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家賃滞納で立ち退きさせる方法│契約解除から明け渡しの強制執行までの流れ

家賃滞納者が居座ると、不動産オーナーや管理会社には大きな機会損失となります。そのため、家賃滞納者を直ちに追い出すのが、収益を生む賃貸管理の重要なポイント。放置すれば、不動産を有効活用する機会を阻害されます。

家賃滞納をする側にも、業績悪化で手持ちキャッシュがないなど、賃料を払えない理由があるでしょう。話し合いで解決しようにも進まない場合に理解したいのが、家賃滞納を理由とした追い出しの方法です。具体的には、家賃滞納を理由に契約を解除し、明け渡し訴訟から、強制執行へと進む流れとなります。

このような流れの中で、どの段階で、どれほどの期間で家賃滞納者を追い出せるかは、プレッシャーの強さや手続き進行の円滑さによって変わるので、期間を短縮するには、弁護士に依頼するのが有効です。自力救済は禁止され、たとえ家賃滞納があれど無理やり追い出しては後の紛争で不利になりかねません。

今回は、家賃滞納による追い出しの方法を、家賃滞納による契約解除というスタート地点から、家賃滞納による強制執行という最終段階まで、企業法務に強い弁護士が解説します。

この解説のポイント
  • 家賃滞納による立ち退きは、信頼関係を破壊するほどの滞納が条件(3ヶ月以上の賃料未払い)
  • 家賃滞納で速やかに明け渡しさせるには、交渉・訴訟・強制執行の流れで進める
  • 自力救済は禁止されるため、プレッシャーを強めるには弁護士から警告を送るのが有効

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家賃滞納で立ち退きさせる方法

賃貸借は、民法の典型契約の1つであり、貸主が借主に対して、使用収益させることを約束し、これに対して借主が賃料を払うこと、契約終了時に返還することを約束することによって効力を生じる契約です(民法601条)。

民法601条(賃貸借)

賃貸借は、当事者の一方がある物の使用及び収益を相手方にさせることを約し、相手方がこれに対してその賃料を支払うこと及び引渡しを受けた物を契約が終了したときに返還することを約することによって、その効力を生ずる。

民法(e-Gov法令検索)

賃貸借契約によって借主は、「賃料を支払う義務」を負います。家賃滞納はこの義務を怠るものであり、賃貸借契約に違反することを意味します。契約違反はすなわち債務不履行ですから、もう一方の「物を貸す義務」を果たす必要もなくなり、賃貸借契約は解除できるようになるのが原則。これが、家賃滞納による立ち退きの基本です。

つまり、家賃滞納による立ち退きの基礎には賃料不払いという債務不履行を理由とした賃貸借契約の解除があります。企業法務の分野で「テナントの家賃滞納」の紛争が特に拡大しやすい理由は、次の通りです。

  • 家賃滞納する企業は、業績不振であり、現実問題としてキャッシュがない
  • 経営の基礎となるオフィスを奪われると収益が上がらず、ますます賃料が払えない
  • オフィス賃料は、住居の家賃に比べて高額なことが多い
  • 初期コストをかけて内装、設備投資をした場合、追い出されると損失が大きい
  • オフィスの明け渡し時は、原状回復が問題となりやすい

これらの特徴から、貸主にとっても借主にとっても交渉による譲歩は難しく、問題は複雑化。家賃滞納の問題がしばしば、明け渡し訴訟、強制執行まで発展します。

家賃滞納で立ち退きさせる方法は、次の流れで進めます。以下でそれぞれ、詳しく解説します。

家賃滞納による契約解除

家賃滞納を理由に立ち退きさせるには、まず賃貸借契約を解除する必要があります。

賃貸借の契約が、その場所を借りる基礎となっています。その契約関係を、解除によって終了させることで、その場に留まる根拠を失わせられるところ、家賃滞納という契約違反は、解除の理由となり得ます。

契約解除の条件(信頼関係破壊の法理)

家賃滞納を理由として賃貸借契約を解除するには、まず、賃料を支払うよう催告する必要があります。

催告後、相当期間内に借主が払わなければ賃料の未払いとなり、その後に、貸主は借主に対し、契約解除の意思表示をします。催告、契約解除の意思表示はいずれも、証拠に残すために内容証明の方法で送付すべきです。ただし、このような原則に対し、賃貸借契約の解除には、次の信頼関係破壊の法理による例外を考慮しなければなりません。

