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入浴中の介護事故!【介護事業者の法的責任と、裁判例】

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医療・介護の現場で、特に事故が起こりやすい場所として、浴場(風呂)があります。

水場は滑りやすく、転倒事故が起こりやすいため、「入浴介護」のときには特に慎重さが必要となります。

要介護状態まではいかない高齢者の方であっても、高齢であることから身体の機能が弱っており、入浴中に溺れたり、体調を崩したりするケースは多くあります。

万が一、入浴中の介護事故が発生してしまった場合、介護施設はどのような法的責任を負うのでしょうか。

今回は、入浴中の介護事故と介護施設の法的責任について、裁判例を踏まえ、介護施設の顧問弁護士を得意とする弁護士が解説します。

1. 入浴事故による法的責任は?

入浴中に起こった事故によって介護施設が法的責任を追及されるケースとは、介護施設に過失がある場合です。

そして、浴場(お風呂)で起こった「介護事故」について、介護施設が、どのような場合に「過失あり」と判断されるかは、次の3つのケースでその判断は大きく異なります。

  • 入浴介護中に起こった介護事故のケース
  • 一人で入浴をさせた際の介護事故のケース
  • 入浴時と無関係に、浴場そのものの危険が現実化した介護事故のケース

したがって、それぞれの「介護事故」の場合ごとに、介護施設に過失があると判断されないための安全管理のポイントは異なります。

そこで、介護事故を防ぐため、介護施設が注意しなければならない、入浴介護と、浴場の施設管理に関するポイントを、裁判例を踏まえて解説していきます。

入浴中の事故は、浴場(お風呂)が非常に危険な場所であることから、最悪の場合、死亡を伴う事故となるケースもあり、注意が必要です。

2. 入浴介護中の介護事故

お風呂でよく起こる介護事故の1つ目のケースは、入浴介護中に発生する介護事故です。

2.1. 入浴介護中の危険とは?

入浴中に介護をしている場合には、介護スタッフも事故が起きないよう相当注意しているのが通常ですから、転倒事故などが比較的起きにくくなっていますが、安心してはいけません。

特に、介護施設を利用する高齢者に特有な、入浴に伴う次のような危険を心にとめておいてください。

  • 身体のバランスを崩しやすく、風呂場で転倒事故を起こしやすい。
  • 皮膚の温度感覚が鈍感になっているため、熱いお湯で火傷をしやすい。
  • 意識状態が低下したり、のぼせたりといった、お風呂特有の症状が強くあらわれやすい。

むしろ、入浴介助が必要である状態であったにもかかわらず、介護施設スタッフが目を離したすきに介護事故が起こってしまえば、介護施設の過失が認められ、法的責任が重いと判断されるおそれもあるからです。

2.2. 入浴介護中の介護事故を防ぐには?

では、入浴介護中の介護事故を防ぐために、介護施設はどのようなことに気を付けて取り組んだらよいのでしょうか。

入浴介護を行っているにもかかわらず、入浴中に事故が起きてしまうようなケースでは、介護職員の意識や、能力・技術の問題であるケースも少なくありません。

したがって、まずは介護施設が、介護職員に対して、入浴介護の技術、考え方を徹底的に教育、指導することが必須となります。

その上で、入浴介護の方法について、マニュアル化しておきましょう。

特に、最低限次のような点については、介護施設側が定型的にルールを決めておくべきであるといえます。

  • 介護の必要な度合いに合わせた介助者の人数
  • 入浴する時間帯、時間数
  • 1日の入浴回数
  • 入浴する際のお湯の温度

その上で、「入浴が特に介護事故の起こりやすい危険なタイミングである。」という意識を強く持たせ、目を離さないようにしましょう。

3. 一人で入浴した際の介護事故

お風呂でよく起こる介護事故の2つ目のケースは、1人で入浴中に発生する介護事故です。

3.1. 一人で入浴する際の危険とは?

入浴介助が不要である場合であっても、施設利用者にすべてを委ねてよい場合ばかりではありません。

一人で入浴をしていた場合であっても、万が一入浴中の介護事故が発生した場合には、次のような理由によって、介護責任者の法的責任が追及されるおそれがあるからです。

  • 介護施設利用者の心身の状態からして、そもそも一人で入浴させることが適切ではなかった。
  • 介護施設の浴場(風呂場)における給湯設備の操作方法について十分な説明がなかった。

特に、健常者である介護施設のスタッフからすれば、「熱かったらすぐに気づくはずだ。」とか、「給湯設備を適切に使用できるのが当たり前だ。」という思い込みを抱きがちですが、利用者の立場からすればそうはいきません。

次の裁判例のように、給湯設備などの扱い方や危険性について、介護施設の説明が十分ではなかったとについて、法的責任を認めたものがあります。

 千葉地裁平成23年10月14日判決 

浴室の給湯・給水設備、シャワー等の形状、操作方法等は種々雑多であり、使い慣れていない者にとっては容易に操作することができないことはしばしば経験するところであって、特に亡Dのような高齢者は、普段使い慣れない用具の操作が困難であるところ、本件浴槽水栓は、蛇口から55ないし56度という熱い湯が出る状態だったのであるから、使い方を誤れば、患者が熱傷を負う危険が存在していたというべきである。

そうすると、F看護師は、亡Dが本件入浴を開始するに当たり、亡Dが本件小浴室内で熱い湯を浴びて熱傷を負うことのないよう、本件浴室の給湯給水設備の使用方法及び本件浴槽水栓から熱傷を負うおそれのある熱い湯が出る危険について説明ないし注意すべき義務があったと認めるのが相当である。

3.2. 一人で入浴中の介護事故を防ぐには?

