個別のサイトを「削除請求」によって消すことに成功したとしても、検索サイトの検索結果には残り続けてしまうというケースの法律相談があります。
検索サイト、特にGoogleでインターネット上の情報を検索することは、ウェブの利用者のごく一般的な行動であるため、検索結果に残り続けることは、多くの人の目に触れることとなります。
そこで、個別サイトの「削除請求」の後に、Googleに対しても、検索結果から削除するよう求めるという方法が考えられます。
今回は、検索結果に残る違法な投稿への対応として、検索サイト(Google)キャッシュの削除請求の方法を、IT法務を得意とする弁護士が解説します。
1. なぜ検索結果に残り続けるの?
個別のサイトを削除請求し、消すことに成功した後であっても、Googleなどの検索結果に残り続ける理由を知ることによって、対策を講じることができます。
Googleなど検索サイトの検索結果に、削除済のサイトが残り続ける理由は、Googleの保存している「キャッシュ(Cache)」にあります。
Googleをはじめとする検索サイトは、あらかじめ、「クローラー」というプログラムにより、ウェブサイトの情報を自社のサーバー内に取り込み、データベースを作成します。
このデータベースが、個別サイトの本体を削除した後も、しばらくの間データが残り続けることにより「削除請求したのに検索結果から消えない!」という事態が発生するのです。
2. 検索サイトのキャッシュ削除の方法
検索サイト(Google)の検索結果に、削除した後もサイトが残り続けてしまう理由が、Googleのキャッシュにあることから、対応策としては、「キャッシュの削除」を行うことになります。
そこで、検索サイト(Google)のキャッシュを削除請求するための、具体的な方法について、弁護士が解説します。
2.1. キャッシュの任意の削除請求
個別のサイトを削除したとしても検索結果に残り続ける理由は「キャッシュ」にあるわけです。
Googleは、クローラーというプログラムによって日々キャッシュを更新していますので、個別サイトの「削除請求」に成功すれば、検索結果にも数日程度で反映されることが一般的です。
しかし、中には個別サイトを削除した後も、全く検索結果から消えない、というケースもあります。この場合、まずは、Googleに対する任意の削除請求を試してみてください。
2.2. キャッシュ削除仮処分
任意の交渉によっても削除請求が成功しない場合には、「削除仮処分」によることとなります。
Googleの考え方として、検索結果よりも先に個別サイトを削除すべき、というものがあるため、個別サイトの削除仮処分による削除が成功しているかどうか、今一度確認しておきましょう。
ただし、検索結果に対する削除仮処分を行うためには、検索結果に違法な表現が含まれていて、権利侵害されている必要があります。
検索結果の記載に権利侵害がない場合には、キャッシュ削除仮処分が法的には認められないおそれがあります。
3. キャッシュ以外の原因で検索結果が消えないケース
ここまでお読みいただきました通り、「検索結果から消えない!」という相談の多くは、Googleのキャッシュが残り続けていることが原因です。
しかし、中には、よく分析してみるとその原因はGoogleのキャッシュではないというケースもあり、適切な対応策を選択する必要があります。
検索サイトのキャッシュが原因でない場合で、検索結果から削除されないトラブルの原因には、次のようなものが考えられます。
3.1. パソコンのキャッシュが原因
ご使用されているパソコンに原因があるという場合があります。
パソコンのブラウザ(インターネット上の情報を閲覧するためのソフト)は、表示速度を上げるために、過去に見た記事のデータを保存しています。つまり、Googleだけでなく、パソコンにも「キャッシュ」が保存されているのです。
パソコン内に保存されたキャッシュをクリア(削除)しないままウェブサイトを閲覧していた場合、過去の情報が見えてしまっている結果、検索結果から削除されていないように見える、というケースがあります。
この場合、対応策としては、ブラウザの設定でキャッシュを削除して、再度試してみてください。
3.2. 別URL、コピーサイト
「キャッシュ」による技術的な理由ではなく、そもそも「削除できた!」と思っていた個別サイトの削除請求が、十分ではなかったというケースもあります。
「削除請求」は、URL単位で行われます。
しかし、インターネット上の情報は日々コピーされており、特に「2ちゃんねる」などの有名サイトの場合には、コピーサイト、まとめサイトが多く出現しているときは、それぞれ個別に対応が必要となります。
「削除請求」を弁護士に依頼する際には、対象となるURLを特定して依頼するよう注意しましょう。
4. 個別サイトを削除できない場合
個別サイトが、海外法人の管理するサーバーにあるなど、「削除請求」に手間がかかったり、技術的に削除が困難であったりするケースがあります。
個別サイトが削除しきれないときに、検索結果からの削除をすることによって、同じ効果を得ようとする場合がありますが、Googleはこのような便宜的な削除には消極的です。
削除仮処分で勝っただけでは解決せず、その後、さまざまな異議申立の方法を駆使されることによって、結果として手間と費用がかさむ、というリスクもあるため、注意が必要です。
5. まとめ
今回は、「個別サイトの削除請求が成功したのに、Google検索結果から消えない。」という法律相談について、弁護士が回答しました。
インターネット上の悪質な投稿、違法な情報発信でお悩みの会社経営者の方は、IT法務を得意とする弁護士に、お早目に法律相談ください。