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健康経営とは?具体的な事例・ケースを弁護士が解説!

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健康経営についての認知は、近年かなり向上しています。

しかし、実際に「健康経営を促進したい。」と考えた会社が、どのような取り組みをしているのかは、まだあまり浸透していないかもしれません。また、他社事例も、効果のほどは定かではありません。

そこで今回は、会社経営者の方が気になる、健康経営の実際の事例やケース、対応策、利用できるサービスなどについて、弁護士が解説します。

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健康経営とは?

健康経営とは、「従業員の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に実践する経営手法」のことをいいます。

従業員の健康と安全を考えることは、「安全配慮義務」を負う会社側(使用者側)としては当然のことですが、「コスト」としてマイナスにとらえるのではなく、経営にプラスにつなげることが健康経営の重要なポイントです。

企業理念を確立し、従業員の健康への配慮を、「未来への投資」と考えることにより、従業員の活力、やる気の向上、業務効率と生産性の向上につなげ、ひいては会社全体の業績向上を狙うことができます。

従業員の健康というと、「健康診断を行わなければならない、時間がもったいない」などとマイナスにとらえてしまいがちな経営者も多いかもしれませんが、健康経営はこれと真逆の考え方なのです。

会社の組織を活性化させるためにも、「従業員一人一人に配慮し、大切にする」ことが重要な時代となっています。

健康経営で実践している、具体的な取組み・ケースは?

健康経営の定義を理解していただいたところで、健康経営を実践するために、具体的にはどのような取組みをしたらよいのか、他社のケースなどを踏まえながらご紹介していきます。

健康経営の理念のすばらしさに共感できる会社は、ぜひ、具体的な対策についても、小さな一歩から検討を進めてみてください。

健康診断の受診

会社は、労働安全衛生法(労安衛法)という法律によって、雇用している労働者に対して、定期的に健康診断を受けさせる義務を負っています。

しかし、健康診断を受診しなくても労働者側には罰則がとくにないことや、会社の理解不足によって、健康診断の受診率は、必ずしも高くありません。

そこで、健康診断を、雇用する労働者に必ず受けさせ、健康診断の受診率を100%にすることが、健康経営のための具体的な取組みの1つになります。

多忙を理由に面倒くさがる社員に対して、健康診断を必ず受けてもらうためには、啓発と意識付け、費用負担などがポイントです。特に、人間ドックなど高度な健康診断の費用を負担することは、健康経営にとって効果的です。

参 考
会社が行うべき健康診断の義務と内容(時間・費用など)

会社は、その雇用する労働者に対して、「健康診断」を受けさせなければならない義務を、「労働安全衛生法」によって負っています ...

労働時間の適正化

健康で安全にはたらくためには、労働時間を適正な時間に保つ必要があります。「月100時間残業」などの長時間労働では、健康を保持することができません。

長時間労働によって健康を崩してしまい、脳卒中、心臓疾患、うつ病などのメンタルヘルスにり患してしまった場合、会社は「安全配慮義務違反」の責任を負い、慰謝料など損害賠償責任を免れません。

従業員の労働時間を把握し、労働時間を適正な範囲に抑えながら、かつ、短い労働時間であってもこれまでと同様の成果を出せるしくみをつくることが重要です。

「ノー残業デー」、「短時間勤務」、「在宅ワーク」など、労働時間の適正化のために導入を検討できる制度によって、健康経営を推進してください。

禁煙・分煙の推奨

タバコには有害物質が多く含まれており健康に悪いことは、周知の事実です。特に、非喫煙者にとって、職場での受動喫煙による健康被害のトラブルは、とても深刻です。

そのため、職場内の禁煙や、少なくとも分煙を進めることが、健康経営の具体的な取組みとして重要です。

参 考
職場の受動喫煙防止対策と、喫煙トラブル予防のための会社の義務

「受動喫煙」が、社会的に問題視されています。 「受動喫煙」は、自分が喫煙者でないにもかかわらず、喫煙者の煙を吸う(受動喫 ...

