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人事労務

会社が行うべき健康診断の義務と内容(時間・費用など)

更新日:

会社は、その雇用する労働者に対して、「健康診断」を受けさせなければならない義務を、「労働安全衛生法」によって負っています。

会社は労働者を、健康な状態で働かせるという義務、「安全配慮義務」があるからです。

 重要 

会社が労働者に対して「健康診断」を受けさせない場合には、「50万円以下の罰金」が科されられるおそれがあります。

また、健康診断を受けさせなかったために重大な健康被害が生じた場合には、「安全配慮義務違反」による損害賠償の責任を負うおそれもあります。労働者が死亡するなど、結果が重大であると、賠償額も高額です。

健康診断を受けさせた上で、医師の意見にしたがい、労働者の健康に配慮する必要がある場合は、業務の変更、就業場所の変更、残業の減少などの措置を講じることが必要となります。

今回は、「安全配慮義務」に違反しないための会社の健康診断義務について、企業法務、人事労務を得意とする弁護士が解説します。

1. 健康診断の内容

会社が労働者に対して実施する必要のある「健康診断」には、「一般健康診断」と「特殊健康診断」の2つがあります。

「特殊健康診断」とは、次の3つの「健康診断」のことをいいますが、特定の危険な業務のケースのみに適用されるものとお考えください。

  • 有害業務に従事する者への健康診断
  • 有害業務に従事していた者への健康診断
  • 歯に悪影響を与える業務に従事する者に対する歯科医師による健康診断
 「特殊健康診断」の例 
  • 粉じん作業に従事する場合のじん肺検査
  • 有機溶剤中毒予防健康診断
  • 特定化学物質健康診断
  • 高気圧作業健康診断
  • 石綿健康診断

したがって、特定の危険な業務以外の場合には、まずは「一般健康診断」の種類と内容をきちんと理解するようにしましょう。

1.1. 雇入時の健康診断

まず、労働者を雇い入れた際には、所定の項目について、「健康診断」を行うことが会社に義務付けられています。

 健康診断の所定項目 
  • 既往症及び業務歴の調査
  • 自覚症状及び他覚症状の有無
  • 身長、体重、腹囲、視力・聴力の検査
  • 胸部エックス線検査
  • 血圧測定
  • 貧血検査
  • 肝機能検査
  • 血中脂質検査
  • 血糖検査
  • 尿検査
  • 心電図検査

「健康診断」の所定項目を省略することはできません。

ただし、例外的に、労働者が3か月以内に医師の診断を受けており、その結果を証明する書面を提出した場合には、その項目に限って健康診断を省略することができます。

1.2. 定期健康診断

会社は、その雇用している労働者に対して、1年以内ごとに1回、定期的に所定の項目についての「健康診断」を行うことが義務付けられています。

なお、「定期健康診断」の所定項目は、次の事項については、要件を満たすもので、医師が必要がないと認める場合には、省略が可能となります。

  • 身長
    :20歳以上の場合
  • 腹囲
    :40歳未満で35歳以外の者、BMI20未満の者)
  • 胸部エックス線検査
    :40歳未満で20,25,30,35歳以外の者、規定の業務に就いていない者
  • 貧血検査、肝機能検査、血中脂質検査、心電図検査
    :45歳未満で35歳以外の者

1.3. 特定業務従事者の健康診断

深夜業などの特定の業務に従事する労働者に対しては、その業務への配置のときと、その後6か月以内ごとに1回、定期的に所定の項目についての「健康診断」を行うことが義務付けられています。

ただし、胸部エックス線検査については、1年以内ごとに1回行えばよいものとされています。

1.4. 海外派遣労働者の健康診断

会社が、その雇用している労働者を6か月以上海外に派遣するときには、派遣するより事前に、所定の項目についての「健康診断」を行わなければなりません。

海外派遣者に対する「健康診断」では、「定期健康診断」の項目に加えて、次の項目のうち医師が必要と認める検査が必要となります。

  • 腹部画像検査(胃部エックス線検査、腹部超音波検査
  • 血中の尿酸量の検査
  • B型肝炎ウィルス抗体検査
  • ABO式・RH式血液型検査(派遣前に限る)
  • 糞便塗抹検査(帰国時に限る)