信頼関係破壊の法理とは

賃貸借は、信頼関係を前提とした継続的な契約なので、1回限りの契約とは異なり、1度だけの債務不履行で即座に解除することは許されないとするのが裁判例の実務です。

信頼関係を前提に、借主は内装費や設備投資などのコストを投下しており、1度の未払いのみで解除されてしまっては不利益が大きすぎるからです。裁判例で採用されるこの考え方を「信頼関係破壊の法理」と呼びます。

したがって、信頼関係の破壊の法理によって、家賃滞納により契約を解除するには、「賃貸人と賃借人との間の信頼関係が、実質的に破壊された」と評価される必要があります。

3ヶ月ほどの家賃滞納があれば、信頼関係が破壊されたと評価するのが裁判例の実務です。

契約解除の方法

次に、契約を解除するための方法と、その流れ、進め方について解説します。

家賃滞納による契約解除までの流れでは、まずは賃料の請求、催告、そして解除の意思表示といった順で進めますが、それぞれ内容証明を送るのは手間がかかります。少しでもスピーディに進めるには、賃料請求と、未払いの場合の解除の通知を合わせて盛り込んだ内容証明を作成し、送付するのが実務的です。

弁護士名義で内容証明を送付することで、円満に賃料が払われ、家賃滞納が解消されるケースもあります。連帯保証人がいるときには、必ず同時に請求しておきます。

契約解除の内容証明の記載例

内容証明に記載すべき内容は、例えば次の点です。

  • 差出日
    内容証明の差出日は、解除の起算点となるため、必ず記載し証拠化する。
  • 賃貸借契約の特定
    物件名、契約日などを明示し、どの賃貸借契約かを特定し、借主が複数物件を借りているケースに備える。
  • 未払い金額と、支払方法(振込先など)
    内容証明によるプレッシャーで賃料が支払われる可能性があるので、振込先を必ず記載する。未払いの賃料が何ヶ月相当分かを合わせて記載し、契約解除、明け渡しの請求といった立ち退きへの流れが近いことを示す。
  • 支払期限
    支払いの期限を区切ってプレッシャーをかける。書面到達から相当期間を定めて記載する。
  • 解除の意思表示
    支払いの期限までに未払いが解消されなかったとき、新たな通知なく本書面をもって解除の意思表示とすることを記載しておく。

家賃滞納者を立ち退きさせるために送るべき内容証明の記載例は、次の通り。あくまで書式のテンプレートであり、記載すべき内容はケースバイケースで修正、変更する必要があります。

通知書

20XX年XX月XX日

株式会社XXXX
代表取締役XXXX殿

株式会社YYYY
代表取締役YYYY

当社は、貴社に対して、20XX年XX月XX日付賃貸借契約書のとおり、○○○○所在の物件名「ZZZZ」を、賃料月XX万円にて賃貸しています。しかしながら、貴社は、本年XX月分より賃料の支払いを遅滞し、現在XXX万円(月額賃料○か月分)の滞納をしています。

ついては、本書面到達後1週間以内に、上記金額を当社指定口座に振込するよう請求します。万が一、上記期限に支払いを確認できない場合は、改めて通知をすることなく、上記期限の経過をもって賃貸借契約を解除することを本書面により通知します。

以上

無催告解除できるケース

賃貸借の解除は、賃料の催告を要しますが、例外的に、無催告で解除できるケースがあります。

無催告で解除できれば、家賃滞納者の立ち退きまでの期間を短縮でき、機会損失を減らせます。以下の無催告解除特約、失権約款の2つの方法を活用すれば、催告することなく契約を解除し、家賃滞納者を速やかに立ち退かせることができます。

ただし、最高裁は、家賃滞納などを条件に、無催告解除して明け渡したものとみなす、いわゆる「追い出し条項」について、消費者の利益を一方的に害するため消費者契約法10条に違反すると判断し、使用を差し止める決定を出したことには注意を要します(最高裁令和4年12月12日決定)。あまりに強力で、一方的な条項を置くと、後に無効と判断され、その条項を使って追い出しができなくなるおそれがあります。

