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M&A契約書の表明保証条項と、保証違反への損害賠償のポイント

更新日:

M&A(企業買収)における「表明保証」とは、売主候補が買主候補に対して、ある一定の時期において、一定の事項が真実かつ正確であることを表明し、その表明事項を保証することをいいます。

M&Aの契約書において、「表明保証条項」という形で記載がなされるのが一般的で、その表明保証の内容は、買収対象となる企業の法務、税務、財務などに関する重要な事項です。

一般的なM&A(企業買収)の流れは、デューデリジェンスを行って対象企業の法務、税務、財務などあらゆる面に関する問題点を洗い出した上で、これを買収価格に反映するために交渉をし、最終的な譲渡代金の決定を行ってクロージングに進みます。

しかし、対象企業の問題点を短期間のデューデリジェンスによって全て明確にすることは現実的ではなく、実際には事後的に問題点が噴出するケースも少なくありません。

また、起こり得る可能性の低いリスクについて全てを売却価格に反映することも適切ではありません。

そのため、「表明保証」を行って調整することが一般的です。

今回は、M&Aにおける表明保証と、保証に違反した場合の損害賠償請求などの責任追及について、企業法務を得意とする弁護士が解説します。

1. 表明保証条項とは?

「表明保証条項」とは、M&Aの際に締結される株式譲渡契約書などにおいて、表明保証を行う条項をいいます。

表明保証とは、一定の時点における売主、買主に関する事実、対象会社に関する事実について、その事実が真実かつ正確であることを、他方の当事者に対して表明し、保証することを意味しています。

もともとは、英米法圏で生まれた考え方ですが、日本のM&Aでも表明保証条項がよく利用されています。

そのため、「表明保証条項」に違反して責任追及がされるケースでは、日本法での「表明保証条項」の法的意義が争いとなります。

M&Aでのトラブルの多くは、一方が「表明保証条項によって保証されている。」と考え、他方は「表明保証には含まれていない。」と考える事項に関することですから、「表明保証条項」の記載の仕方は非常に重要です。

1.1. 表明保証条項の目的

表明保証条項を置く目的は、デューデリジェンスによって調査しきれなかった部分のリスクが噴出した場合の損失を回避するため、というのが通常でしょう。

デューデリジェンスによって、対象会社の問題点を全て調査し尽くすことができればよいのですが、やはりデューデリジェンスにも限界があります。

例えば、M&Aのデューデリジェンスには、次のような限界があります。

  • 調査の限界
  • 不利な資料を売主側が積極的に提出しないという限界
  • 時間的な限界

したがって、想定されないリスクを回避するためにも、「表明保証条項」をM&Aの契約書に記載しておきます。

1.3. 表明保証条項の一般的な内容

「表明保証条項」の内容としては、買主側でM&A(企業買収)に関与する場合、調査しきれなかったリスクをできる限り網羅的に記載したいことから、できる限り多くの条項を挙げようとします。

これに対し、売主側でM&A(企業買収)に関与する場合、できる限り損害賠償請求を避けたいことから「表明保証条項」の内容を減らすか、もしくは、事実と異なる場合には修正を求めます。

最終的には当事者間の交渉と調整によって「表明保証条項」の内容が決まるわけですが、次のような内容は、「表明保証条項」として一般的であるといえるでしょう。

  • 売主が、対象会社の株式の所有者であること
  • 対象会社が、買主の把握していない訴訟を提起されていないこと
  • デューデリジェンスの際に開示された情報に虚偽がないこと
  • 財務諸表、会計帳簿が正確に作成されていること
  • 買主に対して開示していない偶発債務が存在しないこと

その他、会社の種類、事業の種類、両当事者の性質などにより、各M&Aの案件ごとに重大な事実が盛り込まれることとなります。

売主側でM&Aに関与する場合には、「このようなリスクを伝えてしまってはM&A(企業買収)が破断となってしまうのではないか。」と不安に思うがあまりに、重要な事実を隠匿する会社もありますが、事後的にそのリスクが顕在化すれば損害賠償請求をされる可能性がある以上、オススメできない対応です。

1.4. 表明保証条項の期間

「表明保証条項」をM&Aの契約書に定める場合には、表明保証条項違反が一定期間経過したあとではじめて判明するケースも少なくないことから、一定期間の有効期間を定める例があります。

2. 表明保証条項違反に対する責任追及

「表明保証条項」は、M&Aにおいて締結される契約の1つの条項ですから、これに違反した場合の責任追及は、債務不履行(民法415条)として行われるのが原則です。

債務不履行責任には、損害賠償請求と、その他の責任があります。

2.1. 債務不履行責任による損害賠償請求

まず、「表明保証条項」違反の責任追及として、真っ先に考えるべきなのが、「損害賠償請求」です。

ただし、「表明保証条項」への違反が問題となった裁判例の中には、ある事実が「表明保証条項」の中に記載されていなかったことを理由として、責任を負わないことを判示したものもありますので、注意が必要です。

