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フルコミッション(完全歩合制)は違法??「歩合給」とは違う?

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求人情報を見ると、特に営業マンの求人で、「完全歩合制」、「フルコミッション」、「完全出来高払い」という謳い文句を見かけることが多くあります。特に、保険や不動産の営業職に多くあります。

完全歩合制(フルコミッション)であれば、成果を上げないスタッフには一切の金銭を支払わなくてもよく、会社にとって都合のよい制度です。

しかし、労働基準法には、「出来高払制の保障給」という考え方があり、歩合制を採用するのであれば、「保障給」として最低いくらの給料を支払わなければならないのか、理解しておかなければなりません。

今回は、会社が「完全歩合制(フルコミッション)」という制度を実現することができるのか、その適法性と活用法などについて、企業の労働問題(人事労務)を得意とする弁護士が解説します。

1. 完全歩合制(フルコミッション)とは?

完全歩合制(フルコミッション)は、「完全出来高払い」などともいわれます。「成果が上がらなければ、一切お金が支払われない。」ということを意味しています。

完全歩合制(フルコミッション)と似た単語に、「歩合給」などがありますが、完全歩合制を理解いただき、労働法に違反しないよう活用してください。

 参考 

日本の伝統的な雇用社会では、「終身雇用」、「年功序列」という慣行があり、新卒で入社した会社に定年まで勤務し、勤続年数が上がるとともに、自動的に給与も増額される、という考え方がありました。

しかし、現在ではこのような考え方は古いものとされ、「成果主義」、「実力主義」を重視する会社も増えています。

特に、現在、政府主導で推進されている「働き方改革」では、「違法な長時間労働の是正」と並行して、「生産性向上」が叫ばれており、より短時間で成果を出す社員(従業員)が評価される風潮が強まっています。

1.1. 完全歩合制は適法?

のちほど解説します「出来高払制の保障給」という考え方があり、労働者として雇用する限り、いかに「歩合制」、「出来高払い」といえど、一定の給与を保証しなければなりません。

つまり、「完全歩合制」は、会社が雇用している労働者に対して適用することはできないということです。会社にとって都合のよい制度ですが、労働者の保護に欠けることとなるからです。

そのため、完全歩合制を活用することを考えるのであれば、完全に独立した個人事業主との間の「業務委託」という形式をとることになります。

1.2. 完全歩合制の報酬のしくみ

完全歩合制のルールを適用する場合には、会社と独立した個人事業主との関係ですから、その報酬の算出方法は、両当事者の間の契約内容によって決まることとなります。

完全歩合制とする場合には、営業マンがあげた成果(契約数、売上など)に応じて、契約内容にしたがって報酬が算出されます。

「出来高や成果に応じて報酬が決まる。」という意味で、「歩合制」の一種ですが、「完全」というのは、「成果がゼロであれば、対価もゼロ」であることを意味します。

1.3. 完全歩合制と歩合給の違い

雇用している労働者であっても、「成果主義」、「実力主義」的な考え方で給与を決めることは可能であり、これが「歩合給」という考え方です。

完全歩合制との違いは、一定額の「固定給」を必ず支払うしくみであるという点にあります。一定額の「固定給」を払っていますから、後ほど解説します「出来高払制の保障給」にも違反しません。

1.4. 成果主義のメリット

完全歩合制も、歩合給も、いずれも「成果主義」、「実力主義」の考え方を、色濃く反映した制度であるという点では共通しています。

会社が、雇用する労働者や、業務委託契約する営業マンに対して、「成果主義」、「実力主義」を徹底することには、次のようなメリットがあります。

  • 目に見える成果で評価されるので、モチベーションが沸きやすい。
  • 成果が報酬に直結するため、自ら工夫し、生産性を向上させる。
  • 長時間働かなくても成果で評価されるため、無駄な残業が減る。

2. 一定額の賃金は保障される

「完全歩合給(フルコミッション)」を、労働者を雇用して実現することは難しい、と解説しました。その理由は、労働基準法の次の条文があるためです。

 労働基準法27条(出来高払制の保障給) 

出来高払制その他の請負制で使用する労働者については、使用者は、労働時間に応じ一定額の賃金の保障をしなければならない。

この労働基準法に定められた「一定額の賃金の補償」のことを、「出来高払制の保障給」といいます。

つまり、「歩合制」の営業マンであったとしても、全く成績があがっていないからといって、「給料は一切なし。」ということはできないわけです。

2.1. いくら保障すればよい?

