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採用内定者(入社前)に、就業規則は適用される?【弁護士解説】

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社員の入社段階は、労働者からの採用応募に始まり、採用選考を経て、採用内定へと至ります。

採用内定中、まだ入社して働くよりも前の段階について、どのように取り扱えばよいのか、という法律相談があります。

法的にいえば、採用内定の状態は、「始期付き解約権留保付き雇用契約」といって、既に雇用契約(労働契約)が締結された状態とされていますが、しかし、就労義務はまだ発生していないため、会社による制約には一定の限定があります。

そこで今回は、入社前の採用内定者に対して、会社全体に適用されるルールである「就業規則」が適用されるのかどうかについて、弁護士が解説します。

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採用内定とは?

採用内定とは、労働者の応募、採用選考、誓約書及び雇用契約書の締結といった入社までの過程の中で、会社が労働者に対して、労働契約(雇用契約)成立させる時点のことをいいます。

採用内定は、具体的には、採用内定通知書といった書面を送付することによって通知されます。採用内定通知書は、労働者からの契約締結の意思表示(応募)に対する受諾の意思表示であり、これをもって労使間の労働契約(雇用契約)は成立します。

採用内定が、社員として入社する前段階に過ぎないという誤解もありますが、採用内定時点で、既に労使間の契約は成立しているのです。

ただし、就労は入社を待って行うものとされており、このように就労が将来となること、それまでの間、会社側から解約(内定取消)があり得ることを示して、採用内定のことを専門的な用語で「始期付き解約権留保付き雇用契約」と呼びます。

つまり、採用内定とは、既に労働契約(雇用契約)が成立しているけれども、まだ働く義務は負っていない状態のことをいいます。

採用内定者に対して、就業規則は適用される?

就業規則の初めのほうに、その規則の「適用範囲」が記載されていることが一般的です。通常、「この就業規則は、当社の雇用する従業員に適用される。」といった記載がされています。

さきほど解説した通り、採用内定者は、既に労働契約(雇用契約)を締結した社員ですが、まだ働く義務は負っていません。

そこで次に、このような特殊な状況である採用内定者に対して、就業規則が適用されるのかどうか、また、適用されるとしたら全部なのか一部なのか、といった点について、弁護士が解説します。

採用内定者にも就業規則が適用される

就業規則は、「社員」もしくは「従業員」に適用されると記載されていることが一般的です。

「いつから社員もしくは従業員となるのか。」について、就業規則に明記されていないことが多いですが、法的には、採用内定の時点で、「始期付き解約権留保付き労働契約」という特殊な労働契約(雇用契約)が締結され、社員となることになります。

労働契約法7条では、就業規則は、合理的な労働条件が定められており、労働者に周知されていた場合に、労働契約の内容となるものと定められています。

そのため、採用内定者は既に雇用契約を締結しているものと考えて、就業規則を適用する場合には、その就業規則を周知しておかなければなりません。

部分的に、適用されない場合がある

採用内定者に対して就業規則が適用されるとしても、どの範囲の就業規則が適用されるかは、ケースバイケースの判断が必要です。

採用内定は、就労義務が入社日以降にしか発生しないとしても、既に雇用契約(労働契約)が締結された状態であることから来る一定の制約を負っています。

そのため、就業規則のうち、就労を前提としない部分については、採用内定者に対しても適用されます。

採用内定者に適用される就業規則の部分=就労を前提としない部分

  • 企業秩序を維持する義務
  • 会社の名誉、信用を保持する義務

採用内定者に適用されない就業規則の部分=就労を前提とする部分

  • 労働義務
  • 休憩・休日
  • 労働時間
  • 賃金支払義務

また、新卒入社の内定者は、学生であることが多いため、学業に大きな支障を及ぼすような業務命令は適切ではなく、従う義務がないと考えるのが一般的です。

会社側(使用者側)としても、「就業規則が適用されるかどうか」という形式論によって採用内定者を拘束しようとすれば、会社の信用を失い、入社後のモチベーションを削ぐことにもつながります。

内定取消には、労働法が適用される

採用内定の取消は、ひとたび成立した労働契約(雇用契約)を、会社側(使用者側)の一方的な意思表示によって解約することを意味するものであるため、「解雇」と同じ意味を持ちます。

そのため、内定取消に対しては、労働法が適用され、労働者は法律による保護を受けることができます。

採用内定の取消のとき適用される、会社が注意しておくべき労働法の内容は、次の通りです。

  • 労働契約法16条
    :「解雇権濫用法理」により、客観的に合理的な理由があり社会通念上相当でない限り、内定取消が無効となります。
  • 労働基準法20条
    :「解雇予告」について、内定取消の30日前に予告するか、不足する日数分の解雇予告手当を支払う必要があります。
  • 労働基準法22条
    :「退職時等の証明」について、労働者が求める場合には解雇理由を書面で通知しなければなりません。

就業規則は、これらの法律に違反することができないため、採用内定者に対して就業規則が適用されるとしても、されないとしても、いずれにせよ内定取消をする際には厳しいルールを理解しなければなりません。

「人事労務」は、弁護士にお任せください!

今回は、採用内定者に対して、就業規則が適用されるのかどうか、また、適用されるとしてどの部分が適用されるかについて、弁護士が解説しました。

採用内定は、「入社の準備段階」と甘く見てはならず、既に雇用契約の締結した社員として考えなければなりません。そのため、就労を前提とする部分以外については、就業規則が適用されると考えるべきです。

また、就業規則が適用されるかどうかに関わらず、労働法における「解雇」の規制が適用されるため、内定取消する際には慎重な検討が必要となります。

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