スポーツイベントの実施

従業員に対する福利厚生として、スポーツイベント(運動会、ピクニック、マラソン大会など)を会社が主催することも、健康経営の1つの取り組みケースです。

スポーツイベントを会社が実施する際には、従業員に対して参加を強制するのであれば、そのイベントに参加している時間が「労働時間」となることに注意が必要です。

健康経営を会社全体の理念としていても、「スポーツイベントに参加したくない」という社員にも配慮が必要だからです。「労働時間」が「1日8時間、1週40時間」を超える場合には、残業代を支給する必要があります。

また、スポーツイベント中の怪我が、業務上災害として「労災」になる可能性があることにも注意が必要です。

メンタルヘルスへの配慮

健康経営というときの「健康」の中には、「肉体的な健康」はもちろんのこと、「精神的な健康」も含まれます。

職場でのストレスが原因で、うつ病、抑うつ症、適応障害などの精神疾患にかかってしまうようでは、健康経営の実践は不十分といわざるをえません。

従業員の「精神的な健康」すなわちメンタルヘルスに配慮するために、労働安全衛生法で義務化された「ストレスチェック」を毎年実践することから、健康経営をはじめてください。

職場環境の改善

その他の細かい点でも、職場環境を改善していくことで、健康経営を進めていくことができます。労働者が働きやすい環境を提供することに注意してください。

例えば、職場における温度・湿度を適正に管理することや、希望者へのバランスボールの支給などを行う具体的なケースがあります。

健康経営を促進するメリット

健康経営を促進することは、働いている労働者にはもちろんのこと、会社にとっても多くのメリットがあります。従業員の健康は、従業員だけのものではなく、会社にも役立つわけです。

最後に、健康経営を促進していただくことで会社側(使用者側)が得られるメリットについて、弁護士が解説します。

従業員の定着率が向上する

健康経営を実践することは、従業員に対する会社の福利厚生を増進させることを意味しています。

そのため、健康経営を正しく進めていけば、従業員の会社に対する満足度が向上します。このことは、健康経営をしていない他社への人材流出を防止することができ、従業員の定着率が向上します。

離職率を低下させて「人手不足」を解消するために、健康経営がとても効果的だということです。

参 考
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深刻な人手不足が続いており、大企業はもちろん、中小企業、ベンチャー企業、スタートアップ企業でも、「優秀な人材がほしい」と ...

従業員の健康意識が高まる

長時間労働が横行し、過労死・過労自殺などが起こってしまう「ブラック企業」では、会社が労働者に対して厳しいのはもちろんのこと、労働者もまた、無理しがち、我慢しがちです。

健康経営の理念を、従業員にも浸透させることによって、従業員の健康意識が高まり、より効率的に、かつ、自発的に仕事を進めてもらうことが期待できます。

社員自ら、労働時間を適正に保ち、適度に有給休暇を取得して、ワークライフバランスを自ら保つ意識を向上できるわけです。

あわせて、ジム通い、ウォーキング・ランニングなどの趣味を通じて、従業員同士のコミュニケーションが活性化し、助け合える良い職場環境を構築できることも、健康経営のメリットの1つです。

生産性・業績の向上

従業員が健康に働くことによって、作業効率が上がって生産性が向上し、ひいては、会社の業績アップにつながります。

また、健康経営を理念としていることは、企業自身のブランドイメージを高めることにもつながります。

健康経営をおこなっている先進的なベンチャー企業・スタートアップ企業が、「健康経営銘柄」と呼ばれて、株式市場などでも注目を集めています。

メディアなども注目する健康経営の具体的な事例となれば、メディア露出による広告宣伝効果も高く、優秀な人材の採用にもつながります。

「人事労務」は、弁護士にお任せください!

今回は、近年話題となっている「健康経営」をお考えの会社経営者の方に向けて、「健康経営」を進めるためには、具体的にどのような方法があるのかについて、解説しました。

健康経営を適切に進めるためには、「それがどのような意味で会社のためになるのか」という経営的な視点だけでなく、「長時間労働による残業代」、「安全配慮義務」などの法律的な視点がポイントとなります。

流行だけに流されることなく、健康経営をお考えの方は、ぜひ一度、どのような手法が有効かについて、企業法務の経験豊富な弁護士にご相談ください。

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