会社の業績が悪化し、経営継続が難しい場合であっても、倒産をしてしまう前に一時的な休業を検討することがあります。
外的な要因によって思うように売上が上がらないとき、一時的に休業をすることにより、人件費や光熱費など、運営に必要となるコストを軽減できる場合があるからです。
一方で、会社の都合によって社員を休業するときには、労働者の保護のために一定の休業手当(平均賃金の6割以上)を払わなければならないことが法律に定められており、この会社側の負担を少しでも減らすためには、雇用調整助成金の活用が重要となります。
今回は、雇用調整助成金の基礎知識(要件・支給額・注意点など)と、助成金を活用して社員を休業させる方法について、弁護士が解説します。
助成金は、日々改訂されています。特に、この解説作成時2020年4月21日現在、新型コロナウイルスの影響により特例的な措置が繰り返し改訂されています。今回の解説は、新型コロナウイルスの感染拡大に関連してなされた特例を前提として記載しています。
そのため、申請をする際には直近の最新情報を、厚生労働省のホームページなど信頼のおける情報元から収集することがお勧めです
「新型コロナウイルスと企業法務」まとめ
サイトー社労士事務所
社会保険労務士 齋藤 輝之(さいとうてるゆき)
パンクバンド、飛込み営業、公務員、異色の経歴を持つ「パンク社労士」。
人事労務管理と上手な付き合い方、問題解決方法や社員のモチベーションUP術など社労士の範疇に捕われず積極的に提案。
雇用調整助成金とは
雇用調整助成金とは、会社都合の休業について、法律上支払いが必要となる休業手当の一部を国が補填してくれる助成金制度です。「雇調金(こちょうきん)」と略されることもあります。雇用調整助成金は、外的な要因で休業するときに活用される、昔からあった助成金でしたが、新型コロナウイルス感染拡大にともなって再び話題となっています。
会社の都合で社員を休業させたとき、社員は生活の糧を失ってしまうこととなります。このような労働者を困窮から保護するため、労働基準法(労基法)では次のとおり、休業手当として平均賃金の6割以上を支払う義務があることを定めています。
労働基準法(休業手当)使用者の責に帰すべき事由による休業の場合においては、使用者は、休業期間中当該労働者に、その平均賃金の百分の六十以上の手当を支払わなければならない。
休業手当は労働者保護のための制度ですが、一方で、休業を余儀なくされている会社にとっては大きな負担となります。解雇や倒産などとなっては元も子もありません。
そのため、この休業手当の一部を国が保証してくれる制度として、雇用調整助成金が用意されているわけです。
雇用調整助成金は、「会社を休業する必要が生じた」「業界全体の需要が低下した」などの事情で社員におこなってもらう仕事が減少してした際などに、活用を検討することができます。「社員に新型コロナウイルス感染者が出てしまった」という休業理由でも利用可能です。
雇用調整助成金の支給要件
雇用調整助成金を活用して休業するためには多くの注意点がありますが、まずは、助成金の支給要件を満たすことが重要です。
助成金は、会社の負担を軽減し、会社を助けるためのものですが、「社員を休業させればもらえる」というほど簡単なものではなく、支給要件を満たさなければ、給付を受けることができません。
雇用調整助成金の要件は、大きくわけて次の4つです。
- 売上の低下
- 休業の規模
- 休業手当を支払っていること
- 会社の規模
雇用調整助成金の支給要件について、順にわかりやすく解説していきます。
売上の低下
雇用調整助成金の1つ目の支給要件は「売上が低下していること」です。専門的な用語で「生産指標要件」といいます。
具体的には、前年同月比で10%の売上低下があることが必要となります。ただし、新型コロナウイルスの感染拡大に関連して、対象期間中(2020年4月1日から2020年6月30日まで)の休業については、前年同月比で5%の売上低下でよいこととされています。
このとき注意しなければならないのは、売上低下は「休業に入る月」ではなく「計画書提出の前月」の売上をもとに要件のチェックをおこなうという点です。例えば、4月に休業して売上が下がることが明らかな場合には、計画書の届出は5月におこなうこととなります。
