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人事労務

最低賃金の引上げ(2017年)と、活用すべき「業務改善助成金」

更新日:

平成29年度の最低賃金について、2016年の引上げに続いて更に引上げとなり、現行制度が始まった平成14年度以来、最高の引上げ額となりました。

平成29年(2017年)10月6日、山梨県を除くすべての都道府県で、地域別最低賃金の改定が発効されます。なお、山梨県の最低賃金の発効日は、10月14日となります。

毎年10月頃に行われる地域別最低賃金の改定ですが、最低賃金は、労働者の労働条件のうち、特に重要な「賃金」の最低額を定めるものですので、会社経営者としても、自社の労働条件が最低賃金を下回っていないかどうか、再チェックが必要です。

特に、最低賃金は時給制でなくても適用されることから、残業代を「固定払い」している場合など、正しい計算方法によって算出してチェックしなければなりません。「求人詐欺」とならないよう求人広告の改定も必要です。

今回は、2017年10月の最低賃金の引上げと、万が一賃金を引き上げなければならない場合に活用すべき「業務改善助成金」について、人事労務を得意とする弁護士が解説します。

1. 最低賃金の引上げ(2017年10月)

地域別最低賃金の改定は、毎年10月頃の風物詩です。

平成29年度(2017年度)の最低賃金もまた、8月中旬には各都道府県労働局に設置される地方最低賃金審議会の答申が出そろい、9月中旬には官報公示も出そろい、10月6日には改定の発効となります。

今年度の最低賃金は、全国加重平均額で848円(前年度は823円)であり、昨年度に比べ、25円の引上げとなっています。この引上げによって、東京、神奈川などのもともと最低賃金が高かった地域では、「時給1000円」が近づいてきています。

関東圏、主要都市の引上げ額は、次のとおりです。

都道府県 平成29年最低賃金 平成28年最低賃金 引上げ額
北海道 810円 786円 24円
宮城県 774円 748円 24円
東京都 958円 932円 26円
神奈川県 956円 930円 26円
千葉県 868円 842円 26円
埼玉県 871円 845円 26円
愛知県 871円 845円 26円
大阪府 909円 883円 26円
京都府 856円 831円 25円
兵庫県 844円 819円 25円
福岡県 789円 756円 24円

各地域とも、今年度は平均25円前後の引上げとなっていますが、最低賃金は、近年引上げの流れが続いています。

時給額で表示される現行制度がはじまった平成14年度の平均額は663円でしたが、昨年度に初めて800円を超えました。

政府は、中期目標として、毎年3%程度引き上げを行い、全国加重平均で最低賃金1000円を目指すことをかかげています。

今年度と同様のペースで、毎年3%ずつ引き上げられた場合には、2023年度(平成35年度)には、「時給1000円」となる計算です。中小企業、経営者の方にとっては、非常に重い負担となるでしょう。

2. 地域別最低賃金とは?

そもそも「地域別最低賃金」とは、どのようなものでしょうか。

会社に雇用される労働者の賃金額の最低額を定める「最低賃金」のうち、各都道府県ごとに定められているものが「地域別最低賃金」ですが、「最低賃金」にはもう1つ、特定の産業に従事する労働者ごとに定められている「特定(産業別)最低賃金」があります。

地域別最低賃金は、その労働者の職種にかかわらず、働いている地域のものが適用され、その都道府県で働く労働者の、もらえる給料の最低額を、時給によって定めています。

賃金が、労働者の生活を守るための非常に重要な労働条件であることから、地域別最低賃金よりも低い給与しか支払わない会社に対しては、「50万円以下の罰金」という刑事罰による制裁があります。

 注意! 

最低賃金は、正社員、アルバイトなどの雇用形態を問わず、すべての労働者に適用されます。派遣労働者は、「派遣先」の最低賃金が適用されます。

3. 給与引上げに活用できる「業務改善助成金」

2017年も引上げとなる地域別最低賃金について解説してきましたが、最低賃金は引き上げ傾向であることは、今後もしばらくは変わらないものと予想されます。

「時給1000円」ともなれば、給与を上げなければならないと頭を悩ませる中小企業の経営者の方も多いのではないでしょうか。人件費圧迫を少しでもおさえるためには、助成金の活用を検討しましょう。

3.1. 「業務改善助成金」とは?

最低賃金の引上げによって負担が大きくなってしまう中小企業や小規模事業者の方に対して、支援のために厚生労働省が設けているのが、「業務改善助成金」です。

「業務改善助成金」は、事業場内最低賃金が1000円未満の事業者を対象に、最低賃金を一定額以上引き上げた場合にかかった費用の一部を、上限200万円まで助成する制度です。

対象が「1000円未満の事業者」とされていることからも、政府が今後、最低賃金を1000円以上にすることを目標にしていることが見て取れます。

3.2. 助成金の支給要件

事業場内の最低賃金を1000円以上に引き上げるために、生産性の向上が重要であり、そのために設備投資やサービス利用などが必要となります。そして、「業務改善助成金」は、この生産性向上を実現するための費用の一部を助成する制度です。

「業務改善助成金」の支給要件は、次のとおりです。

  • 事業実施計画を策定すること
    :賃金引上計画(就業規則等に、賃金を引き上げる計画を記載します。)、業務改善計画(賃金を引き上げるための生産性向上や設備投資の計画を作ります。)
  • 事業場内最低賃金を引き上げ、その金額を支払うこと
  • 解雇や賃金引下げなど、不支給自由のないこと

