司法書士の年間合格者数は、700~800人程度で毎年推移していて、弁護士よりも合格者数が少ないといえます。
司法書士の業務というと、「不動産登記」、「成年後見」が代表的ですが、弁護士とタッグを組むことによって、企業法務全般に力を発揮する司法書士も増加しています。
当事務所でも、企業法務に強い司法書士とパートナーを組むことによって、お悩みを抱えた会社経営者様に、「かゆいところに手が届く。」サービスを提供しています。
弁護士も司法書士も、「法律の専門家」という意味では、専門家以外の方からすれば同じように見えます。どのような住み分けがされているのか、どの業務を誰に頼めばうまくいくのか、理解するのは困難でしょう。
今回は、企業法務を得意とする司法書士の仕事と、弁護士との役割分担について、企業法務を得意とする弁護士が解説します。
「顧問弁護士」の法律知識まとめ
目次
司法書士の本来的な業務
司法書士が昔から代表的な業務として行ってきたのが「不動産登記」です。
しかし、バブル経済が崩壊し、不動産登記業務だけでは司法書士事務所が維持できないケースも少なくありません。
一方で、少子高齢化が進行したことから、高齢者が増加しており、「成年後見」「民事信託」などの新しい業務を得意とする司法書士も増加しています。
司法書士の行う企業法務
本来的な業務が縮小する傾向にある一方で、企業法務分野に業務を拡大する司法書士が増加しています。
企業法務を得意とする司法書士は、商業登記が司法書士の業務であることから、これに加えて、資金調達、企業買収(M&A)や、これに伴う書類作成、制度構築などを得意としているケースが多いといえます。
また、事業閉鎖、会社の清算などのタイミングでも、手続きを進めるためには、法的知識の理解と、多くの書類作成が発生するため、司法書士がこの役割を担っているケースがあります。
弁護士が行う企業法務との違い
「企業法務」というと、やはり弁護士のイメージが強いのではないでしょうか。
司法書士が企業法務を行うことができるといっても、争いとなった場合に行うことのできる業務は大きく異なります。
具体的なトラブルが発生した場合、司法書士の扱うことのできるトラブルは、その経済的利益が「140万円以下」の事件に限定いるからです。
つまり、たとえば「取引先の債務未払い」というトラブルが発生した場合、その債権の金額が140万円を超える場合には、司法書士が取り扱うことができず、弁護士に依頼することとなるという意味です。
この点から、通常時においても、トラブルになった後のことを見据えた適切な予防法務を行う役割を期待するのであれば、司法書士よりも弁護士の方が適切であるといえます。
中小企業の法務戦略は、弁護士・司法書士のタッグで
「顧問弁護士」というと、大規模な企業をイメージされる会社様が多いかもしれません。
しかし、日本の起業の99%は中小企業であり、むしろ中小企業の方が、トラブルの芽を見逃すおそれが高く、日常的に法律相談ができる顧問弁護士を用意しておく必要性が極めて高いといえるのではないでしょうか。
企業をとりまく法律は年々変化しており、これらの法律知識や裁判例を、会社の経営を行いながら、会社経営者様が追いかけていくことには限界があり、専門家によるアドバイスが有効です。
トラブルとなりそうなケースに関する法律相談、予防法務を顧問弁護士に担当してもらい、細かな書類作成、制度構築を司法書士に担当してもらうという役割分担が、中小企業における法律専門家に対する関わり方としてオススメです。
弁護士、司法書士が協力する企業法務の成功例
「企業法務」と一口にいっても、その範囲は非常に広いといえます。
一般的にいうと、平時の予防法務、戦略法務から、トラブルとなった際の紛争解決までの全般を「企業法務」と呼びます。
この中でも、弁護士と司法書士が協力して担当する企業法務の成功例は、平時の予防法務、戦略法務にあります。
例えば、次のようなケースです。
会社設立
会社を設立し、登記すること、登記事項を変更することは、司法書士が担当します。
どのような会社を設立したらよいのか、会社設立にメリットがあるのか、また、新規ビジネスを行う場合には、そのビジネスを適法に行うにはどうしたらよいのかといったポイントについて、弁護士、司法書士が協力して法律相談にあたります。
登記事項の変更
一旦会社を設立したとしても、その後の経営状況、社会情勢などによって、登記事項を変更したいということも多くあります。
例えば、役員変更、目的変更、資本増加などです。
これらの具体的な手続きを司法書士が担当すると共に、どのような資本政策とすべきであるのかといった戦略法務について、弁護士、司法書士が協力して法律相談にあたります。
「企業法務」は、弁護士にお任せください!
以上の通り、企業法務を得意とする司法書士を頼むメリットは、中小企業にとって非常に大きく、また、企業法務に精通した顧問弁護士を依頼し、役割分担をしていく効果は大きいです。
当事務所では、顧問弁護士としてお手伝いさせていただく会社様に対し、適切なタイミングで企業法務を得意とする司法書士をご紹介することで、より戦略的で充実した法務サービスを提供できるよう努めております。
「顧問弁護士」の法律知識まとめ