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「職能給」から「職務給」へ!違いは?「働き方改革」と旧来の制度

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「働き方改革」が話題となっています。その重要なポイントとして、「同一労働同一賃金」と「労働時間の上限規制」があります。

社員の働き方はこれによって大きく変わることが予想され、労働時間の規制が強化されるにしたがって、「勤続年数」などの個人単位の評価ではなく、その遂行できる仕事や能力による給料の評価が進んでいく傾向にあります。

これが、「職能給(職能制)」から「職務給(職務制)」への変化です。

今回は、「働き方改革」によって変わる給与制度の考え方について、企業の労働問題(人事労務)を得意とする弁護士が解説します。

1. 「働き方改革」で何が変わる?

「働き方改革」の動きのポイントとなるのが、「同一労働同一賃金」のルールと、「長時間労働の抑制」です。

この2つのポイントの結果、今後、労働者は、「労働時間」で評価されるのではなく、「職務の内容」で評価され、給与の金額を決めることとなります。

その分、長時間労働を強制していた社員は、今よりも労働時間が短くなりますが、会社への貢献の少ない社員の給与は減ることになります。

限られた労働時間で、今までと同じ業務量をこなさなければならない分、能力の高い社員ほど高給となり、その分「生産性の向上」が求められることになります。

2. 「職能制」から「職務制」へ

「同一労働同一賃金」のルールによって、給与システムは、「職能制(職能給)」から、「職務制(職務給)」にシフトします。

これまでは、「新卒一括採用」、「長期雇用」、「年功序列」という慣行があり、長く働けば長く働いた分だけ賃金は上げなければならないのが一般的でした。

しかし、これからは、与えられた「職務」によって賃金を決めることから、生産性が低く、能力も低い社員の給与は、どれほど長くはたらいていても低くすることになるわけです。

2.1. 「職能制(職能給)」とは?

「職能制(職能給)」とは、会社が社員(従業員)の給与を決めるにあたって、人そのものを評価対象として、人の評価に応じて給与を決めるやり方をいいます。

「日本型雇用」ともいわれ、旧来の日本の雇用慣行である「新卒一括採用」、「長期雇用」、「年功序列」と整合する給与体系です。

つまり、勤続年数が長くなればなるほど、給与が高くなり、その分、「終身雇用」を前提とした社内での育成が進むというわけです。

その結果、「職能制(職能給)」の場合、社員はジェネラリストになり、配転されても賃金が変わることはないのが原則です。

2.2. 「職務制(職務給)」とは?

「職務制(職務給)」とは、業務の種類によって社員(従業員)の給与が決まる制度のことをいいます。

「欧米型雇用」ともいわれ、現在、日本もまた、「人」を単位とするのではなく「仕事」を単位とする評価制度をとる会社が増えてきています。

つまり、勤続年数にかかわらず、任された職責によって給与が増減し、配転されたり職種が変更したりすることによって、給与は増えることも減ることもあるわけです。

その結果、社員の能力は外部で磨かれることになり、「スペシャリスト」は、会社に依存せず、人材は流動します。

3. 「職務給」に移行していく理由

では、「職務給」と「職能給」の違いを理解していただいた上で、「働き方改革」などの動きによって、日本でも「職務給(職務制)」に移行しつつある理由はどのようなものでしょうか。

日本型の、「勤続年数が上がれば能力も上がるはず。」という考え方の限界について、弁護士が解説します。

3.1. 経済成長が鈍化したこと

高度経済成長期やバブル期など、経済成長が常に速いスピードで進んでいるときには、勤続年数が増加するごとに給与が増えていっても全く問題ありません。

しかし、経済成長が頭打ちになり、社員の高齢化が進むと、人件費が、会社経営を圧迫するようになります。

勤続年数が長いだけで、生産性の低い仕事しか任されていない社員の人件費を削るため、「職務給」に移行する必要があるのです。

3.2. 多様な社員を活用する必要があること

労働人口が減少する中で、女性や高齢者、外国人など、多様な社員を活用して、労働力不足を補う必要がでてきます。

しかし、これらの多様な労働力は、正社員から定年まで働き続けるという従来の雇用慣行にはあてはまらず、同じ仕事ができても、給与が低くなってしまいます。

そこで、女性や高齢者、外国人などの多様な労働力を確保するためにも、勤続年数によらず、仕事の内容で給与を決める「職務給」に移行する必要があるのです。

4. まとめ

今回は、「働き方改革」の目玉である「同一労働同一賃金」により「職務給」の導入が進むことと、そのポイントについて、弁護士が解説しました。

これを機に、社内の給与体系を見直し、より御社に合った賃金の支払い方を考えてみてはいかがでしょうか。

労務管理にお悩みの会社経営者の方は、企業の労働問題(人事労務)を得意とする弁護士に、お気軽にご相談ください。

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