無催告解除特約

無催告解除特約とは、その名の通り、催告なく解除できるとする特約です。オフィスの賃貸借契約では、無催告解除特約が記載されるのが通例となっています。例えば、次の条項です。

第XX条(無催告解除)

賃料の滞納があり、その未払い金額が賃料1ヶ月分相当額を超えたときは、賃貸人は、何ら催告を要すること無く直ちに本契約を解除できる。

ただし、裁判例においてこの無催告解除特約が常に有効と判断されるわけではなく、「催告なしでも不合理でないと認められる事情がある場合」に限り有効とした例もあります。念のため催告も並行して行う方がリスクを軽減できます。なお、次の失権約款とは異なり、催告を要しない場合でも解除の意思表示は必要です。

失権約款

失権約款とは、条件を満たすと当然に契約関係が終了したものとして扱う条項です。

ただし、失権約款は、無催告解除特約よりも更に、有効となる場合が制限されます。「当事者間の信頼関係が賃貸借契約の当然解除を相当とするまで破壊された場合のみ有効」と判断する裁判例もあるため、失権約款があることに甘んじず、立ち退きまでのプロセスを通常の流れ通り進めるのが良いでしょう。

家賃滞納による明け渡しの請求

前章の流れに従って、家賃滞納を理由に契約を解除したら、次に、明け渡しを請求します。

賃貸借が解除されればその場に留まる権限がなくなりますから、交渉で協力的に立ち退きが果たせないときは、明け渡し請求の訴訟をし、裁判所の判断を求めることができます。

明け渡しの交渉

前章の通り、催告と共に、契約解除を通知します。ただし、解除の通知をしてもなお、生活の拠点やオフィスを即時に立ち退くのは、現実問題として難しいことも多いもの。次に解説する訴訟、強制執行の流れにも費用を要しますから、協力的に明け渡してもらえないか、まずは交渉します。

交渉で決めた明け渡しの条件は、合意書にまとめて締結します。合意書に記載すべき内容は、例えば次の点。

  • 明け渡し日
    契約解除によって権限はなくなり、直ちに明け渡す必要はあるが、現実問題としていつまでに明け渡せるか、最終期限を決めておく必要がある。最終期限までに必ず立ち退くことを約束させ、ある程度猶予をもたせる譲歩も検討に値する。
  • 明け渡しの方法
    トラブルとなった後だと、鍵の受け渡しや設備の点検などが円滑に進まないおそれがある。
  • 滞納した賃料の支払いスケジュール
    家賃滞納を理由に契約を解除し、立ち退き、明け渡しが済んだ後でも、賃料の支払義務はなくならない。
  • 原状回復について
    家賃滞納者は費用を捻出できないことがあるため、内装変更や破損を放置されないよう原状回復についての約束を定めておく。
  • 残置物の取り扱い
    残置物を放置して逃げる家賃滞納者の対策のため、残置物の取り扱いのルールを決めておく。

この際も、弁護士名義の内容証明が大きなプレッシャーとなり、任意の明け渡しを早められます。弁護士に依頼し、家賃滞納を許さない姿勢を明らかにすれば、明け渡しへの本気度を示し、交渉が進行するケースも少なくありません。少しでも早く明け渡してくれるなら、滞納家賃の免除、明け渡し期間の猶予といった譲歩も、合理的である限り検討してください。

明け渡し請求訴訟

話し合いでは明け渡しをしない場合には、明け渡し請求訴訟を提起し、裁判所の判断を求めます。明け渡しの請求と合わせて、滞納家賃の請求も行います。

家賃滞納を理由とした立ち退きのケースで、裁判所に明け渡しを認めてもらえるかどうかは、前章「契約解除の条件(信頼関係破壊の法理)」の通り、信頼関係を破壊するほどの家賃滞納が存在するかどうかが重要なポイントとなります。そして、実務の基準は、3ヶ月以上の家賃滞納があるかどうかを1つの目安として判断されています。