なお、売上の低下は、外的な要因によることが必要となります。会社の営業努力の不足や例年ある季節的な変動、事故、自主的な規模縮小の場合には、対象外となります。
事業活動の縮小
雇用調整助成金の2つ目の支給要件は「事業活動が縮小していること」です。
売上の低下だけでなく、実際の活動量も縮小している必要があります。これは、雇用保険被保険者となっている社員と派遣労働者の雇用量について、最近3かげつ の月平均が、前年同期に比べて減少している必要があります。
具体的には、中小企業の場合は10%を超えてかつ4人以上、中小企業以外の場合は5%を超えてかつ6人以上増加していないことが要件となります。
上記は従来の要件です。現在は要件緩和の特例が出ていますので、後述する新型コロナウイルスに関する特例措置で解説します。
休業手当を支払っていること
雇用調整助成金の3つ目の支給要件は「休業手当を支払っていること」です。
雇用調整助成金の目的は、労働者の雇用維持にあります。そのため、会社が休業をさせるだけでなく、その休業に対して労働基準法(労基法)に定められている休業手当を支払っていることが支給要件となります。
つまり、平均賃金の6割の休業手当をきちんと支払っていることが必要となり、その支払った分の一部についてしか、雇用調整助成金の支給を受けることができないということです。
会社の規模
最後に、雇用調整助成金の要件・助成率は、会社の規模が「中小企業」にあたるのか、それ以外なのかによって異なります。
雇用調整助成金を検討する際に「中小企業」の定義にあてはまるためには、次のとおり「社員数」もしくは「資本金」のいずれかの要件を満たす必要があります。
業種 | 社員数 | 資本金 |
---|---|---|
製造業 | 200人以下 | 3億円以下 |
卸売業 | 100人以下 | 1億円以下 |
小売業 | 50人以下 | 5000万円以下 |
サービス業 | 100人以下 | 5000万円以下 |
「社員数」「資本金」の要件は、いずれかを満たしていれば「中小企業」の定義にあてはまります。
「中小企業」のほうが、より資金力に余裕がないと考えられており、要件・助成率などの点で有利に判断されています。この「中小企業」の要件について、「社員数」で満たす場合には労働者名簿、役員名簿など、資本金で満たす場合には商業登記簿謄本などを、申請時に添付します。
雇用調整助成金の計算方法
新型コロナウイルスによって緊急事態宣言が出され、休業要請の対象となった飲食店などはもちろん、それ以外の会社でも経営状況の大幅な悪化が予想されます。
ニュースなどの報道では「休業手当の9割が雇用調整助成金で支給される」という点が盛んに強調されています。しかし、雇用調整助成金の計算は、それほど単純なものではありません。
そこで、新型コロナウイルスによる特例措置を前提として、雇用調整助成金の計算方法について解説します。
雇用調整助成金で支給されるのは、次の3つです。
- 休業手当の一部
- 教育訓練の費用
- 出向社員の給与負担の一部
なかでも中心となるのはもちろん「休業手当の一部」の補償です。計算方法は、次の順序で検討します。
step
1「基準賃金額」を算出する
基準賃金額 | = | 前年度の平均賃金額 | × | 休業手当の支払い率 |
---|
まず、前年度1年間の会社の平均賃金額を算出して、その金額に休業手当の支払い率をかけます。休業手当の支払い率は、労働基準法にしたがって「6割以上」である必要があります。
step
2「日額助成額」を算出する
日額助成額 | = | 基礎賃金額 | × | 助成率 |
---|
次に、さきほど算出した基準賃金額に、助成率をかけて、日額助成額を算出します。助成率は原則として8割、ただし、新型コロナウイルスの特例で、解雇をしていない場合には9割が助成されることとなっています。日額助成額は、上限が8330円とされています。
なお、教育訓練を実施した場合には2400円の加算がなされます。
step
3「助成金の支給額」を算出する
助成金の支給額 | = | 日額助成額 | × | 延べ休業日数 |
---|
最後に、さきほど算出した日額助成額に、延べ休業日数をかけて、助成金の支給額を算出します。
このように、雇用調整助成金は、社員1人ごとに計算されるのではなく、会社全体の総額で計算をされることに注意が必要です。
