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団体交渉の参加者(出席者)の人選で、会社が注意するポイント5つ

団体交渉の当事者は、「会社」と「労働組合」ですが、実際に参加(出席)する人は、どのような人を人選すべきでしょうか。法律上、団体交渉の参加者(出席者)について明確なルールはないため、各当事者が自由に選択できます。

しかし、あくまでも、労働組合法などの重要な法律に「○○を参加させなければならない」というルールがないだけで、実務上は、団体交渉の参加者・出席者を選択するとき、「戦略的に」検討しなければならない重要なポイントが多くあります。

労働組合対応、団体交渉対応を、会社側(使用者側)にとって有利に進めるためには、労働組合法に厳しいルールの規定られていない、実務上、戦略的なポイントを理解する必要があります。

特に、会社側(使用者側)の人選の点でも、不適切な人選をするなど、団体交渉における誠実かつ実質的な議論を阻害することとなると、団交拒否(不誠実団交)の不当労働行為として、違法となります。

今回は、団体交渉の参加者(出席者)を選ぶとき、会社側(使用者側)が注意すべきポイントを、人事労務を得意とする弁護士が解説します。

「労働組合対策・団体交渉対応」の法律知識まとめ

目次(クリックで移動)

会社側の団体交渉の参加者(出席者)の人選

まず、団体交渉に、会社側(使用者側)の参加者(出席者)の人選について、参加者の候補ごとに順に検討をします。

原則として、参加者(出席者)の人選は、会社の裁量に任されており、労働組合側の要望に応じる必要はありません。ただし、交渉事項についての決定権限を有する者が交渉担当者にならない場合、十分な交渉が期待できないことを理由に、団交拒否(不誠実団交)の不当労働行為であると評価されるおそれがあります。

具体的に、その人が団体交渉に参加すべきであるかどうかは、最終的には、個別の団体交渉ごとのケースバイケースの判断となります。

会社の代表者(社長)

まず、会社の重要事項に関する最終決定権を持っているのは会社の代表者(社長、個人事業主の場合にはその事業主)です。

最も大きな決定権を持つ会社の代表者(社長)を団体交渉に参加させるべきかどうか、について解説します。

会社の代表者(社長)が、団体交渉に出席するメリットとして、次のことが考えられます。

代表者(社長)が出席するメリット

  • 重要事項について、団体交渉の席上で即決し、迅速な解決ができる。
  • 他の社員に知られず、会社内に労働問題を波及させずに解決できる。
  • 会社内の労働問題を深く理解し、今後の予防に資することができる。

労働組合側が、「団体交渉申入書」において、会社の代表者(社長)の出席を強く求めるケースも少なくありません。特に、個別の労働者についての労働問題が議題となるとき、その労働者が「社長に責任追及したい」という思いが強い場合があります。

しかし、冒頭で解説したとおり、代表者(社長)を出席させるかどうかについても、会社の裁量に任されています。会社の代表者(社長)が団体交渉に参加することは必須ではありません

会社側(使用者側)における戦略的な人選を考えるにあたって、代表者(社長)を出席させない方が良いケースもあります。次の通り、代表者(社長)が団体交渉に参加することには、デメリットもあるからです。

代表者(社長)が出席するデメリット

  • 予め知らされず、準備不足の議題に対する即断即決を迫られる。
  • 社長個人としての考えを表明するよう強要される。
  • 経営方針など、議題以外の一般的な事項に関する意見表明、情報開示を求められる。

特に、中小企業、ベンチャー企業など、規模の小さい会社の代表者(社長)の場合には、社内の全業務に目を配らなければならず、非常に多忙であることが一般的です。

労働組合からの要求がいかに強くとも、断固たる態度で拒否すべき場合もあります。

参考

団体交渉に会社の代表者(社長)が参加することには、メリットもありますので、「団体交渉への社長の参加は控えるべき」という一律のアドバイスもまた、不適切です。

団体交渉における話し合いで解決ができない場合、その労使紛争は、訴訟・労働審判などの裁判所の手続や、不当労働行為救済命令申立てという労働委員会における手続で、継続して争われることになります。