なお、訴訟中の和解も可能です。次章のように明け渡しの強制執行を進めるのは、更に手間と費用がかかるため、訴訟手続中であっても交渉を粘り強く続ける必要があります。

家賃滞納による強制執行

明け渡し請求訴訟に勝訴してもなお、協力的に立ち退きが進まないときには、強制執行に進まざるを得ません。明け渡しの強制執行は、裁判所に申し立て、執行官による催告、明け渡しの断行といった手続きに進みます。

強制執行の申し立て

まず、家賃滞納による強制執行の初めに、賃貸物件の所在地を管轄する地方裁判所に対し、強制執行の申立てを行います。申立てには次の3つの書面が必要です。

  • 債務名義
    権利義務の存在と範囲を確定する公的文書のことで、確定判決、仮執行宣言付判決、和解調書、調停調書、執行認諾文言付公正証書、仮執行宣言付支払督促がこれに該当する。
  • 執行文
    上記債務名義が執行力を有することを証明するため、その末尾に付与される文書。
  • 送達証明書
    債務名義が、債務者に送達されたことを裁判所が証明する書面で、裁判所の書記官から受領する。

申立て後すぐに退去の執行がなされるわけではなく、まずは明け渡しの催告が行われます。直ちに荷物の搬出や退去を強制される過酷な事態を避けるためです。

そのため、申立て後、明け渡しの催告の準備として、執行官(裁判の執行の事務を行う裁判所職員)と打ち合わせ、催告の日時、執行補助者の選定などを決めます。催告の実施時期は、申立てから2週間以内が原則です。執行補助者は貸主が決めますが、執行官から紹介してもらうこともできます。

執行官による催告

執行官との打ち合わせで決めた日時に、実際に賃貸物件に出向き、催告を行います。執行官が当該物件の占有状態を確認した後、引渡期限を記載した公示書を物件に貼り付けて催告します。引渡期限は、催告から1ヶ月が原則となります。

このとき、残置物の撤去費用、必要なトラックの台数、作業員の人数などを執行補助者に見積もりしてもらいます。執行費用は借主負担が基本ですが、家賃滞納による明け渡しでは借主が費用を払えず、オーナー負担となる危険があります。

明け渡しの断行

引渡期限内に明け渡しされなければ、いよいよ実力行使によって占有を解除する必要があります。このように実際に明け渡しを実行することを、法律用語で「断行」と呼びます。明け渡しの断行は、貸主が占有を取得するため、賃貸人またはその代理人が現場に立ち会う必要があります。

強制執行の申立てから明け渡しの断行までの期間は、約1ヶ月半程度かかることが多いです。原状回復工事すべき場合だと、新たな借主を探せるまでには更に期間を要します。

自力救済の禁止

日本は、法治国家で、法律に支配されています。たとえ家賃滞納で勝訴してもなお、自力救済は禁止です。

嫌がらせをしたり暴力を振るったり、強制的に追い出そうとする努力はいずれも違法となり、後から責任追及されて不利になるおそれの強い行為。次のような行為は、慎むべきです。

  • 無断で鍵を交換する
  • 無断で賃貸物件に立ち入る
  • 入口に大きな貼り紙を貼って誹謗中傷する
  • 大きな声で立ち退きを求めて威嚇する
  • 賃貸物件内の動産を勝手に売却する

問題行為があると、借主側から、損害賠償請求されるおそれがあります。また、行為の内容によっては建造物侵入罪(刑法130条)、窃盗罪(刑法235条)、不動産侵奪罪(刑法235条の2)などの犯罪となり、刑罰を科されるリスクもあります。

なお、強制執行には多くの手間と費用がかかるため、判決を得た段階で、最後通告し、任意の履行を促しましょう。

家賃滞納に対応するときの注意点

最後に、家賃滞納に対応するときに注意すべきポイントを解説します。

裁判で勝つための証拠を集める

家賃滞納が発覚したら、初動の素早さが解決に向けた重要なポイントです。対応が早いほど借主に心理的プレッシャーを与え、今後の滞納を牽制できるからです。初動が遅れないための前提として、入金確認は定期的にすべきです。

家賃滞納のケースで立ち退きが難航し、裁判に発展する場合に備え、速やかに証拠収集を開始すべきです。交渉で解決に至らない場合、裁判の審理では証拠の有無が勝敗を決するからです。家賃滞納を理由に明け渡しを目指す事案では、次の証拠を集める必要があります。