※追記(2020年5月7日)※
厚生労働省より、新型コロナウイルスの影響による雇用調整助成金の申請が増加することを考慮して、小規模な事業主について、計算方法をさらに簡素化することが発表されました。
具体的には、おおむね従業員20人以下の小規模事業主について、上記のように平均賃金額を計算する必要がなくなり、実際に支払った休業手当の金額に助成率を乗じて、助成金額を算出する方針とされています。
注意ポイント
ニュースなどの報道で、「雇用調整助成金は、休業手当を支払ったら9割もらえる」という点が協調されていますが、上記の計算式を見ていただければわかるとおり、それほど単純なものではありません。
むしろ、休業手当の9割が返還されることを前提として経営計画を立てていると、大きな失敗をし、会社破産・法人破産をせざるをえない状況となるおそれもあります。
これは、雇用調整情勢金が、社員ごとに個別に計算するわけではなく、会社全体で計算することとなるため、会社全体の賃金の平均額、休業させる社員の給与が高いか低いかなどによって、もらえる助成金の金額は変わってくるからです。
つまり、雇用調整助成金は、「実際に支払った休業手当額の9割」よりも少ない金額しかもどってこないこともあるし、逆に、支払う金額よりも助成金額のほうが多い場合もあるということです。
雇用調整助成金の申請手続きの流れ
では、雇用調整助成金の要件、支給額の計算方法を理解したところで、実際に雇用調整助成金を活用するとき、どのような流れで申請手続きを進めればよいのかについて解説していきます。
なお、雇用調整助成金を申請する際に必要となる様式と書式・記入例は、厚生労働省のホームページからダウンロードすることができます。あわせて、厚生労働省から出されている雇用調整助成金のガイドブックを参考にしてください。
以下では、主要な手続きの進め方と注意点について、順に解説します。
休業協定を締結する
雇用調整助成金の手続き1つ目は、「休業協定を締結する」ことです。
「休業協定」は、社員と会社との間でむすぶ「労使協定」という書類の一種で、休業についてのルールを約束するものです。会社が、社員との事前の約束にしたがって休ませた場合にのみ、雇用調整助成金の補填を受けることができるわけです。
休業協定書には、休業の日数、休業手当の支給額など、所定の事項を記載し、従業員代表の意見を聴取する必要があります。
従業員代表の選定は、社員の過半数の意思が反映される方法による必要があり、会社が一方的に指名することはできません。従業員代表の決め方に違法がある場合には、休業協定自体が違法となってしまうため、助成金を受給することができません。
計画書を作成・提出する
次に、雇用調整助成金の手続き2つ目は、「計画書を作成し、提出する」ことです。
計画届を提出するときには、雇用調整助成金の要件を満たしていることを証明するために、「売上が低下したことの証拠」と「新型コロナウイルスの関係であることの証拠」を添付します。
飲食店など、新型コロナウイルスの休業要請の対象となっている業種では、売上の試算表などとともに、新型コロナウイルスの影響を受けていることを記載することで足ります。
計画書は、修正が必要となる可能性もあるため、期限に余裕をもって提出してください。なお、現在は、新型コロナウイルスの特例措置により、計画書を休業後に事後提出することも認められています。
休業を実施し、休業手当を支払う
休業協定書を締結し、計画届を提出したら、実際に休業を実施します。
この際、雇用調整助成金をもらうためには、休業中の間、社員に対して平均賃金の6割以上の休業手当を支払うことが必要となります。
休業は、社員全員一斉にとる形でもよいですし、事業所ごと、店舗ごとに休業することも認められています。完全に事業をストップしていない場合には、交代制として、社員ごとに順番に休業をとらせることもできます。
雇用調整助成金を申請する
最後に、ここまでの手続きを終えたら、雇用調整助成金を申請します。
雇用調整助成金は、毎月申請してもよいですし、さかのぼって申請することもできます。ただし、さかのぼって申請する場合には、計画の届け出をおこなった日から2か月以内に申請しなければなりません。