6か月以上の海外勤務をした労働者を帰国させ、国内の業務に従事させる場合にも、同様に「健康診断」が必要となります。

1.5. 給食労働者の検便

会社は、その事業場に付属する食堂、炊事場における給食の業務に従事する労働者に対して、その雇入れ、配置換えの際に、検便を行う義務があります。

2. 健康診断を実施するときのポイント

次に、「健康診断」を実施するときの、会社が気を付けておくべきポイントについて、弁護士が解説します。

2.1. パート労働者も健康診断が必要?

パート労働者などの非正規労働者の場合であっても、「健康診断」の義務を負う場合がありますので、注意が必要です。

労働安全衛生法では、「一般健康診断」の受診義務の対象は、「常時使用する労働者」とされています。そこで「常時使用する労働者」にパートやアルバイトが含まれるかどうかが問題となります。

「常時使用する労働者」とは、勤務時間が短い場合であってもこれにあたります。パートタイム労働者であっても、パートタイム労働法の次の要件に該当する場合、「健康診断」を受けさせなければなりません。

  • 期間の定めのない契約により使用される労働者、または、期間の定めのある契約により使用される労働者で、1年以上使用されることが予定されている者、及び更新により1年以上使用されている労働者
  • 1週間の労働時間数がその事業場で同種の業務に従事している通常の労働者の1週間の所定労働時間数の4分3以上である労働者

2つの条件を満たす場合には、会社は、パート・アルバイトであっても、一般健康診断を受信させなければなりません。

また、これらの条件を満たさなかったとしても、重大な障害など、なにかあったときに会社が「安全配慮義務」を負わないわけではありません。

つまり、会社は、どれだけ短時間しか働かない労働者であっても、その労働者の健康には配慮しておかなければいけないということです。

「1週間の労働時間数がその事業場で同種の業務に従事する通常の労働者の1週間の所定労働時間数の概ね2分の1以上の労働者」に対しては、「健康診断」を受診させることが望ましい、とされていることからも明らかです。

2.2. 健康診断の費用、給与は?

健康診断は、「労働安全衛生法」によって義務付けられた会社(事業主)の義務です。そのため、費用負担は、会社側の負担によって行わなければなりません。

他方で、健康診断を受けている時間について、「賃金(給与)を支払う必要があるか?」という点は、健康診断の種類によって異なります。

まず、雇入れ時の健康診断、定期健康診断は、業務に関連して行われるものではないため、賃金(給与)を支払う必要はありません。

他方で、「特定健康診断」などの特定の業務についている者に行う健康診断は、業務に関連して行うものであるため、賃金(給与)を支払う必要があります。

2.3. 健康診断は業務時間内に行うべき?

「賃金(給与)を支払う必要があるかどうか」とも関連する、もう1つの問題が、「健康診断を行う時間」の問題です。

業務に関連して行うような「特定健康診断」の場合には、賃金(給与)が支払われること同様に、業務時間内に行うことが原則です。業務時間外に行う場合は、時間外割増賃金(残業代)が発生します。

他方で、業務と関連して行われるものではない「一般健康診断」の場合、業務時間外に行うこととなります。

ただ、業務時間外に行うこととなると、労働者が健康診断受診に従わない結果、会社の「安全配慮義務」の履行が不十分となりかねないため、業務時間外に交代で受けに行くよう指示することがオススメです。

2.4. 健康診断を行った後の措置は?

