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人事労務

遅刻した社員に対して、減給のペナルティは可能?懲戒処分は?

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会社にとって、電車の遅延による遅刻者の扱いは、いつの時代も悩みのタネです。「電車遅延」の原因は、混雑によるものから痴漢、人身事故、降雨や強風に至るまで、様々なものがあります。

会社側(使用者側)としては、遅刻した労働者に対して、減給や罰金などの、金銭的な制裁を与えることが考えられます。しかし、大幅な遅延があっても、いずれの原因も、通勤する労働者には避けようがありません。

近年では、「遅延証明証」を発行する鉄道会社が増えており、「遅延証明証」を提出してくる遅刻者の扱いに頭を悩ませる会社経営者も多いのではないでしょうか。

今回は、「遅延証明証」を提出した遅刻者の扱いと、制裁(ペナルティ)の可否について、企業の労働問題(人事労務)を得意とする弁護士が解説していきます。

1. 遅刻に与える制裁(ペナルティ)は?

労働者が、会社の定める「始業時刻」に遅刻した場合には、会社は労働者に対して、制裁(ペナルティ)を与える必要があります。

社員(従業員)は、会社に雇用されている以上、会社の定めた「所定労働時間」の間、会社の労務に従事する必要がありますが、「遅刻」は、この義務に違反する行為であるからです。

遅刻をした社員に対して、制裁(ペナルティ)を与えずに放置しておくことは、まじめに時間通り出勤して業務をしている社員のやる気を減退させ、業務効率を下げることにもつながりかねません。

1.1. 遅刻は雇用契約違反

遅刻の原因には、電車遅延だけでなく、二日酔いや寝坊など、労働者の体調管理・時間管理能力不足によるものがあります。

労働者は、定時(始業時刻)どおりに出勤する義務を、雇用契約によって負っています。

そのため、遅刻をすること(始業時刻に間に合わないこと)は、明白な雇用契約違反となります。

1.2. 遅刻にはペナルティが必要

以上のとおり、「遅刻」は、雇用契約違反であるため、自己責任による遅刻の場合には、会社は当然、遅刻者に減給などの必要な措置をとることができます。

「遅刻」の重さ、違法性、悪質性によって、制裁(ペナルティ)の程度を判断しなければならず、あまりに頻繁かつ悪質性の高い「遅刻」の場合には、解雇などの厳しい処分も検討すべきです。

ただし、「労働者に責任があるかどうか?」という点には配慮が必要です。やむを得ない遅刻に対し、必要以上に厳しい制裁(ペナルティ)を課すことは、逆に労働者の労働意欲を失わせる危険があるからです。

2. 「遅刻」で減給するときの注意

「遅刻」は、雇用契約に違反する行為であり、会社側(使用者側)としては減給をすることができると解説しました。

しかし、労働者が会社に対して「労働をする」という義務を負っている一方で、会社は労働者に対して、「賃金を支払う」という義務を負っています。

労働者にとって、「賃金(給与)」は、生活の糧となる非常に重要な金銭であることから、「遅刻」の場合の減給にも、一定のルールがあり、従わなければなりません。

2.1. ノーワークノーペイの原則

「賃金(給与)」が、労働者にとって非常に重要な生活の糧となると説明しましたが、これは、労働者が労働時間分だけ働いたことに対する対価です。

そのため、会社は、働いていない時間分の給料まで労働者に支払う必要はなく、働いていないのであれば給料を支払わなくてもよいといえます。これを、「ノーワークノーペイの原則」と言います。

たとえ「電車遅延」による「遅刻」であっても、働いていないことに変わりはないわけですから、「ノーワークノーペイの原則」が適用され、遅刻した時間分の賃金(給与)を「減給」することができます。

2.2. 「遅刻」とするかは会社の判断

遅刻者の給与を控除するかどうかについて、法律上の決まったルールはありません。

したがって、ノーワークノーペイの原則にしたがって、遅刻をした時間分の給与を控除することもできますし、逆に、会社の判断で、遅刻をしても給与を控除しないこともできます。

つまり、金銭的な制裁(ペナルティ)の面で、「遅刻」と評価するかどうかは、会社の判断によって決めて良いというわけです。

たとえ遅刻者が、鉄道会社の発行する「遅延証明証」を提出してきても同じです。「電車遅延」は、会社にとっては何の関わりも無いことで、「遅延証明証」を提出したからといって、特別な扱いをする必要は全くありません。