迅速な解決を第一に考え、ケースバイケースでの対応が必要です。

団体交渉対応を取り扱う弁護士

会社から、団体交渉・労働組合対応について委任を受けた弁護士も、団体交渉に参加、出席する権利があります。

とはいえ、団体交渉はあくまでも、会社と労働者との間の話し合いですから、労働訴訟のように、弁護士だけにすべてを任せることはできません。

あくまでも、弁護士が団体交渉に参加するのは、会社を法的にサポートする役割を果たすためであって、会社もまた、「当事者意識」をしっかり持って団体交渉に臨まなければなりません。

弁護士だけが出席する団体交渉は、実質的な決定権を持つ者が参加していないため、団交拒否(不誠実団交)の不当労働行為となるおそれがあります。弁護士を依頼する場合も、会社の交渉担当者が少なくとも1名は必要です。

団体交渉は、労働問題の中でも、特殊な分野であり、団体交渉に同席した経験が豊富にある弁護士に依頼することがお勧めです。

会社の顧問弁護士

会社に顧問弁護士がいる場合、顧問弁護士に団体交渉へ参加してもらうことも検討すべきです。

特に、団体交渉において個別の従業員についての労働トラブル(解雇、残業代未払いなど)が議論される場合、その労働問題について継続的にアドバイスを行ってきた弁護士が、事情に精通しているからです。

顧問弁護士が、労働問題にあまり詳しくない場合や、特に、団体交渉の経験が乏しい場合には、顧問弁護士と合わせて団体交渉の経験豊富な弁護士が、交渉担当として同席するケースもあります。

管理部門(人事部・総務部など)の責任者

会社側の団体交渉参加者の中で、最も重要な役割を果たすのが、人事労務・総務部門の責任者です。

代表者(社長)が参加することが必須ではないとはいえ、実質的な決定権のある人物が参加しなければ、団交拒否(不誠実団交)の不当労働行為となるおそれがあります。

そこで、労働問題に関する責任者である、人事労務・総務部門の責任者を団体交渉の参加者とすることで、団体交渉の場にも決定権者を参加させることが可能です。

直属の上司などの現場責任者

個別の労働者に関する労働トラブルが、団体交渉の議題となるケースでは、議題となる労働トラブルの内容をよく知る人物が出席するほうが議論がスムーズに進みます。

そこで、現場責任者や、直属の上司を参加させることを検討してください。

現場責任者や直属の上司を参加させることによる団体交渉におけるメリットは、次のような点です。

直属の上司が出席するメリット

  • 団交拒否(不誠実団交)の不当労働行為となる危険を回避できる。
  • 事実関係を良く知る人が、労働組合側の主張に具体的に反論できる。

しかし一方で、直属の上司や現場責任者が、団体交渉に参加しないほうが良いケースもあります。団体交渉の議題や、予定されている議論に応じて、慎重な判断が必要です。

例えば、次のケースでは、直属の上司、現場責任者、管理職が出席することがデメリットとなるため、会社の代表者(社長)と弁護士のみで団体交渉に応じるべき場合もあります。

直属の上司が出席するデメリット

  • 社員に知られたくない経営上の秘密、機密情報が開示されるおそれがあるケース
  • 他の労働者にも波及する労働問題(未払残業代など)を議論するケース
  • 直属の上司との感情的対立があるケース(パワハラ・セクハラ加害者である場合など)

特に、事情を一番よく知る会社側(使用者側)の当事者が、セクハラの加害者である場合など、団体交渉に参加させることが、そもそも適切でないケースもあるため、注意が必要です。

団体交渉における会社側の交渉担当者

ここまで解説した通り、会社側(使用者側)で団体交渉に出席する会社の代表者、役員、弁護士などが、団体交渉において会社側の交渉担当者となります。

団体交渉は、非常に特殊な環境における交渉のため、弁護士の協力を得ておくことは当然ですが、会社側で参加する交渉担当者もまた、それに適した人物を選定する必要があります。

