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外国人労働者の病気・ケガへの会社側の適切な対応と労災のポイント

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日本で働く外国人の数は、年々増加しています。飲食店(居酒屋・ファーストフード)やコンビニなどで、外国人従業員を見る機会も増えたのではないでしょうか。

日本で働く外国人は、約146万人(2018年10月時点・厚労省)おり、日本人の総労働人口約6898万人(2019年5月時点・厚労省)のうち、約2%は外国人であるという計算になります。

外国人の受け入れを検討する会社にとって不安に思うことは多いでしょうが、「外国人が、業務においてケガをしたり、病気になってしまったりしたら、どのように対応したらよいのでしょう。」というのが今回の解説テーマです。

結論から申しますと、日本人でも外国人でも、労災保険法に従って労災の手続をとらなければならないことは変わりありません。

そこで今回は、外国人が業務において傷病にかかってしまったときに、会社側(使用者側)が特に気を付けておかなければならないポイントについて、弁護士が解説します。

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増加する外国人労働者の労災

日本で働く外国人の数が年々増加するのに伴って、外国人の労働災害も増え続けています。

労働災害とは、業務に起因する怪我や病気のことをいいます。業務に起因することから、労災保険法という法律によって療養費などが支給され、かつ、療養中は解雇をすることができないなど、業務によってケガや病気となってしまった労働者を保護する制度となっています。

そして、このような労働災害にあったときに、会社側(使用者側)として適切な対応が必要であることは、日本人労働者であっても外国人労働者であっても、何ら変わりありません。

外国人に労災は適用される?

日本人労働者が、業務に起因する怪我や病気になってしまったとき、労災保険が適用され、次のような給付を受けることができます。

  • 療養補償給付(療養給付)
  • 休業補償給付(休業給付)
  • 障害補償年金(障害年金)
  • 障害補償一時金(障害一時金)
  • 遺族補償年金(遺族年金)
  • 葬祭料(葬祭給付)
  • 傷病補償年金(傷病年金)
  • 介護補償給付(介護給付)
  • 二次健康診断等給付

そして、労災保険は、国籍を問わず、日本で働く労働者であれば誰しもに適用されます。

就労ビザを取得している外国人は当然ですが、アルバイトをしている留学生であっても、業務上の傷病(怪我・病気)にかかった場合には、労災保険の適用を受けることができます。不法就労の外国人であっても、労災保険から給付を受けられます。

外国人労働者が帰国した場合の対応

以上で解説しましたとおり、労災に関する事項について、日本で働いている限り、日本人でも外国人でも変わらないのが原則です。ただし、労災給付中に外国人労働者が本国に帰国してしまう場合には、例外的に給付内容が異なる場合があるため、注意が必要です。

次の給付内容については、日本国内にいる場合に限って給付を受けられるためです。

  • 義肢等舗装用具の支給・車椅子等の支給
  • 外科後処置
  • 労災就学等援護費

海外からの治療費等を保険請求する場合の支給額は、支給決定日における外国為替換算率で換算した日本円の金額とされています。

外国人労働者が、業務上負った怪我や疾病について海外で治療を受けた場合でも、その治療の内容が妥当なものであれば、労災保険の給付を受けることができます。

外国人労働者を雇用する会社の適切な対応は?

最後に、外国人労働者を雇用している会社が、外国人の労働災害について理解しておくべき適切な対応について、弁護士が解説します。

外国人労働者向けの教育・研修を行う

まず、労働災害が起こらないように、会社が職場の安全と労働者の健康に配慮することが重要です。このことは、日本人労働者でも外国人労働者でも変わりありません。

会社が労働者の健康と安全に配慮すべき義務を「安全配慮義務」といい、これに違反した場合には、労災保険給付とは別に、会社は慰謝料などの損害を賠償する義務を負います。

特に、外国人労働者は、日本の労働慣行や常識を知らなかったり、日本語のマニュアルや研修、教育を十分に理解していなかったりします。

そのため、外国人向けの安全衛生教育マニュアルを言語別に作成し、交付するなど、会社側の丁寧な配慮が求められます。

労働災害の発生後の対応方法

会社側の配慮にもかかわらず、労災事故が起こってしまったときは、会社は労働基準監督署(労基署)に「労働者私傷病報告書」を提出する義務を負います。

日本人労働者であれ外国人労働者であれ、労働災害等により労働者が死亡または休業した場合には、会社は労基署に報告する義務があるからです。

遅滞なく報告しなかった場合や、虚偽の報告をした場合には、刑事責任を問われるおそれがあります。

「人事労務」は、弁護士にお任せください!

入管法の改正による新しい就労資格の創設、東京オリンピックの開催等、今後もますます外国人労働者が増加すると予想されます。

外国人労働者を雇用する場合には、万が一外国人が業務上の怪我、病気にかかってしまったときの対応策について理解しておく必要があります。また、当然ながら、そもそも労働災害が起きないよう労働環境を整備しておく事前の努力が必要となります。

外国人労働者を雇用する会社の労働問題については、企業側の人事労務に詳しい弁護士にご相談ください。

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