審査がとおり、支給決定がされると実際に助成金が支給されます。新型コロナウイルスで大きな打撃を受けた会社の救済のため、審査が簡素化されており、1か月以内に支給するようになったとの報道がされています。
なお、審査の結果、不支給決定がなされると、助成金を受給することができません。
雇用調整助成金を確実に受け取るために、申請の際の必要書類について、重要なものを解説します。
- 雇用調整助成金申請書
- 平均賃金額算出のための書類
:前年度の「労働保険概算・増加概算・確定申告書」または「労働保険料等算定基礎賃金等の報告」
(新型コロナウイルスによる特例で、提出自体は不要となりましたが、助成金額の計算などの際にあったほうが便利です。) - 「生産指標」の確認に関する書類
:前年同月の売上高が記載してある資料など、売上低下を証明することのできる資料 - 「中小企業」に該当することがわかる資料
:「社員数」の要件を満たす場合には労働者名簿・役員名簿など。「資本金」の要件を満たす場合には商業登記簿謄本など。 - 休業の実績を確認するための資料
:出勤簿、タイムカード、業務日カレンダー、シフト表など - 休業手当・賃金および労働時間の確認のための書類
:賃金台帳、給与明細書など(ただし、賃金を満額保証する場合でないかぎり、休業手当と賃金が区別されてわかるように記載されている必要があります。) - 所定の労働条件(労働日・労働時間・賃金など)を確認するための資料
:就業規則、給与規程、雇用契約書、労働条件通知書など
雇用調整助成金を活用するときの注意点
「会社が支払わなければならない休業手当を補填してくれる」と聞くと、メリットしかないように聞こえますが、実際には雇用調整助成金にはデメリットやリスクが多くあり、注意が必要となります。
特に、雇用調整助成金は、もともと存在していた制度ですが、災害などで緊急の休業が必要な場合など、限られた状況でしか利用されてきませんでした。新型コロナウイルス感染症の拡大によって、にわかに注目を集めていますが、利用するときは、次に解説する注意点をよく理解してください。
資金繰り対策にはならない
会社の都合で社員を休業させなければならないような事態におちいった会社では、経営状況がいちじるしく悪化し、資金繰りが苦しいことが予想されます。
しかし、雇用調整助成金はそのような会社を助ける制度ではありますが、資金繰り対策にはなりません。つまり、雇用調整助成金は、出ていくお金を少し減らすだけであり、入ってくるお金を増やすことにはなりません。
あくまでも、雇用調整助成金の目的は「雇用の維持」にあるのであって、「会社の利益」にあるわけではないことを理解しなければなりません。資金繰りの改善については、給付金や貸付制度(融資制度)で対応することを検討してください。
投稿が見つかりません。支払額の9割を必ずもらえるわけではない
次に、雇用調整助成金は「休業手当の9割が補償される」といわれることが多いですが、「実際に会社が支払った額」の9割の助成を受けることができるわけではありません。
雇用調整助成金の計算方法についてさきほど解説したとおり、この助成金は、会社全体の平均賃金をベースに算出するものであって、休業した社員個人ごとに計算するものではないからです。
「9割もらえるから休業手当を支払って休んだほうが得だ」という判断は危険です。そうではなく、まず初めに「休業手当を支払う」という判断が先にあって、その上で少しでも会社の損失を減らすために雇用調整助成金を利用するというのが正しい考え方です。
不正受給は厳しい処分が下る
雇用調整助成金をはじめ、助成金を不正受給する会社に対しては、厳しい処分が下ります。甘く見ていると、立ち入り検査がなされ、告訴されて逮捕されるケースなどもあります。
雇用調整助成金は、本当にピンチの会社が使うものです。休んでいないのに休んだことにして助成金をもらったり、存在しない社員の申請をしたり、会社には来させないけれど実際には在宅勤務を支持しているのに助成金をもらったりといった行為は、いずれも不正受給にあたります。
不正受給の処分は刑事罰だけでなく、社員の信用も失うこととなります。
特に、新型コロナウイルスの非常時に便乗して、助成金の受給を進める違法コンサルタント、違法業者が増加しています。助成金を取り扱う弁護士、社労士などの専門家のアドバイスを聞きながら進めることがお勧めです。
新型コロナウイルスに関する特例措置
