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人事労務

社員が「失踪」!行方不明になった従業員への対応は、「解雇」でOK?

更新日:

会社を経営していると、雇用していた社員(従業員)が、突然行方不明になってしまうというケースがあります。

ある日突然無断欠勤を続けたまま会社に来なくなり、電話もメールもつながらなくなり、自宅にも実家にもいないといった場合、会社としては、退職扱いとしてしまいたいところです。

しかし、経営者であれば、「解雇権濫用法理」によって解雇が制限されていることをご存じでしょう。また、解雇は、本人に通知しなければ解雇できないのが原則です。

今回は、会社を突然失踪し、行方不明になった社員に対して、会社として、経営者として行うべき適切な対応を、企業の労働問題(人事労務)を得意とする弁護士が解説します。

1. 社員の突然の「失踪」とは?

会社の経営者としては、不思議に思うことでしょうが、社員(従業員)が突然失踪してしまうことは、少なくありません。いわゆる「バックレ」といってもよいでしょう。

民法で定められた「失踪」のルールでは、「7年間」の生死が明らかでない場合には「失踪宣告」によって死亡したものとされるものの、労働者の「失踪」は、「会社だけが知らない」、いわゆる「バックレ」ですからこれにはあたりません。

2. まずは仕事を続けさせる努力を

従業員が突然いなくなると、怒りばかりが先立つでしょうが、すぐに退職させることを考えるのではなく、まずは仕事を続けさせる努力をしましょう。特に新卒社会人の場合、最初は会社に慣れることすら難しいことは理解してください。

社員の退職を、すぐにあきらめていては、離職率が高くなり、採用コストも高くつきます。仕事を続けさせるため、連絡をとるため、少なくとも次の努力をまずは行ってください。

  • 会社の把握しているすべての連絡先に定期的に連絡する。
  • 入社時に親族を「身元保証人」に立てさせ、連絡をとる。
  • 本人の自宅、実家を訪問する。
  • 新入社員の教育、研修、指導をサポートする。

しかし、会社によるこれらの努力にもかかわらず、結局退職させるしかない、やむを得ないケースも少なくありません。

3. 行方不明の社員の「解雇」による対処法

ここまでの努力を尽くしても、失踪してしまった行方不明の社員に連絡がとれず、復職も困難な場合には、やむを得ず、退職してもらう方法での対応を行います。

まずは、行方不明の社員に対して、「解雇」をする方法で対処するための具体的な方法について、弁護士が解説します。

3.1. 普通解雇の理由になる

まず、会社に長期間来ずに欠勤し、失踪してしまった行方不明の社員の場合、普通解雇の「解雇理由」には、問題なくあてはまります。

従業員(社員)と会社との間の雇用契約において、労働者は、「働く」という義務(労働の義務)を負っており、この義務の不履行となるからです。

したがって、会社は、行方不明の社員に対して、「普通解雇」とすることが考えられます。

3.2. 懲戒解雇の理由にもなる可能性あり

企業の秩序を乱した社員に対する制裁(ペナルティ)の意味を持つ懲戒解雇が可能なケースもあります。

懲戒解雇とするためには、懲戒解雇の理由を、就業規則に定めておかなければなりません。そのため、「長期間の無断欠勤」が懲戒解雇の理由となることを明記してください。

懲戒解雇は非常に厳しい処分であることから、「解雇権濫用法理」によって、厳しい制限を受けます。行方不明の社員を懲戒解雇とするときには、次のことに注意して慎重に進めます。

  • 就業規則の解雇理由にあたるか?特に「〇日以上の欠勤」という定めがあるかどうか。
  • 出社の督促をしているか。
  • 安否の確認をしているか。
  • 欠勤している社員から言い分の聴取をしているか、もしくは、連絡が全くないかどうか。

懲戒解雇をすることは、ハードルが高いとされていますから、行方不明の社員に対して行った連絡、出勤の督促、安否の確認などを、記録に残しておきましょう。

3.3. 解雇を通知する方法

以上で解説した「普通解雇」、「懲戒解雇」のいずれの解雇とする場合であっても、解雇をすることを、社員に対して通知しなければなりません。

行方不明、無断欠勤中の社員に対して、解雇を通知する方法を理解しましょう。それが、民法に定めがある「公示」を利用する方法です。

 民法98条 
  1. 意思表示は、表意者が相手方を知ることができず、又はその所在を知ることができないときは、公示の方法によってすることができる。
  2. 前項の公示は、公示送達に関する民事訴訟法 (平成八年法律第百九号)の規定に従い、裁判所の掲示場に掲示し、かつ、その掲示があったことを官報に少なくとも一回掲載して行う。ただし、裁判所は、相当と認めるときは、官報への掲載に代えて、市役所、区役所、町村役場又はこれらに準ずる施設の掲示場に掲示すべきことを命ずることができる。
  3. 公示による意思表示は、最後に官報に掲載した日又はその掲載に代わる掲示を始めた日から二週間を経過した時に、相手方に到達したものとみなす。ただし、表意者が相手方を知らないこと又はその所在を知らないことについて過失があったときは、到達の効力を生じない。
  4. 公示に関する手続は、相手方を知ることができない場合には表意者の住所地の、相手方の所在を知ることができない場合には相手方の最後の住所地の簡易裁判所の管轄に属する。
  5. 裁判所は、表意者に、公示に関する費用を予納させなければならない。

行方不明、無断欠勤となっている社員の、最後の住所地を管轄する簡易裁判所に申立をし、裁判所に一定期間掲示してもらうことで、意思表示があったものとみなす制度です。

この公示の手続きを行うことによって、一定期間(2週間)の経過後に、会社から行方不明の社員に対して、解雇の意思表示が通知されたものとみなされ、解雇が有効になります。

