経営者の顧問弁護士が企業法務を徹底サポート!!

顧問弁護士の企業法務サポートなら「ビズベン!」

Shortcodes Ultimate

(24時間フォーム問い合わせ対応)

IT法務 知的財産

アプリ制作会社が著作権侵害にならないための権利処理

更新日:

知的財産権の中でも、特に「著作権」は、すべてのアプリサービスで漏れなく問題となる権利です。

アプリサービスを開発、企画する段階で、他の同種サービスを参考にすることはよくありますが、他社アプリのコピーは許されず、著作権その他の知的財産権を侵害すると、その権利者からアプリサービスの「差止め」や、「損害賠償請求」を受ける可能性があります。

著作権について、アプリサービスを製作するとき最も重要な権利とお考えください。というのも、多くのアプリは、画像、音楽、動画やプログラムなど、著作権で保護されたコンテンツで構成されているためです。

著作権法にしたがって、著作権侵害とならないよう適切な権利処理をしながらアプリ制作を進めなければ、最悪の場合、アプリが販売できず、投下資本の回収が困難となるおそれがあります。

今回は、アプリサービスを開発、企画する際、注意すべき「著作権」侵害のポイントを、IT企業の法務を得意とする弁護士が解説します。

1. 著作権侵害と言われないアプリ制作のための権利処理

著作権は、アプリ制作業務を進めるにあたって、最も重要な権利です。

著作権とは何か、どのような場合に著作権侵害となるのかを理解した上で、著作権侵害とならないようにしたり、著作権侵害となりそうな場合にはこれを回避するような権利処理をしましょう。

他人の著作物を無断で利用する行為は、「著作権侵害」として許されないことは、ほとんどの人が理解していると思いますが、次の注意点を守って進めるようにしましょう。

2. 著作権侵害とならないための反論

著作権侵害は、典型的な著作物のコピーのケースでは、次の3つの要件を満たす必要があります。

  • コピー元に著作権が認められること
  • その著作物を再製したこと
  • コピー元の著作権に依拠した行為であること

したがって、著作権侵害とならないための対策として、次の2つの反論を検討しましょう。

  • 「コピー元に著作権が認められない。」という反論
  • 「コピー元に依拠して制作していない。」という反論
 参考 

なお、「完全にコピーした。」という著作権侵害は「複製権侵害」といいますが、これに対して、「著作物の創作性のある部分を同一にし、これに対して修正、変更を加えた。」といった著作権侵害のケースは、「翻案権侵害」という分類になります。

2.1. 【対策①】コピー元のアプリに著作権がない

著作権は、あくまでも表現を保護する法律であり、表現自体ではないもの、例えば、思想、感情、アイディア、事実などの記載については、著作権法によって保護されないものとされています。

また、著作物には、「創作性」が認められる必要があるため、ありふれた表現は、著作権法の保護の範囲外とされます。

したがって、参考としたアプリに非常に似ていたとしても、その類似部分が、ごく一般的な、どのようなアプリにも採用されているありふれた表現である場合には、著作権法侵害ではないと反論することが可能なケースもあります。

2.2. 【対策②】コピー元のアプリに依拠した行為ではない

依拠、すなわち、コピー元の著作物に触れ、これを取り入れて複製行為を行うことが、著作権侵害の要件とされます。

したがって、非常に似ているアプリを制作してしまったとしても、コピー元とされるアプリを知らずに行っていれば、著作権侵害とはなりません。

これは、特許権との大きな違いの一つです(特許権の場合、別々に発明をしていたとしても、同一のものであれば特許権侵害となります。)。

ただし、侵害者側が、依拠性を否定することは非常に困難です。例えば、次のような疑問に、合理的な回答ができなければなりません。

  • 「真似していないのであればなぜこれほど似ているのか。」というほど酷似していた場合、依拠が事実上推定されます。
  • コピー元が有名であるなど、依拠のためのアクセスが容易である場合、依拠が事実上推定されます。

