会社は、顧問税理士に決算資料などをもらうようにしてください。

持続化給付金

持続化給付金は、新型コロナウイルスに関する経済対策として政府がもうけた制度で、売上が前年同月比50%以上低下した事業者に対して、法人は200万円、個人事業主は100万円を給付する制度です。

大企業以外の中小企業、小規模事業者、フリーランスなどを広く対象としており、株式会社だけでなく、医療法人、農業法人、NPO法人、社会福祉法人など多くの法人格を対象にしています。

給付額 法人は200万円、個人事業主は100万円
(ただし、昨年1年間からの売上の減少分を上限とする)
支給対象 新型コロナウイルスの影響により、昨年同月比で売上が50%<以上低下している事業者

新型コロナウイルスの影響下でも一定の売上をあげる努力をしていた会社であっても、2020年1月~2020年12月の間で、昨年同月比で売上が50%以上低下した月が1か月でもあれば、支給対象となります。

現在国会で審理中の補正予算が成立した後で、具体的な支給方法、支給日などが発表される予定です。

申請にあたって、行政に電子申請をおこなう際に税理士などが利用することの多い「GビズID」が不要であることが発表されました。このことは、弁護士・税理士・社労士などの専門家士業に依頼しなくても、困窮している会社が自身で申請できる簡易な手続きが予定されているのではないかと考えられます。



感染拡大防止協力金(東京都)

感染拡大防止協力金は、国の緊急事態宣言発令にともない、東京都がおこなった休業要請に協力した事業者に対しておこなう一定の補償を意味する給付金です。東京都の制度であり、東京都に事業所がある会社が対象となりますが、本店所在地は東京都外であっても対象となります。

現在のところ、飲食店に対する自粛要請は、「夜20時以降、朝5時までの営業をおこなわない」という時間短縮の要請となっており、これにしたがった飲食店もまた、感染拡大防止協力金の対象となります。日中のデリバリー、テイクアウトなどの営業をしていても、感染拡大防止協力金をもらうことができます。

新型コロナウイルス感染拡大への全面的な協力が必要であり、2020年4月16日から2020年5月6日までの全期間休業(もしくは時間短縮)をおこなう必要があります。

給付額 50万円
(2店舗以上有する事業者は100万円)
支給対象 「東京都における緊急事態措置等」により、休止や営業時間短縮の要請などを受けた施設を運営する中小企業及び個人事業主で、対象期間の全期間(2020年4月16日~2020年5月6日)休業などに全面的に協力した事業者
申請受付期間 2020年4月22日~2020年6月15日
申請に必要な書類
  • 協力金申請書(法人にあたっては「法人番号」を記入)
  • 営業実態が確認できる書類(確定申告書の写しのほか、直近の帳簿、業種に係る営業許可証の写しなど)
  • 休業の状況が確認できる書類(事業収入額を示した帳簿の写し、休業期間を告知するホームページ・店頭ポスターの写しなど)
  • 誓約書

「貸付」による資金繰り対策

次に、「貸付」による資金繰り対策について解説します。

「貸付」による資金繰りとして、特に重要なのが日本政策金融公庫の「新型コロナウイルス特別貸付」と中小企業庁の「セーフティネット保証4号・5号」です。その他にも、特別利子補給制度、経営安定関連保証、危機関連保証など、利用できる制度は多くがあります。

「貸付」による資金繰りをおこなうにあたって重要なことは、「貸付」の範囲で事業を再開することができるかどうかを見極めることです。

特に重要なことは「新型コロナウイルス特別貸付」と「セーフティネット保証4号・5号」により、おおむね6か月程度の運転資金を確保することができる点にあります。この間に事業を安定化できるかが重要となります。融資見込み額を具体的に計算することで、経営計画を立てることが必要です。

新型コロナウイルス特別貸付(日本政策金融公庫)

新柄コロナウイルス特別貸付は、日本政策金融公庫の管轄する、新型コロナウイルス禍によって新設された新たな融資制度です。

新型コロナウイルスの影響で売上が5%以上低下した事業者に対して、別枠かつ無担保、金利を一律として融資をする制度です。金利は基準利率にしたがうこととなりますが、最大3年間まで0.9%金利の引き下げを受けることができます。

また、一定の要件を満たせば、特別利子補給制度を利用することができ、この場合には借入当初の3年間は実質無利子となる予定です。

融資限度額 直接貸付 3億円(別枠)
支給対象 新型コロナウイルス感染症の影響を受け、次のいずれにも当てはまる方
1. 最近1ヵ月の売上高が前年または前々年同期に比し5%以上減少していることまたはこれと同様の状況にあること
2. 中長期的にみて、業況が回復し、かつ、発展することが見込まれること
資金使途 新型コロナウイルス感染症の影響に伴う社会的要因等により必要とする設備資金および長期運転資金
利率 基準利率。ただし、1億円を限度として融資後3年目までは基準利率-0.9%、4年目以降は基準利率

上限は3億円とされていますが、実際にはどのような会社でも3億円貸してもらえるわけではなく、会社規模(運転資金など)による審査を受けることとなります。

おおむね、下記のセーフティネット保証との組み合わせで「運転資金の6か月分」程度が目安となります。つまり、6か月の間に事業を軌道に乗せることができることが前提とされています。ただし、新型コロナウイルス禍がいつ終息するかの先行きは見通せておらず、今後も特例措置が講じられる可能性があります。

なお、申請は日本政策金融公庫の各支店でおこないますが、申し込み増加にともない混雑が予想され、審査にも一定の期間を要する状況となっています。

セーフティネット保証4号・5号(中小企業庁)

セーフティネット保証は、中小企業信用保険法という法律に定められた貸付による融資制度です。さまざまな理由で経営が安定していない事業者に対する貸付をおこないます。

このセーフティネット保証のうち、新型コロナウイルス禍で注目されているのが「4号:突発的災害(自然災害等)」「5号:業況の悪化している業種(全国的)」の2つです。

それぞれ、大規模な自然災害(4号)であることを理由に売上が前年比20%以上低下した事業者、全国的に業況が悪化している業種(5号)であることを理由に売上が前年比5%以上低下した事業者が対象となります。

セーフティネット保証を受けるためには、事業所の住所地を管轄する市町村長又は特別区長の認定を受ける必要があります。



「企業法務」は、弁護士にお任せください!

今回は、新型コロナウイルス感染症拡大にともなう資金繰り対策として用意された「給付」「貸付」の制度について、弁護士が解説しました。

多くの制度がありますが、新型コロナウイルスの影響でひっ迫している事業者には多くの時間は残されていません。特に重要で、最優先で検討すべきものは「持続化給付金」「感染拡大防止協力金」「新型コロナウイルス特別貸付」「セーフティネット保証4号・5号」の4つです。

ただ、資金の必要性・緊急性の度合い、必要の資金額など、会社の状況に応じて、どれを組み合わせて乗り切るべきか、適切な回答は会社によって異なります。

まだこれから発表される情報もありますので、新しい情報が出たら、随時更新していきます。

「新型コロナウイルスと企業法務」まとめ

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