健康診断を受診させる義務が会社に負わされているのは、会社の「安全配慮義務」をまっとうさせるためです。

そのため、健康診断を形式的に受けさせたからといって、これだけで放置しておいてよいわけではありません。

健康診断で判明した労働者の健康状態を、業務に反映していくことが本来の目的だからです。

「労働安全衛生法」では、「健康診断」を受診させた後、次のような措置を行うこととされています。

  • 結果の記録
  • 医師からの意見聴取
  • 健康診断結果の本人への通知
  • 医師による保健指導
  • 医師による面接指導

労働者の健康状態が悪化していることを知っていたにもかかわらず、業務内容の変更などの対処を全く行わない場合、業務による健康状態の悪化として、「安全配慮義務違反」の責任を負うおそれがあります。

50人以上の労働者を雇用している場合には、「定期健康診断結果報告書」の提出が義務付けられています。

 参考 

会社が安全配慮義務を負ってしまうリスクを少しでも低くするために、健康診断の結果が悪かった社員に対して、「二次健康診断」を受けるよう勧め、結果を提出するようはたらきかけます。

2.5. HIVなど重病者への配慮

会社は、労働者に対して、「健康診断」の結果を通知する義務を負っています。

これは、会社が労働者の健康に配慮すべき義務を負っていることからも明らかです。

また、逆に、労働者もまた自身の健康を保持して、継続的に働けるよう保身する義務がありますから、会社から通知された結果を踏まえて、自身の健康を増進しなければなりません。

しかし、この通知義務の例外として、HIVへの感染については例外であると判断した裁判例があります。

 東京地裁平成7年3月30日判決 

「健診結果を通知することが、かえって従業員の人権を侵害するような場合には、会社はこれを従業員に通知してはならない。」

ただし、医療は日進月歩ですので、どのような病気が「人権を侵害するような場合」にあたるかの判断は、その都度専門家である弁護士の判断を仰ぐのがよいでしょう。

3. 労働者が健康診断受診を拒否した場合

「健康診断にいく暇がない。」「健康診断など意味がない。」「検査や病院が嫌い。」・・・様々な理由で、健康診断の受診を拒否する労働者は少なくありません。

しかし、健康診断の受診を拒否されたまま放置した結果、労働者に対して健康上の被害が生じた場合には、会社が安全配慮義務違反の責任を負わざるを得ないケースもあります。

そのため、労働者に対して、健康診断受診を拒否させないような、次の方法を検討しましょう。

  • 労働者の行きやすい病院を指定する。
  • 有給休暇、半休の取得を推奨する。
  • 業務量を調整する。

なお、労働者には、医師を選択する自由があるとされており、会社の指定した病院で健康診断を受けなくても、自分が選択した病院で受診した健康診断の結果を会社に提出することによって代替が可能です。

会社の配慮によっても健康診断受診を拒否する労働者に対しては、就業規則に記載をすることによって、懲戒処分の対象とすることが可能です。

ただし、懲戒処分は合理的かつ相当なものである必要があるため、あまりに重い懲戒処分は無効となるおそれがあります。

4. 医師による面接指導が義務付けられる場合

以上で解説しました健康診断以外に、長時間労働を行っている者に対しては、そのメンタルヘルスなどに配慮するため、医師による面接指導を行う必要があるものとされています。

まず、週40時間を超える労働が、1か月あたり100時間を超え、かつ、疲労の蓄積が認められる労働者には、その労働者からの申出があった場合には、原則として医師による面接指導を行わなければなりません。

また、100時間以下であっても、週40時間を超える労働が1か月あたり80時間を超えたことにより疲労の蓄積が認められ、又は健康上の不安を有している労働者に対しても、面接指導あるいはそれに準じる措置を行うように努めなければならないものとされています。

5. まとめ

今回は、会社による、雇用している労働者に対する「健康診断受診義務」について、弁護士が解説しました。

会社は、労働者を健康かつ安全に働かせなければならないという、「安全配慮義務」を負っています。

この義務に違反して労働者が健康を害した場合には、損害賠償請求によって思わぬ損失を被るリスクがあります。

したがって、このリスクを事前に予防するためにも、「労働安全衛生法」にしたがった適切な「健康診断」の実施が重要となります。

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