3. アプリ制作会社が対応すべき著作権の権利処理

では、他社のアプリに著作権が認められ、著作権侵害となるおそれがある場合に、アプリ制作会社としては、どのような著作権に関する権利処理を行うべきなのでしょうか。

まず、行うべき著作権の権利処理としては、大きく分けて、次の2つを考えるべきです。

  • 著作権譲渡契約をする。
  • 著作権利用許諾契約をする。

電子メールのやり取りや、簡易的な覚書であっても証拠にはなるものの、事後的なトラブルを回避するため、できる限り契約書を締結することをお勧めします。

ちなみに、翻案権(著作権法27条)、二次的著作物の利用に関する原著作者の権利(著作権法28条)については、譲渡の対象とすることを明示しない限り、譲渡者に権利が留保されると著作権法に定めがあります。

そのため、これらの権利も譲渡の対象となっていることを、著作権譲渡契約書に明記しておきましょう。

 条項例1 

○○○のアプリに関する一切の著作権(著作権法27条および28条に定める権利を含む。)を譲渡する。

4. 著作権の権利処理が不要なケース

他社アプリの著作権を侵害する場合であっても、これから説明する例外的な場合には、著作権の権利処理は不要となるケースがあります。

権利処理とは、既に解説した、「著作権譲渡契約」、「著作権利用許諾契約」をいいます。

すなわち、この例外的な場合には、他社の著作権に該当する場合であっても、[無断使用をすることが可能です。

4.1. 著作権法の権利制限規定に該当するケース

著作権法には、著作物を利用するにあたって、著作権侵害に該当する場合であっても例外的に許されるケースを、「権利制限規定」として設けています。

著作権法に定められた「権利制限規定」は多くありますが、特に重要なものは次の通りです。

  • 私的使用のための複製(30条)
  • 引用(32条)
  • 非営利活無料の上演、演奏等(38条)

営利企業として、アプリ制作を行う際に、配慮すべき「権利制限規定」は、特に「引用」が重要でしょう。

4.2. 引用に該当して許されるケース

引用規定の要件を満たす一定の場合には、他社の著作物であっても、無断で利用することが可能です。引用規定の要件は、大まかに次の通りです。

  • 既に公表されている著作物であること
  • 公正な慣行に合致すること
  • 引用の目的条、正当な範囲内であること
  • 出所の明示がされていること

公正な慣行とは、引用の際にカギ括弧をつけるなどして引用であることを明確にすることが求められています。

また、正当な範囲内とされるためには、引用部分とそれ以外の部分に「主従関係」があり、引用される分量が必要最小限であることが求められています。

 例 

例えば、著作権侵害に該当するけれども「引用」によって許されるケースとしては、アプリのゲーム画面において、他社アプリのゲーム画面を登場されるケースなどが考えられます。

4.3. 著作権が既に消滅しているケース

著作権には、それぞれ保護期間があり、著作権の保護期間が満了している場合には、著作権が消滅し、著作権侵害とはならなくなります。

日本の著作権法における著作権の保護期間は「著作者の生存期間と、著作者の死後50年間」が原則です。

  • 原則
  •   著作者の生存期間と、著作者の死後50年間

  • 無名・変名の著作物(周知の変名は除く。)
  •   著作物の公表後50年間
      (著作者の死後50年が経過していれば、その時点まで)

  • 団体名義の著作物
  •   著作物の公表後50年間
      (創作後50年以内に公表されなかった場合は、創作後50年)

  • 映画の著作物
  •   著作物の公表後70年間
      (創作後70年以内に公表されなかった場合は、創作後70年)

ただ、ゲームアプリのような業界は、製品のサイクルが非常に早いため、著作権が保護期間満了によって消滅しているという反論ができるケースは、比較的少ないように思います。

4.4. 海外著作権の保護期間に注意

アプリビジネスの場合、グローバルな展開を行ったり、また、海外のアプリの日本版を企画、開発したりといったケースがよくあります。

このような場合には、以上の著作権の保護期間の説明はあくまでも日本国内の話であって、海外の著作権の保護期間にも配慮して進めなければなりません。

海外の著作物を扱うものの、日本でのみサービス展開をするという場合には、日本の著作権法上の問題のみであり、既に解説した保護期間を遵守すれば結構です。

これに対し、海外配信を予定している場合には、海外における著作権法の検討が必須であり、海外サービスのリーガルチェックを行った経験のある弁護士による指導が必須となります。

