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日中社会保障協定の発効(2019年9月1日~)と会社側の対応

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いわゆる「日中社会保障協定」が、2019年9月1日より発効します。正式名称を「社会保障に関する日本国政府と中華人民共和国政府との間の協定」といいます。

社会保障協定は、保険料の二重払い防止、保険料の掛け捨て防止のために複数国間で締結する協定であり、日本も現在22か国と締結し、うち19か国が効力を有しています。

特に、海外派遣、海外転勤の多い会社は、社会保障協定の意味、派遣先国と日本との間に社会保障協定があるかどうか、について理解しておかなければなりません。

そこで今回は、2019年9月1日より効力が生じる、日中社会保障協定について弁護士が解説します。

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日中社会保障協定とは?

日中社会保障協定とは、正式名称を「社会保障に関する日本国政府と中華人民共和国政府との間の協定」といいます。

協定の効力発生のための外交上の公文の交換が、2019年5月16日、北京で行われました。これにより、2019年9月1日より、日中社会保障協定が効力を生ずることとなりました。

既に、日中韓の社会保障協定に関する書面は2018年5月に行われていました。

しかし、日本国内における条約の扱いとして「国会の承認」が必要要件とされており、日中社会保障協定もまたこの条約に該当します。そのため、署名から発効までには一定の期間を要します。

参 考

現在、日本は、アメリカ、イギリス、勧告、ドイツ等の22か国との間で、社会保障協定に署名をしています。

そのうち、19か国が、既に発効しています。署名済であるけれども未発効の社会保障協定は、イタリア、中国、スウェーデンとの間で締結されているものです。今回このうち、中国との間で締結された社会保障協定が発効します。

日中社会保障協定の目的は?

日中社会保障協定を含め、複数国間で締結される社会保障協定には、次の2つの目的があります。

ただし、日中社会保障協定では、次の2つのうち、「保険料の掛け捨ての防止」の機能は備わっておらず、「保険料の二重負担の防止」の機能が主要な目的となります。

保険料の二重負担の防止

社会保障協定がない国の場合には、海外派遣などの理由で長期滞在する人が、いずれの国の社会保障制度への加入要件を満たす場合には、2国のぞれぞれに対して社会保険料を納付する必要があります。

社会保障協定を締結することによって、締結した2国間で決めたルールに従って調整がなされ、社会保険料をいずれかの国のみに支払えばよいこととなります。

保険料の掛け捨ての防止

社会保障のうち、年金制度は、加入期間に応じた金額を将来に受け取ることができるのが原則です。

社会保障協定がない国の場合には、その加入履歴が通算されず、保険料の掛け捨てに等しい状態となってしまうことがあります。

社会保障協定を締結することによって、締結した2国間の社会保険の加入していた期間が通算され、その国の年金を受給できるようにすることができます。

ただし、イギリス、勧告、イタリア、中国との間での社会保障協定には「保険料の掛け捨ての防止」の機能はなく、「保険料の二重負担の防止」の機能のみしかありません。

日中社会保障協定の効果は?

これまで、日本と中国の両国の会社などから、相手国に対して一時的に派遣されていた労働者の場合には、日本と中国の両国において年金制度への加入が義務付けられる場合がありました。

この場合、例えば企業駐在員等の場合に、年金、社会保険料について、二重払いしなければならないという問題がありました。

日中社会保障協定は、この問題の皆生つのため、派遣期間が5年以内の一時派遣被用者について、原則として、派遣元となる国の年金制度のみに加入すればよいこととなりました。

例えば、日本の会社に雇用されながら、5年以内の期間だけ中国に派遣される場合、中国の年金制度への加入義務は免除され、日本の国民年金もしくは厚生年金に加入し続けることができます。

日中社会保障協定の発効によって会社側(使用者側)にとっても、保険料負担や事務手続きの負担が軽減されます。

「人事労務」は、弁護士にお任せください!

今回は、2019年9月1日よりいよいよ発効となる、日中社会保障協定の基礎知識、効果、注意点などを、弁護士が解説しました。

特に、日本からの中国への海外派遣者は増加しており、民間企業関係者の出向も増加しています。

日本企業の中国における競争力を増し、日本・中国間の人的交流が一層促進されることが期待される日中社会保障協定について正しく理解し、海外進出にお役立てください。

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