【不動産の情報】

  • 不動産登記簿謄本
  • 現地の写真

【借主の情報】

  • 商業登記簿謄本
  • 住民票

【賃貸借契約の内容】

  • 賃貸借契約書
  • 賃料振込口座の明細

【交渉の経緯】

  • メールによるやりとり
  • 催告書、配達証明書
  • 解除通知書
  • 陳述書

家賃滞納に対し、毅然とした対応ができないと、交渉はうまくいきません。関係性によっては厳しい対応の難しいケースもありますが、そのようなときは家賃滞納が発生したら速やかに弁護士に相談するのがお勧めです。滞納が生じる事情のあるケースでは、期限を先送りにしたところで支払われる期待は薄く、損失は増えるばかりです。

弁護士に依頼せず進める方法は、非弁行為となるおそれがあります。

家賃滞納を未然に防ぐ

そもそも家賃滞納を未然に防げれば、立ち退き、明け渡しを請求する必要はありません。そのために、家賃滞納が発覚した時点で、原因を探り、常習化させない対策を講じるべきです。契約内容を見直すことが、家賃滞納の予防策となります。

例えば、遅延損害金の利率を改め、法定利息(3%)を越える設定にして滞納の不利益を示し、期限内の支払いを動機づける方法があります。実務では、遅延損害金の年率は14.6%が慣習となっています。また、定期借家契約にしておくのも、不適切なテナントに入居させない対策となります。

連帯保証人を付けたり、保証会社との契約を必須とし、信用力のある支払先を準備する方法もあります。空室による減収を恐れて入居審査の基準を甘くしていても、家賃滞納を招いてしまってはかえって逆効果です。

オフィス契約時の注意点についても参考にしてください。

滞納家賃を粘り強く回収する

速やかに明け渡しが実現できるなら、引き換えに未払い賃料を免除ないし減額する例もあります。しかし、高額な賃料のテナント契約だったり、立ち退き実現に相当な費用がかかったりする場合、未払いの賃料も粘り強く回収する必要があります。

敷金、保証金から回収できればよいでしょうが、未払いの賃料が敷金を超えているとき、回収のために動かなければなりません。滞納家賃を回収する方法には、次のものがあります。

  • 賃料の催告
    催告は、借主だけでなく、連帯保証人に対しても同時に行う。
  • あっせん・調停・仲裁などの裁判外紛争解決手続(ADR)
    第三者が間に入って話し合いを促進する点で、当事者同士の解決より公平な解決が実現できる。
  • 訴訟
    上記の明け渡しの訴訟の流れで、同時に起こすことができる。
  • 支払督促
    裁判所書記官からの書面による督促。支払能力がありながら滞納が続くケースで効果的。
  • 少額訴訟
    請求額が60万円以下のとき、簡易裁判所に提起できる訴訟。1回の審理で判決が下され、控訴ができないなど、迅速に債務名義を得ることができる。

これらの手続きでも未払いが続くとき、滞納家賃についても最終的には、立ち退きと同様に、強制執行による解決が可能です。

まとめ

弁護士法人浅野総合法律事務所
弁護士法人浅野総合法律事務所

今回は、家賃滞納を続けるテナントを追い出すための適切な方法を解説しました。

不動産オーナーや管理会社の立場では、家賃滞納者を放置しておくのは収益に直結し、直ちに対応せねばなりません。今回解説の通り、賃料3ヶ月分ほどの滞納があるなら、既に信頼関係が破壊されたとして、裁判所でも契約解除を認められる可能性が高まります。ただ、テナントが協力的でないと交渉で解決できず、明け渡しの訴訟、強制執行へ進める必要のあるケースもあり、解決には一定の期間を要します。

速やかに解決するには、家賃滞納の兆候が見られた際の請求から始め、早期の段階で適切な対処をするのが重要です。

この解説のポイント
  • 家賃滞納による立ち退きは、信頼関係を破壊するほどの滞納が条件(3ヶ月以上の賃料未払い)
  • 家賃滞納で速やかに明け渡しさせるには、交渉・訴訟・強制執行の流れで進める
  • 自力救済は禁止されるため、プレッシャーを強めるには弁護士から警告を送るのが有効

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