4. その他、「解雇」以外の対処法

ここまでお読みいただければご理解頂けますとおり、行方不明、長期無断欠勤をしている社員に対して「解雇」によって対応する方法は、解雇の通知に一定の手続が必要となり、非常に煩雑です。

そこで、「解雇」以外の方法によって、社員の「失踪」に対処するための方法を、弁護士が解説します。

4.1. 「当然退職」によって対処する方法

その他の方法の1つ目は、長期間の無断欠勤があった場合には、その社員を「当然退職」とするというルールを会社が作っておくという方法です。

このルールは、すべての社員に統一的に適用されるべきものですから、就業規則に定めておくのがオススメです。

長期間の無断欠勤によって、当然に退職となるというルールですから、失踪中、行方不明中の社員であっても、解雇の意思表示を通知することなく、会社をやめてもらうことができます。

 重要 

「当然退職」のルールを就業規則に定めるときには、いざそのルールを適用するときに、明確である必要があります。

つまり、ある失踪者に適用するときに、その対象となる社員が、ルールの適用されるものかどうか、定義を誰にでも判断できるような形でなければなりません。

「〇日以上無断欠勤したとき」という、日にちによる定め方が一般的です。また、解雇をするときの解雇予告が「30日前」であることを考えると、30日以上の期間をおく方がよいでしょう。

4.2. 「辞職の意思表示」があったとみなす方法

一定の期間の間、何らの連絡もなく無断欠勤、行方不明が続いた場合には、もはや働く意思がないと考えて処理する方法です。

従業員(社員)の側から、「辞職」の意思表示をすることができますが、会社に無断で来ないことによって、「黙示」の辞職の意思表示があったものと考えるのです。

しかし、この方法であっても、会社が勝手に「黙示の意思表示があった。」と判断することはリスクが高く、就業規則などの明記して、あらかじめ社員に周知、啓発しておきましょう。

 重要 

「辞職」のルールを考えるときは、通常の「明示の辞職の意思表示」のとき、どの程度の期間で労働者が辞職することができるかを参考にして考えましょう。

労働法では、月給制の社員の場合、月の前半で辞職を伝えれば月末に、月の後半で辞職を伝えれば翌月末に退職することとなります。

そのため、最大でも「50日間」のうちには退職することとなるため、「黙示の辞職の意思表示」の場合であっても、「50日間」程度の期間を目安としましょう。

4.3. 親族との話し合いで解決する方法

その他の方法の2つ目は、身元保証人などの親族に連絡をし、社員(従業員)の退職に納得してもらうという方法です。

単に会社が嫌で無断欠勤しており、親族とは連絡がとれるというような場合には、親族に取り次いでもらって退職の意思表示をしてもらうことで、事実上、これ以上のトラブルを避けることができます。

具体的には、「退職扱いとなっても異議がない旨を確認する。」といった内容の書面を作成し、身元保証人に署名押印してもらいます。

とはいえ、いくら身元保証人や親であっても、労働者の退職の意思表示を代わりに行う権限はありません。後から失踪していた労働者が現れ、退職の有効性を争った場合、会社に不利な判断となるおそれがあります。

5. 行方不明社員に対応するその他のポイント

最後に、会社が行方不明中、長期無断欠勤中の社員に対応するときの、その他の注意点について、弁護士がまとめました。

5.1. 欠勤中の賃金は必要?

行方不明、失踪中の社員に対しては、賃金を支払う必要はありません。

「ノーワークノーペイの原則」といって、労働者の意思によって労働を行わない場合には、その分の賃金を支払う必要もないからです。

ただし、社員である間は、社会保険料などは発生してしまうため、その分は会社が立て替えておき、労働者に対して請求するしかありません。

入社時に、身元保証人を立てさせていた場合には、社会保険料などの立替金は、身元保証人に対して請求することができます。

5.2. 既に発生している賃金支払は?

既に発生している賃金があったとしても、社員が行方不明、失踪中の場合には、会社は賃金を支払うことはできません。

というのも、労働基準法のルールで「賃金の直接払いの原則」というものが定められているからです。「賃金(給料)」は、労働者の生活の糧となる重要なものであり、本人に対して支払う必要があるからです。

5.2. 警察に届け出る必要はある?

会社から「バックレ」ているだけでなく、本当に失踪していて家族も連絡がつかないという場合には、会社が警察に届け出るかどうかの判断は慎重に行ってください。

会社、すなわち、「雇い主」であっても、警察に対して、「行方不明者届」を提出することができます。

ただし、原則として、親族、家族が対応可能な場合には、「行方不明者届」は会社ではなく、親族、家族が提出すべきです。

これに対して、親族、家族は本当の失踪理由を知っているものの、会社には伝えてこないという場合があります。例えば、犯罪を起こして逮捕されてしまった場合が典型例です。

6. まとめ

今回は、長期無断欠勤をしている行方不明の社員に対する、会社として、経営者として行うべき適切な対処法について、弁護士が解説しました。

労働の意思のないものに対しては、退職してもらうのが当然ですが、「退職」前後は、最も労働トラブルが起こりやすいタイミングです。解雇、当然退職など、ケースに応じて適切な方法を選択しましょう。

また、就業規則の整備によって、事前に対応しておくことが重要です。

問題社員への対応について、事前準備を十分に行っていない経営者の方は、企業の労働問題(人事労務)を得意とする弁護士に、お気軽に法律相談ください。

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