炎上とは、自社(ないし社員)のネット上の言動に対し、批判、攻撃的なコメントが殺到し、爆発的に拡散される状態のことです。火事が急速に燃え広がるのと似ているのでこう呼ばれます。情報技術の進歩により、ネット上の情報の拡散力は増し、特に企業経営において無視できない社会的評価の根源となりました。
「炎上マーケティング」というように、炎上で認知度が上がれば短期的にはプラスもあります。しかし、意図しない炎上は、早期に発見して対処しないと取り返しがつきません。悪い評判が広がると、長期的には企業経営に大きなマイナスです。
企業がすべき炎上対策のスタート地点は、炎上を早期に発見すること。いち早く火種を見つけ、対策を始めるには、ネット上の炎上を監視する方法を知らなければなりません。
今回は、炎上対策をしたい会社が、ネット上の炎上を監視する方法と、早期発見するための注意点を、企業法務に強い弁護士が解説します。
- 炎上を放置すると企業の損失は大きく、早期発見のため炎上を監視すべき
- 炎上を監視する方法は、目視によるほか、Googleアラートなどで自動化できる
- 炎上を監視する体制を社内に整備することが、早急な対応のポイント
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ネット上の炎上を監視すべき理由
企業が、ネット上の炎上を監視すべき理由は、素早く発見し、スピーディに対応しなければならないからです。それほどまでに、ネット上の炎上は、放置しておけば企業経営にとって大きな悪影響を与えます。
まずは、炎上を監視、モニタリングすることの重要性を理解してください。
ネット上の情報拡散は早い
インターネットが一般に普及して久しく経ちます。もはや個人による情報発信が当たり前となった現代、ネット上の情報の拡散されるスピードは、非常に早いものとなっています。特に、TwitterやFacebook、InstagramをはじめとしたSNSは、情報を拡散させるためのシェア機能が中核となっており、爆発的な炎上の出発点となることも多いです。
また、ネット上の情報は、コピーが容易です。少しでも対処が遅れれば瞬く間に拡散され、手遅れとなりかねません。コピーされた情報は、発信者の特定が難しく、削除や損害賠償請求といった炎上対策が、事実上難しいことも。そのような段階に至る前に対処するために、ネット上の炎上を監視しておく必要があるのです。
意図しない悪評を招く
炎上は、その被害を受けた側でコントロールするのは容易ではありません。悪い口コミは相乗効果で広がっていき、事実に枝葉がついて大きくなっていきます。
炎上を監視せず、放置して拡大していけば、行く末は、意図しない悪評につながっていきます。ネット上で付いたイメージを覆すのは相当困難なことです。責任追及せず、「誹謗中傷してよい企業なのだ」というイメージが付けば、嫌がらせが継続的に行われる危険もあります。
再炎上による二次被害を受ける
炎上を監視せず、気付かないうちに対応が遅れると、更に炎上が加速することも。これが、再炎上による二次被害です。
例えば、社長や社員の不適切な発言によってネット上で炎上を起こしても、ただちに非を認めて謝罪すれば、被害を最小限に抑えられるケースもあります。誠意ある対応をすれば、逆に社会的な評価が高まることもあります。しかし、これらはいずれも、対応が速やかに行われる場合です。後手に回れば、「対応が悪い」という更なる攻撃を受けることとなります。
速やかに対処し炎上リスクを減らすには、原因となるネット上の情報をいち早くキャッチすべきです。したがって、炎上対策の第一歩として、ネット上の情報を監視する必要があるのです。
ネット上の炎上を監視する方法
炎上を監視することの重要性を理解したら、次に、具体的に、炎上を監視する方法を解説します。
監視すべき炎上の原因を特定する
まず、炎上の火種を発見するには、どのような事情が炎上の原因となるのかを知らなければなりません。監視の対象を特定しなければ、効果的なモニタリングができないからです。
炎上の原因となる行為や発言には、例えば次のものがあります。
- 一方的な価値観に基づく情報発信
- 差別的な発言
- 社会の倫理・道徳に反する言動
- 政治・宗教などのセンシティブな情報発信
- 顧客に対する攻撃
- 商品・サービスに対するクレーム
これらの事情は、代表者である社長がする場合もありますが、社員がするケースもあります。なかには、会社に無許可で、秘密裏にされた言動、個人の私生活における言動が炎上の原因となっている例もあります。これらの行為を速やかに察知するにも、ネット上、特にSNS上の情報を監視しなければなりません。
目視で監視する
まず、炎上の原因となるネット上の情報を、目視で監視する方法です。