団体交渉の交渉担当者として備えているべき能力は、次のようなものです。

  • 会社側の主張を、明確に、わかりやすく伝えることができる。
  • 労働組合側の主張・要求が不当な場合、断固たる態度で拒否できる。
  • 感情的にならず、冷静に議論することができる。

会社の代表者(社長)の中には、団体交渉における労働組合との議論が白熱してくると、感情的になり、冷静な議論ができなくなる方も少なくありません。

また、人事労務・総務担当者の中には、事務能力が優れいていても、団体交渉における議論には向かない方もいます。

労働組合側・労働者側の参加者(出席者)

団体交渉の当事者は、「会社」と「労働組合」です。

会社側(使用者側)にとって、団体交渉の参加者・出席者の人選が戦略上有利に進めるために重要であるのと同様、労働組合側・労働者側でどのような人物が団体交渉に参加するのかを、事前に知っておくことも重要です。

そこで次に、相手方当事者となる、労働組合側の団体交渉の参加者・出席者について、弁護士が解説します。

労使紛争の中心となる労働者

申し入れられた団体交渉の議題が、個別の労働者に関する労使紛争の場合には、その労使紛争の対象となっている労働者が、団体交渉の主要な出席者になります。

その他の出席者が何名いても、あくまでも、労使紛争の対象となる労働者のサポート的な立場ですが、あくまでも、団体交渉の主体は「労働組合」であり、「労働者個人」ではありません。

そのため、労使紛争の中心となる労働者が出席しているからといって、次のような発言をすると、支配介入の不当労働行為に当たるおそれがあります。

  • 「労働者個人と話がしたいので、労働組合の人は黙っていてほしい。」
  • 「労働組合は、今回の問題には関係がないのではないか。」
  • 「わざわざ団体交渉することではなく、社長に直接言うべきだ。」
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労働組合の代表者・組合員

次に、労使対立の中心となっている労働者が加入した労働組合のメンバー(組合員)も、団体交渉に参加する権利があります。

先ほど解説した通り、ある労働者についての個別の労使紛争が団体交渉の議題である場合でも、団体交渉の主体はあくまでも「労働組合」です。したがって、労働組合の代表者・組合員が参加することを、会社は拒否できません。

団体交渉におけるやり取りで、労働者の加入する労働組合の組合員の参加を拒否することは、労働組合を無視する行為であり、支配介入の不当労働行為に当たります。

労働組合法にいう「労働組合」には規約が存在し、その組合規約において、対外的に組合を代表する者が定められています。通常は「委員長」と呼びます。

労働組合には、対外的代表機関である「委員長」以外に、副委員長、書記長といった役職名があり、団体交渉には、労働組合の役職者と、複数名の組合員が参加することが一般的です。

注意ポイント

特に、解雇された元社員が、合同労組・ユニオンなどの社外の労働組合に加入したとき、全く見ず知らずの第三者との間で、会社の問題について議論することは、会社にとって抵抗が大きいです。

しかし、合同労組・ユニオンなどの社外の労働組合は、社員1名からでも加入することができ、労働組合の権利(団結権、団体交渉権、団体行動権)を保障された団体であることを理解しなければなりません。

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上部団体の組合員

合同労組・ユニオンなどの労働組合は、各会社、地域などを単位に支部を作って組合活動をしますが、上部団体となる大きな労働組合に所属していることが一般的です。

労使トラブルの中心となった社員が、合同労組・ユニオンなど社外の労働組合の支部に加盟したとき、上部団体となる労働組合の組合員もまた、団体交渉に参加・出席してくることがあります。

合同労組・ユニオンの上部団体の代表者(委員長)などは、団体交渉への参加経験が豊富で、労働組合法をはじめとした労働法に精通しているため、団体交渉を主導し、頻繁に発言を行います。

労使紛争の対象となる社員はともかくも、上部団体の組合員など、「全く無関係ではないか」と感じる会社も多いかと思いますが、上部団体の組合員の参加を一切受け付けないという対応もまた、不当労働行為として違法となるおそれの高い対応です。