2.3. 「上乗せ減給」に注意

ここまでの解説は、あくまでも「ノーワークノーペイの原則」にしたがって、遅刻をして働いていない時間分の給料を控除する場合の注意です。

これに対して、遅刻に対する制裁(ペナルティ)として、遅刻をした時間分の給料をこえて控除をする場合には、「罰金」を与えることと同様の扱いとなります。

この場合、制裁(ペナルティ)として行われる減給は、「懲戒処分」という性質を持ちますが、懲戒処分としての「減給」には、法律上、一定の制限がありますので、次でまとめて解説します。

3. 懲戒処分として「減給」するときの注意

遅刻をした労働者に対して、懲戒処分として「減給」の制裁(ペナルティ)を加える場合には、「懲戒処分」という厳しい制裁を与えるため、一定の制限があります。

遅刻をした時間分の給料を、ノーワークノーペイの原則にしたがって控除するという場合よりも、より厳しい処分となるからです。

3.1. 「減給」を就業規則に定める

「懲戒処分」の性質をもつ減給は、労働者との雇用契約上、当然に認められるものではありません。

降格や解雇などの懲戒処分と同様、労働者の不利益になる以上、このような減給のペナルティを課すためには就業規則にあらかじめ定めておく必要があります。

また、懲戒処分の理由を、あらかじめ明示しておく必要があります。つまり、「遅刻」が許されないものであり、懲戒処分の対象となることを、就業規則などで事前に予告しておく必要があるということです。

 参考 

遅刻をした労働者に対して、「罰金」を課すためには、懲戒処分として行うしかありませんから、就業規則に定めておかなければなりません。

ただし、「罰金」という用語は、あくまでも刑事罰、もしくは、行政罰における用語ですから、会社が労働者に対して「罰金」を課す、というのは、あまり適切とはいえません。

本質的には、「罰金」を課すことは「減給」と同等の効果を生むこととなりますので、懲戒処分としての「減給」と同様、上限額のルールにしたがう必要があります。

3.2. 減給額に上限がある

遅刻をした労働者に対して、懲戒処分として「減給」にする場合には、減給の金額には、法律上の上限があります。

労働基準法91条では、次のように定められています。

 労働基準法91条(制裁規定の制限) 

就業規則で、労働者に対して減給の制裁を定める場合においては、その減給は、一回の額が平均賃金の一日分の半額を超え、総額が一賃金支払期における賃金の総額の十分の一を超えてはならない。

 例 

例えば、時給1000円で1日8時間勤務(週休2日で1ヶ月20日勤務)の場合には、

  • 1回の減給の上限は4000円(日給8000円の2分の1)
  • 1ヶ月分の減給総額の上限は16000円(月給16万円の10分の1)

となります。

3.3. 労働者の責任に配慮する

ノーワークノーペイの原則にしたがって遅刻した時間分の賃金を控除することを越えて、懲戒処分の性質をもつ「減給」を行うということは、「制裁(ペナルティ)」を加えるということです。

そのため、「労働者に責任がある。」といえるようなケースに限って行うべきです。「減給」よりも厳しい懲戒処分とするのであれば、それ相応の悪質性が必要となります。

「電車の遅延」などが原因の遅刻の場合、労働者には避けようがないとはいえ、多少の遅延であれば、「電車の遅延」も見越して早めに出勤することで、遅刻自体を回避することは可能です。

4. まとめ

今回は、「遅延証明証」を提出してきた労働者の扱いについて、「減給・罰金のペナルティを課すことが可能かどうか?」、という点に着目しながら、弁護士が解説しました。

最近は、労働者側から、労働審判や裁判を提起することによる、残業代請求なども活発化しており、会社経営者には、労働者の扱いについてより一層慎重な判断が求められています。

今回は「電車遅延」という日常問題に絡めて、減給・罰金にポイントを絞った解説をしましたが、労務管理の重要なポイントはこれに限られません。

この解説をお読みになり、遅刻者の扱いについて不安をお持ちの会社経営者の方は、企業の労働問題(人事労務)を得意とする弁護士に、お気軽にご相談ください。

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