では、一人で入浴中の介護事故を防ぐために、介護施設はどのようなことに気を付けて取り組んだらよいのでしょうか。

まず、最初に検討しなければならないのが、「1人で入浴させることが、本当に適切なのか?」ということです。

「健康そうだから。」とか、「本人が1人で入浴することを希望しているから。」といった理由で、介護施設が安易に「入浴介助は不要だ。」と判断するべきではありません。

あらかじめ、「1人で入浴させてもよい。」と判断する基準を決め、本人の希望にかかわらず厳格に判断をすべきです。

判断に迷う場合には、病院の判断や引き継ぎ事項を大いに参考にすべきです。

そして、1人で入浴させる場合であっても、事前・事後に見回りを行うことは、必須です。

4. 浴場そのものの危険が現実化した介護事故

お風呂でよく起こる介護事故の2つ目のケースは、浴場そのものの危険が現実化した介護事故です。

これは、入浴中ではない場合であっても発生し得る介護事故です。

4.1. 浴場そのものの危険とは?

浴場(風呂場)は、水が流れる場所であることから、介護施設の中でも特に危険な場所です。

そのため、介護施設は、施設を管理する責任ある立場にある者として、浴場の管理を適切に行わなければなりません。

例えば、浴場の危険とは、次のようなケースです。

  • 水や石鹸で足を滑らせたことによる骨折
  • 湯気や熱気で体温が変化したことによる血圧の変化
  • 熱湯による火傷
  • 水がたまっている湯船による溺死
  • 湯船で寝てしまうことによる溺死

以上のような浴場の危険が現実化しないよう監視しなければならないのは、介護施設の利用者が、浴場(風呂場)を利用している時間帯だけに限るものではありません。

介護施設の利用者の中には、認知症であったり、徘徊癖があったりする人も少なくありませんが、介護スタッフが四六時中常に監視していることは困難です。

次の裁判例のように、施錠されていなかった浴場へ、徘徊癖を有する認知症の利用者が立入り、転倒して死亡したことについて、介護施設の法的責任を認めたものがあります。

 岡山地裁平成22年10月25日判決 

被告は、本件施設を設置し、これを経営するものであるところ、本件施設の入居者の多くは認知症に罹患していて、かつ、徘徊傾向を有しており、Cも同様であった・・・(中略)・・・職員により、全入居者について間断なくその動静を見守ることは、事実上困難であったと認められる。

したがって、被告としては、適正な数の職員を配置し、入居者の動静を見守る努力を傾注するとともに、本件施設中、入居者が勝手に入り込んで利用するようなことがあれば、入居者の生命身体に危険が及ぶ可能性がある設備ないし場所を適正に管理する責任を免れないというべきである。

4.2. 浴場の危険が現実化した介護事故を防ぐには?

では、浴場の危険が現実化した介護事故を防ぐため、介護施設はどのようなことに気を付けて取り組んだらよいのでしょうか。

まず、「浴場(風呂場)は危険な場所である。」ということを、介護職員に周知し、教育、指導を徹底してください。

その上で、浴場(風呂場)の危険自体を取り除く方策として、次のことを検討しましょう。

  • 浴室の床材は滑りやすいものではないか。
  • 使用していない時間帯に湯船にフタがされているか。
  • 湯船やシャワーの湯温が適切に設定されているか。
  • 熱湯が出ないよう工夫がされているか。

以上のことを介護施設が徹底的に行ったとしても、それでもやはり介護施設を利用するような高齢者にとっては、浴場における危険をゼロにすることは不可能です。

そこで、最後には、介護施設が許可するとき以外には、利用者が浴室に立ち入ることのないよう、次の対策を施してください。

  • 浴室を施錠する。
  • 介護職員が浴室を定期的に見回る。
  • 浴室に立入禁止のフダを立てる。

5. まとめ

介護施設を利用する高齢者の場合、浴室での事故は、死亡を伴うような重大な介護事故につながるおそれのある、非常に危険なものです。

しかし、入浴をさせないことはできず、利用者の人権にも配慮しなければならないことから、できる限り危険を減らして入浴介助を行う必要があります。

今回は、入浴中やそれ以外のタイミングで、浴場における介護事故が発生した場合の介護事業者の責任について、裁判例を参考に解説しました。

いざ介護事故が起こってから焦って間違った対応をしないよう、平常時から、介護施設を得意とする顧問弁護士を、お気軽にご活用ください。

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