上部組合が労働組合の要件を満たす場合には、上部組合にも「団体交渉権(団体交渉をする権利)」があるためです。

団体交渉における労働者側の交渉担当者

ここまで解説してきた通り、団体交渉における労働組合側の参加者(出席者)が数多く、場合によっては10人以上などの大人数となることもあります。

その中でも、実際に交渉の窓口となり、主に発言をするのは、交渉担当者となる数名であることが一般的です。

労働組合法では、団体交渉において労働者側の交渉担当となる者は、「労働組合の代表者又は労働組合の委任を受けた者」(労組法6条)とされており、労働組合は、交渉権限を第三者に委任できます。

実際に、団体交渉において、労働者側の交渉担当者となることが多いのは、次の人物です。

  • 労使紛争の中心となる労働者
  • 所属する労働組合もしくは上部団体の役職者(委員長など)
  • 労働組合の委任した弁護士

団体交渉を、会社側(使用者側)有利にするためどのように進めるべきか、労働組合側の要求にどう対応すべきかは、交渉担当者の進め方によってもケースバイケースの対応が求められます。

労働組合側にも、要求を通すための戦略があり、労働組合側の交渉担当者のタイプと進め方に応じて、見極めが必要だからです。

参考

労働協約で、労働組合に対して、団体交渉の交渉権限を委任できる人物を、組合員に限るという内容の約束をしている場合があります。

会社側(使用者側)として、無秩序に社外の人間が団体交渉に出席し、発言、交渉をすることを回避することが目的です。

このような第三者委任禁止条項のある労使協約を締結している場合には、団体交渉に参加・出席し、交渉担当となることができる人物は、労働組合の組合員に限られます。

団体交渉の参加者(出席者)の適正人数は?

団体交渉の参加者(出席者)を人選するにあたって、気になることは「団体交渉には、会社から何人程度参加すればよいのか?」という点、つまり「参加者(出席者)の適正人数」です。

会社側で団体交渉へ参加・出席する人数は、多すぎても少なすぎてもいけません。

まず第一に、「会社側の参加者が多ければ多いほど、発言力が増し、有利に進められるのではないか。」という会社側の考えは誤りです。団体交渉への参加者が多すぎることにより、次のデメリットがあるからです。

会社側の参加者が多すぎることのデメリット

  • 発言者、交渉担当者が定まらず、会社の方針が一貫しない。
  • 参加者の準備不足による不適切発言を予防できない。
  • 発言しない参加者の人件費が無駄になる。
  • 会社側の団体交渉への態度が威圧的と評価され、不当労働行為となる可能性がある。

逆に、「団体交渉など無駄だ。仕事に支障が出ないよう、できるだけ参加者を少なくすることはできないか。」、「できれば、弁護士だけで出席してきてほしい」というご相談も受けますが、これもまた、不適切な考え方と言わざるを得ません。

団体交渉への参加者が少なすぎる(もしくは、会社側出席者が弁護士のみである)ことにより、次のデメリットがあるからです。

会社側の参加者が少なすぎることのデメリット

  • 労働組合からの人数によるプレッシャーに押され、冷静な議論ができない。
  • 事情をよく知る担当者がおらず、的確な反論ができない。
  • 交渉の実態を有していないとして、不当労働行為となる可能性がある。

このように、多すぎても少なすぎても問題のある会社側(使用者側)の団体交渉の人数について、適正人数を知るためには、次の事情を総合考慮する必要があります。

そして、団体交渉における参加者の適正人数は、団体交渉の議題の重要性や問題の性質により、ケースバイケースでの判断が必要となります。

  • 団体交渉の議題の重要性、性質、内容
  • 団体交渉で問題となる個別労使紛争の内容
  • 団体交渉で問題となる事項の具体的事実を知る社内関係者の人数
  • 団体交渉の相手方となる労働組合の参加者として予想される人数

労働組合側の出席者の人数が多すぎて、団体交渉の場が騒然とし、冷静な議論が全くできないケースのことを「大衆団交」といいます。

「大衆団交」となってしまった場合、会社側(使用者側)は、その団体交渉を中止し、問題が改善されない限り団体交渉を拒否したとしても、不当労働行為には当たりません。

あまりに労働組合側の出席人数が多すぎて「大衆団交」となる可能性がある場合には、次回の団体交渉より、書面によって、参加者・出席者の人数を制限するよう、事前に約束を取り交わす方法もあります。