5. アプリの著作権侵害が問題となった裁判例

アプリの類似性は、よく問題となり、大きな事件となっています。

特に、ここで解説する「釣りゲーム事件」、「プロ野球ドリームナイン事件」は有名な事件です。

この2事件の解説からも十分ご理解いただけると思いますが、著作権侵害の有無に関する裁判所の結論を予想するのは非常に困難で、また、第1審、第2審の判断が異なるなど、非常に微妙な判断となります。

そのため、「どこのアプリにもあるありふれた表現である。」といった甘い考えは捨て、企画、製作段階から、専門家のアドバイスを仰ぐべきです。

5.1. 「釣りゲーム事件」

DeNAが運営する「モバゲータウン」で配信されたアプリ「釣りゲータウン2」が、GREEが配信する「釣り★スタ」の著作権を侵害するとして、GREEがDeNAに対して訴訟提起した事案です。

同心円状の中に魚群が現れるという、魚の引き寄せ画面の類似性が主な争点となりました。

第1審ではGREEの主張が認められ、著作権侵害であると判断されました。

第2審では判断が覆り、抽象的には共通部分があるが、その共通部分は「表現それ自体ではない部分」または「表現上の創作性がない部分」に過ぎず、具体的表現においても異なると判断され、著作権侵害は否定されました。

 例 
  • 「水中のみを描くことや、水中の画像に魚群、釣り糸及び岩陰を描くこと、水中の画像の配色が全体的に青色であることは、ありふれた表現といわざるをえない。」
  • 「水中を真横から水平方向に描き、魚群が動き回る際にも拝啓の画像は静止していることは、アイディアと言うべきものである。」
  • 「三重の同心円を採用することは、弓道、射撃及びダーツ等における同心円を釣りゲームに応用したものというべきものであって、釣りゲームに同心円を採用すること自体は、アイディアの範疇に属するものである。」

これは、既に解説したところにいう、「コピー元アプリの著作物性」という問題です。

最終的に、似てはいるものの、その似ている部分とは、コピー元とされるアプリのうちの、著作物性のない部分である、という意味です。

5.3. 「プロ野球ドリームナイン事件」

gloopsが配信する「大熱狂!!プロ野球カード」が、コナミデジタルエンタテインメントが配信する「プロ野球ドリームナイン」の著作権を侵害するとして、コナミがgloopsに対して訴訟提起した事案です。

一部のカードデザインが、著作権侵害であるかどうかが争点となりました。

知財高裁における判決では、一部のカードについては、「創作的表現のある部分に同一性がある。」として、著作権侵害を認めましたが、別のカードについては、「表現上の本質的特徴をことにする。」として、著作権侵害を否定しました。

いずれも、それぞれの個別のカードに対するケースバイケースの判断ですが、球団から少数しか提供されなかった写真を使用した2枚のカードや、背景の炎など、一見ありふれた表現とも思える部分に著作権侵害を認めたケースでもあり、著作権侵害の有無に関する判断が、専門的であり、かつ、非常に複雑であることを示す裁判例です。

6. まとめ

今回は、アプリ制作会社が、アプリの企画、開発を行う際に、事前にチェックしておくべき著作権法のポイントを解説しました。

アプリを制作、販売する際には、著作権法への配慮は必須の課題です。

アプリ制作を業務としている場合には、IT企業の法務を多くチェックした実績のある弁護士に、顧問弁護士となってもらうのがよいでしょう。

企業法務に強い弁護士に相談!

企業法務に強い弁護士に相談!


御社名(必須)

メールアドレス(必須)

電話番号

ご住所

ご相談の内容

企業法務は、弁護士にご相談ください!
企業法務、人事労務、債権回収、契約書など、会社で起こる法律問題にお悩みではありませんか?会社・経営者に有利な解決のためには、多数の会社の顧問弁護士としての実績が豊富な弁護士にお任せください!

企業の法律問題に強い弁護士が、御社の法務アドバイザーとして、徹底サポートいたします。

-IT法務, 知的財産
-, , , ,

Copyright© 顧問弁護士の企業法務サポートなら「ビズベン!」 , 2018 AllRights Reserved.