単純な方法ですが、人の目で愚直に探すのが効果的なケースも多いものです。監視の範囲が限定されていたり、相応の炎上は起こると予想されるサービスを開始したりといった場合、目視による監視が良いでしょう。それほど知名度、企業規模が大きくなければ、目視と手動の監視で、十分に炎上を発見できます。
ただし、ネット上の情報は膨大で、特にSNS上の情報は目では追いきれないこともあります。手間がかかり、監視を担当する社員の人件費も馬鹿になりません。また、監視の対象が広範囲に渡るケースでは、見落としが発生する危険があります。
Googleアラートで監視する
目視による面倒な監視作業を自動化するため、Googleアラートが活用できます。Googleアラートは、設定したキーワードがネット上に書かれたら、通知を送付するサービスです。
Googleアラートで炎上を監視する方法は、次の手順で進めてください。
まず、監視するキーワードを決めます。炎上を発見するのに効果的なキーワードとする必要があるため、慎重に検討してください。設定したキーワードが不適切だと、炎上のきっかけを見逃してしまいます。
炎上を監視するには、例えば次のキーワードを設定します。
- 企業名
- 代表者の指名
- 商品・サービスの名称
- ブランド名
- よく用いられる蔑称
決めたキーワードを入力し、アラートを作成します。完全一致でないと通知されないため、伏せ字や誤字、よく利用される略称があれば、正式名称以外にもキーワード登録して監視してください。
誹謗中傷する人がよく使う蔑称は、必ずキーワード登録しましょう。
Googleアラートでは、ネット上の情報を監視し、通知するところまでを自動化できますが、炎上対策の全てを任せられるわけではありません。したがって、炎上を監視するには、Googleアラートで発見された情報を、どの頻度で、誰がどう対処するのか、社内に体制を整備する必要があります。
専門家にモニタリングしてもらう
社内の人員に余裕がないときや、専門知識が十分ではないときには、専門家に外注する方法も有効です。ネット上の風評対策に注力する弁護士は、削除請求や発信者の特定だけでなく、その前段階の監視からサポートできます。
炎上による損害は甚大で、監視は不可欠なこと。しかし、ずっとパソコンに張り付いてネットを見続けるわけにはいきません。本業がおろそかになっては本末転倒です。
ネットの風評対策を専門とする業者は数多く存在するため、委託先の選定には慎重なリサーチを要します。特に、削除代行を行う業者は、弁護士法に違反している疑いがあるため、注意してください。
監視により炎上の原因を早期発見したらすべきこと
以上のとおり様々な方法で、炎上を監視するのは、早期発見のためです。
ネット上、SNS上の情報をモニタリングすると、企業やサービスに対する様々な情報を取得できるはずです。そのなかには、良い口コミやプラスの情報もあれば、マイナスの悪評もあります。実際の炎上のプロセスは、明確には説明しづらく、「運」による要素も大きいところ。原因解明の正確な解明は困難です。
そのため、風評、誹謗中傷など、炎上のきっかけとなりうる情報を察知し、的確に監視するには、早期発見した際に検討すべきポイントを理解してください。監視によって関連する情報を取得したら、次の手順で対応方針を速やかに決めてください。
- 企業にとってプラスの要素があるか
- 企業にとってマイナスの要素があるか
- 炎上リスクが高いか
- 責任の所在を確認する必要があるか
- 被害者に個別に謝罪する必要があるか
- 公的に謝罪する必要があるか
- 削除、損害賠償請求といった対策が逆に炎上につながらないか
対策の方針を決めるには、ある程度の時間を要します。監視によって早い段階で発見していれば、炎上対策を検討するのに十分な時間的余裕を作り出すことができます。
まとめ
今回は、炎上対策のスタート地点として、原因となる情報を発見する方法を解説しました。速やかに対処するには、その第一歩として、インターネット上やSNS上に氾濫する数多くの情報のなかから、自社にとって炎上原因となりうる内容を、スピーディに見つけなければなりません。
炎上を発見する方法には、決まったやり方があるわけではありません。一番早く発見できる方法を知り、適切な監視、モニタリングの方法をとることが、炎上を防ぐのに大切です。
弁護士に依頼すれば、ネット上の情報の削除、発信者の特定はもちろん、早期発見のサポートも含めて、有効な対策を打つことができます。
- 炎上を放置すると企業の損失は大きく、早期発見のため炎上を監視すべき
- 炎上を監視する方法は、目視によるほか、Googleアラートなどで自動化できる
- 炎上を監視する体制を社内に整備することが、早急な対応のポイント
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