また、「業務改善助成金」を受給する場合には、事業場内最低賃金を引き上げる金額によって「30円以上の引上げ」から「120円以上の引上げ」まで、5つのコースが容易されています。

生産性の向上を達成するためのサービスとして、人事労務を得意とする弁護士、社労士などの教育、セミナー、検収などを活用することができます。

4. 最低賃金引上げと、給与計算

以上のとおり、最低賃金は、ここ数年で大きく上昇していくことが予想されています。東京都では、平成24年には850円であったのが、平成29年には958円と、「12.7%増」と、大きく増額しています。

「時給1000円」という、働き方改革を推進している政府の目標も考えれば、この先も同様に、最低賃金は増額していくことが容易に予想されます。

今は最低賃金以上の給与を支払っているという中小企業も、気付いた頃には最低賃金を大きく下回っていたという事態にもなりかねないことから、常に注視し、給与改定をしていかなければなりません。

会社が給与計算をするとき、最低賃金以下になる可能性のある会社では、最低賃金の発効日(山梨県以外は10月6日)以降に発生する賃金では、引き上げ後の最低賃金を守らなければなりません。

したがって、賃金計算期間の最中に、最低賃金の発効日がある場合には、賃金計算期間の途中で時給額が変更となるケースが出てきますので、最低賃金ぎりぎりの給与の社員がいる会社では、注意が必要です。

 参考 

なお、賃金計算期間の途中で、時給額を変更することは、計算方法も複雑になりますし、最低賃金を上回っているかどうかをチェックしなければならない手間がかかります。

最低賃金の発効日を含む月の最初から、変更後の最低賃金を適用して「前倒して引上げ」を行うことは可能です。また、引き上げ後に、最低賃金との差額をまとめて支給することも可能です。

5. 最低賃金の引上げへの対応方法

最後に、最低賃金で労働者を雇用していた会社の経営者の方に向けて、この度の最低賃金引上げの際の、対応方法について、弁護士が解説します。

最低賃金で労働者を雇用していた場合や、残念ながら最低賃金以下の給与しか支払っていなかった場合には、弁護士のアドバイスなどを受けながら、給与引上げの対応をする必要があります。

5.1. 最低賃金の対象となる賃金

最低賃金は、会社から労働者に対して支払ったもの全てが対象となるわけではありません。

会社から労働者に対して毎月支払っている賃金のうち、次のものを控除したものが、最低賃金の適用対象となります。

  • 臨時に支払われる賃金(結婚手当など)
  • 1箇月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与など)
  • 所定労働時間を超える時間の労働に対して支払われる賃金(時間外割増賃金など)
  • 所定労働日以外の日の労働に対して支払われる賃金(休日割増賃金など)
  • 午後10時から午前5時までの間の労働に対して支払われる賃金のうち、通常の労働時間の賃金の計算額を超える部分(深夜割増賃金など)
  • 精皆勤手当、通勤手当及び家族手当

特に、所定時間よりも多く働かせている場合には、残業代(時間外割増賃金、休日割増賃金、深夜割増賃金)もまた、最低賃金を考える際に、検討しておかなければなりません。

違法に残業代を未払いとしているような会社ですと、最低賃金も正しく計算できないおそれがあります。

5.2. 最低賃金を超えているかの確認方法

適用対象となる賃金が、御社においてどのような費目となっているかを確認していただいたら、いよいよ、会社が労働者に対して毎月支払っている給与が、最低賃金を超えているかどうかを確認しましょう。

最低賃金をクリアしているかどうかの確認方法は、給与の支払方法によって変わります。注意していただきたいのは、「時給」によって最低賃金は定められていますが、「月給制」であっても「日給制」であっても最低賃金は適用されるということです。

  • 時給制の労働者のケース
    →時給が、最低賃金を超えているかどうか。
  • 日給制の労働者のケース
    →日給を1日の所定労働時間で割った額が、最低賃金を超えているかどうか。
    ※なお、所定労働時間は、「8時間以内」であることが必要です。
  • 月給制の労働者のケース
    →月給を1ヶ月平均所定労働時間で割った額が、最低賃金を超えているかどうか。
  • 歩合制の労働者のケース
    →歩合給を総労働時間で割った額が、最低賃金を超えているかどうか。
    ※なお、完全歩合給(フルコミッション)は、雇用している場合にとることはできません。

5.3. 給与引上げの方法

最低賃金は、例年、10月の途中から変更されることが一般的です。

そのため、会社の賃金計算期間の途中で最低賃金が変わる、という会社がほとんどでしょうから、これに合わせて10月の賃金計算が複雑化します。

最低賃金を下回ることはないよう、前倒しで給与を引き上げておく、という対応は可能です。例えば、次の通りです。

  • 25日締め、月末払いの会社のケース
    8月26日~9月25日の賃金(9月末支払):平成28年の最低賃金
    9月26日~10月25日の賃金(10月末支払):平成29年の最低賃金
  • 10日締め、25日払いの会社のケース
    9月11日~10月11日の賃金(10月25日支払):平成29年の最低賃金

6. まとめ

今回は、会社経営者、特に中小企業、小規模事業主が理解しておくべき、2017年10月の最低賃金の引上げと、給与引上げに活用できる助成金について、弁護士が解説しました。

地域別最低賃金は、今年度も平均25円程度引き上げられ、今後も当分の間は、増額されることが予定されています。

会社の給与制度について、最低賃金を超えているか不安な経営者の方や、人件費の効果的な削減方法にご興味のある経営者の方は、人事労務を得意とする弁護士に、お気軽に法律相談ください。

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