最後に、新型コロナウイルスによる緊急事態宣言の影響を受けて、経営状況の悪化した会社が利用できる特例について解説します。
特例的な取り扱いは、次のとおり多く出ており、これからも緩和が進む可能性があります。まずはもっとも理解してほしい重要な点を説明します。
助成率の増額
新型コロナウイルスに関する雇用調整助成金の特例1つ目は、「助成率の増額」です。
新型コロナウイルスの緊急事態宣言の出された前後、2020年4月1日から2020年6月30日までの休業については、解雇などをおこなっていないことを条件に、助成率が9割に引き上げられています。
なお、「解雇など」には、正社員の解雇だけでなく、有期契約社員の雇止め、派遣切りなども含まれるため、注意が必要です。
支給対象範囲の拡大
新型コロナウイルスに関する雇用調整助成金の特例2つ目は、「支給対象範囲の拡大」です。
これまでの雇用調整助成金は、雇用保険に加入している社員の休業に対してしか支給されませんでした。しかし、新型コロナウイルスは、国民全員に影響のある社会問題となっています。そのため、パート社員、アルバイト社員など、雇用保険に未加入の社員が休業しても、助成金が支給されることとなりました。
具体的には、雇用保険未加入の社員を対象として「緊急雇用安定助成金」とい名称の助成金が新設されました。その要件は、雇用調整助成金とほぼ同様となっています。
また、新型コロナウイルス感染拡大を理由とする内定取消が増加していたことから、新卒社員など一度も出社していない社員も対象となることとなりました。
ただし、役員報酬、個人事業主の報酬、外注費は対象とならないことに注意が必要です。
支給要件の緩和
新型コロナウイルスに関する雇用調整助成金の特例3つ目は、「支給要件の緩和」です。
雇用調整助成金の支給要件においてさきほど解説をしたとおり、売上の低下について、2020年4月1日から2020年6月31日までの休業については、従来の10%低下ではなく、5%の低下でよいこととされています。休業規模の要件についても緩和がされています。
また、新型コロナウイルスに社員が感染してしまい、緊急で休業しなければならない会社などもあるため、計画届は事後提出でも受け付けられることとなりました。
新型コロナウイルス対策に雇用調整助成金は有益?
最後に、新型コロナウイルスに関連して特例が出され、活用が期待されいている雇用調整助成金ですが、実際に対策として有益なのかどうか、について解説します。
新型コロナウイルスという未知のウイルスの蔓延を予想することが難しいため、そもそも休業になったからといって「使用者の責に帰すべき事由」であるとして休業手当を支払わなければならないかは議論があります。
また、あまりにも経営状況が悪化し、感染の収束も見えないことから、会社破産・法人破産を検討する会社も少なくありません。
しかし、なにも対策もせずに社員を休業させれば、休業手当が必要とされる可能性があり、この場合には雇用調整助成金の助けはあったほうがよいです。
また、一方で、新型コロナウイルスによる働き方の大きな変容をチャンスに飛躍する会社もあります。新たな業態を創出し、飛躍をとげる会社では、優秀な人材を囲い込むチャンスが到来しているとみることもできます。このような見方からすれば、社員を解雇するのではなく、休業させてでも生活の保障をおこなうことには大きな意味があります。
「企業法務」は、弁護士にお任せください!
今回は、新型コロナウイルス禍が経済に大きな打撃を与えたことで注目を集めている「雇用調整助成金」について弁護士が解説しました。新型コロナウイルスのような未曽有の事態に対応するために、活用できる制度の基本を理解してください。
なお、雇用調整助成金は、新型コロナウイルスからの事業者の救済のため、手続きが簡素化されており、ガイドブックなども充実しています。そのため、専門家の助けを借りなくても申請することも可能ではあります。
ただし、時間と手間が多く、これまで労務管理に力を割いていなかった場合には、あらたに作成しなければならない資料も多く、労働法上の注意点もあります。
新型コロナウイルスにともなう休業について、雇用調整助成金を活用して乗り切ることを検討する会社は、ぜひ一度、企業法務に詳しい弁護士にご相談ください。
「新型コロナウイルスと企業法務」まとめ