団体交渉の参加者を選ぶポイント

最後に、会社側(使用者側)が、団体交渉の参加者(出席者)を選択する際に、特に気を付けておいてほしい注意ポイントを、弁護士が解説します。

事前に団体交渉参加者についてのルールを決める

会社と労働組合との間で、団体交渉の手続的なルールについて、団体交渉を行う前に、事前に話し合いを行うことがあります。

団体交渉における実質的議論よりも前に話し合うべき手続的なルールとは、日程、時間帯、場所(会場)のほか、団体交渉の参加者(出席者)に関する事項も含まれます。

特に、特定の人物の出席が必須となるケース、労働組合側が大人数で押し寄せてくることが予想できるケースなどでは、団体交渉の参加者についてのルールを、会社と労働組合との間で合意し、書面に残しておく方法があります。

労働組合の要求に従う必要はない

会社は、労働組合法(労組法)によって、労働組合による団体交渉に誠実に応じるべき義務(団交応諾義務)を追っています。

しかし、会社側(使用者側)の参加者について、労働組合側の要求に従う必要はありません。

労働組合が、団体交渉申入れの際に、会社側参加者について要求を突き付けてくるケースがありますが、その要求を受け入れることが早期解決につながるのでない限り、会社としてはその要求を拒否することもできます。

団体交渉の参加者は、不当労働行為とならない範囲においては、会社、労働組合のそれぞれが自由に選択するものです。

交渉権・決定権ある人を出席させる

とはいえ、団体交渉の会社側参加者が、平社員ばかり、もしくは、弁護士のみといった具合に、団体交渉での解決がおよそ期待できない状態であることは不適切です。

誠実に団体交渉に応じていないと評価され、「不誠実団交」という不当労働行為にあたり、違法とされるおそれがあるからです。

代表者、社長が必ずしも出席することが絶対ではないものの、少なくとも一定の交渉権、決定権のある人物を出席させなければなりません。

2回目以降の団体交渉の参加者は?

団体交渉の参加者に関するよくある相談ケースとして、「次回の団体交渉も、同じ参加者でよいのでしょうか?」というものがあります。

団体交渉は、1回限りで解決することはむしろ稀で、労使間で、複数回にわたって団体交渉を行いながら、徐々に労働問題を解決していくのが通常です。

1回1回の団体交渉で、あまり議論が進んでいないと感じたり、労働組合側から再度出席者についての要求されることがあって、このような相談ケースに至るのでしょう。

この問題についても「不誠実団交となるか?」という観点から考えてください。不誠実団交でない、すなわち、交渉権・決定権を有する人が参加している限り、会社側の参加者を変更する必要はありません。

むしろ、参加者を追加したほうが、議題となっている労働トラブルについて、労働組合側により詳しく説明が可能であると考える場合は、出席者を追加することを検討してください。

「人事労務」は、弁護士にお任せください!

今回は、団体交渉の参加者(出席者)について、弁護士が詳しく解説しました。ただ、実際の団体交渉のとき、「誰を参加・出席されたらよいのか」は、ケースに応じて個別の検討が必要です。

合同労組・ユニオンなどの労働組合から団体交渉の申入れを受けた会社が、参加者・出席者の人選を行うとき、「どの役職の人を選ぶことが適切なのか?」、「適切な人数は何人なのか?」など、お悩みが多いかと思います。

団体交渉の経験がない会社ほど、この先行われる団体交渉がどのようなものなのか予想できず、会社側の参加者・出席者選びに苦労します。

労働組合法(労組法)のポイントを押さえ、特に、違法な「不当労働行為(団交拒否・不誠実団交)」にならないよう注意することに加え、団体交渉の実務上のポイントを踏まえ、有利に進められる人選が必要です。

「労働組合対策・団体交渉対応」の法律知識まとめ

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