「事後的にこの部分の事実が異なった場合には責任追及をしたい。」という重要な事実がある場合には、すべて「表明保証条項」に記載しておく必要があります。

このとき、後に債務不履行責任による損害賠償責任を追及しやすくするためには、「表明保証されている事実と異なる。」ということが裁判所にもすぐ理解してもらえるよう、「表明保証条項」を一義的かつ明確に記載しておく必要があります。

すなわち、いろいろな意味に読める多義的な文言で記載してしまうと、事実が真実と少しずれていたとしても、「表明保証には違反していない。」と判断されて敗訴してしまうリスクがあるためです。

2.2. その他の責任追及

「表明保証条項」違反に対する損害賠償以外の責任追及の方法として、契約の解除、期限の利益の喪失を定めるケースも少なくありません。

3. 表明保証条項違反の責任追及の制限

「表明保証条項」があるにもかかわらず、売主が表明し保証した事実と異なることが明らかとなった場合には、買主から損害賠償請求などの責任追及がなされることとなりますから、「表明保証条項」を記載する際には慎重な対応が必要です。

しかし、表明保証と事実とが異なったら、それだけで直ちに責任追及をすることができるかどうかについては、裁判例において争いがあります。

3.1. 軽微な違反に過ぎない場合

表明保証がされている事実と少し異なっていたとしても、それが取引の判断に影響を及ぼさないのであれば、何ら問題ないといえます。

すなわち、事後的に表明保証と異なるリスクが判明したとしても、M&A(企業買収)の判断に影響がないのであれば、損害賠償などの責任追及を認める必要がありません。

そのため、軽微な違反であれば、表明保証条項と事実が少し異なったとしても責任追及が否定された裁判例もあります。

 東京地判平成23年4月19日 

譲渡人が表明保証の対象となる事項について「重要な点」で不実の情報を開示し、あるいは情報を開示しなかった事実も認められず、また、子会社の財務諸表の記載が一般に公正妥当と認められる会計基準に反していることを認めるに足りる証拠も見当たらず、実質的に見ても、譲受人が譲渡契約を実行するか否かを判断するに必要な情報は提供されていたということができる判示の事実関係の下においては、譲渡人は譲受人に対して当該表明保証に基づく責任を負わない。

3.2. 買主が事実に気付いていた場合

「表明保証条項」に違反するとして損害賠償請求をされた売主が、買主もまた悪意または重大な過失によって気付かなかったのであるから、損害賠償責任を負わないとして争うケースも少なくありません。

M&Aの専門家が行うデューデリジェンスをしていたことが、買主の主観的要件にも影響してきます。

そのため、法務デューデリジェンスを依頼する弁護士は慎重に選択しなければ、専門家にリスクを気付いてもらえなかったときに問題となります。

 東京地判平成18年1月17日 

原告が、本件株式譲渡契約締結時において、わずかの注意を払いさえすれば、本件和解債権処理を発見し、被告らが本件表明保証を行った事項に関して違反していることを知り得たにもかかわらず、漫然これに気づかないままに本件株式譲渡契約を締結した場合、すなわち、原告が被告らが本件表明保証違反を行った事項に関して違反していることについて善意であることが原告の重大な過失に基づくと認められる場合には、公平の見地に照らし、悪意の場合と同視し、被告らは本件表明保証責任を免れる余地があるというべきである。

4. 表明保証条項の付随的機能

「表明保証条項」の本質的機能は、表明保証した事実と異なった場合の責任追及にあることは十分ご理解頂けたのではないでしょうか。

これに加え、M&Aにおける「表明保証条項」には、付随的な機能があります。

これを、表明保証条項のデューデリジェンス機能といいます。

すなわち、既に解説したとおり、「表明保証条項」に違反していたことが事後的に明らかとなった場合には損害賠償請求をされる可能性があることから、売主候補としては、「表明保証条項」をおそれて、対象会社の問題点を積極的に開示してくれる、という機能をいいます。

5. 表明保証条項は、中小企業のM&Aでは不要?

「表明保証条項」は、アメリカの法律実務の中で生まれた条項であることから、大規模なM&Aを中心に日本にも広まっていきました。

そのため、中小企業やベンチャー企業のM&Aの場合には、あまり馴染みのない用語かもしれません。

しかし、中小企業やベンチャー企業であっても、事業承継、M&Aが増加している現在では、「表明保証条項」はなにも大規模M&Aのみのものではありません。

むしろ、企業規模が小さい方が、責任追及が事後的には困難となったり、重要な情報を隠匿したりいったトラブルは起きやすいとすらいえます。

6. まとめ

以上のことから、顕在化していないリスクが事後的にトラブルの火種となることを回避するため、M&Aの契約書において「表明保証条項」は必須です。

そして、回避したいリスクをある程度網羅的に記載することから、「表明保証条項」の項目は、相当大部になることも少なくありません。

また、法的にも難解な用語を多用し、一般の方には読みづらい文言となるケースもあります。

そのため、表明保証条項の慎重な検討のためには、M&Aの専門家の力を借りるようにしてください。

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