「完全歩合給(フルコミッション)」とすることはできず、一定額の「保障給」を支払わなければならないと解説しました。

そこで次に、一定額の「保障給」とは、いくら保障すればよいのだろうか、という疑問がわいてくるところです。労働基準法の条文には「一定額」としか記載がないため、具体的な額は明らかにされていません。

労働者の最低条件を定める「最低賃金」よりも高い必要があることはもちろんですが、次の通達によれば、より高額の「保障給」が求められています。

 昭和22年9月13日発基17号、昭和63年3月14日基発150号 

「通常の実収賃金とあまり隔たらない程度の収入が保障されるように保障給の額を定めること」

つまり、「歩合制」の営業マンに支払われる「保障給」が、会社ではたらいている他の社員と比べてあまりに低い場合、法的に問題ありと評価されるおそれがあります。

また、完全に「労働法違反(違法)」ではなく「グレー」であったとしても、労働者に一方的に不利な労働条件とすることは、「ブラック企業」との風評を招き、企業イメージを低下させることとなります。

 参考 

労働者が休業した場合に支払われる「休業手当」が、「平均賃金の60%」とされていることから、「出来高払制の保障給」についても、平均賃金の60%程度が妥当であろうと、一般的にいわれています。

この考え方によれば、平均的な給与が、50万円程度の社員(従業員)であるとすれば、成果が上がらなくても、少なくとも30万円程度の「保障給」を与えるべきということです。

2.2. 成績不良でも保障給は必要?

会社が、「成果主義」、「実力主義」を徹底しようとしているにもかかわらず、雇用している限り「完全歩合制」は不可能であると解説しました。

しかし、全く成績の上がらない「歩合制」の営業マンに対して、会社側(使用者側)が、全く打つ手がないのかというと、そうではありません。

最低限の保障給を下回る給与しか与えないことは違法となるものの、成績が上がらず、改善の余地も見られない場合には、解雇、雇止めなどの方法による契約打切りを考えるべきです。

2.3. 「保障給の未払い」は制裁あり

出来高払制の労働者に対して、一定額の保障給を支払わない場合には、会社は、労働基準法120条1号にしたがい、30万円以下の罰金を科せられるおそれがあります。

3. 「業務委託」とする方法

ここまでお読み頂ければ、労働者を雇用する限り、「完全歩合制(フルコミッション)」とすることが労働法違反となることは、十分ご理解いただけたことでしょう。

「完全歩合」を実現するためには、「雇用」ではなく「業務委託」とする方法があります。

「業務委託」であれば、当事者の合意によって報酬を自由に決めることができ、「出来高(成果)」に応じて決めることも可能だからです。

ただし、「業務委託」とすると、「個人事業主」、「フリーランス」ということであり、労働者としての労働法の保護を受けられないことから、会社としても、次のようなデメリットがあります。

 「業務委託」のデメリット 
  • 時間的な拘束を強めることができない。
  • 場所的な拘束を強めることができない。
  • 個別具体的な業務指示を行うことが困難である。
  • 発注した業務を拒否される可能性がある。
  • 他の会社の業務を並行して行っていても管理できない。

逆に、これらのことを守らず、時間的、場所的な拘束が強く、会社が業務命令をしているという場合、形式が「業務委託」であっても、実態は「雇用」と評価されてしまいます。

その結果、会社側(使用者側)が、思わぬ賃金請求、残業代請求を受けるおそれもありますので、「業務委託」扱いとするときは、細心の注意が必要です。

4. まとめ

今回は、営業マンにありがちな「完全歩合制(フルコミッション)」が違法となるおそれがあることと、「歩合給」の活用方法について、弁護士が解説しました。

「完全歩合制(フルコミッション)」とする場合には、「雇用」ではなく「業務委託」とする必要があり、また、「歩合給」という制度をとる場合には、「保障給」が十分であるかどうかに注意が必要となります。

会社内の給与形態の適法性、適切性について、ご不安な会社経営者の方は、企業の労働問題(人事労務)を得意とする弁護士に、お早目にご相談ください。

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