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外国人を雇用する会社が注意すべき5ポイントと、入社時の届出

ビジネスのグローバル化が進行し、世界がボーダレス化する中、日本で働く外国人の数は、年々増加しています。

外国人数の増加に対して、日本の労働力人口はどうかというと、少子高齢化にともない、若くて元気な労働力は年々減少していっているわけです。

そこで、会社の経営をうまく進めるためには、外国人労働者の活用を検討すべきタイミングに来ているといます。

しかし、外国人労働者を活用するためには、就労ビザ、在留資格などの外国人特有の問題や、「技能実習生制度」などの特殊な労働法の制度を理解しなければなりません。

これらを理解せずに、「安い労働力」という安易な気持ちで外国人を雇用すると、「不法就労」などの思わぬリスクを抱えることとなります。

今回は、外国人を雇用する会社が注意しておくべきポイントと、外国人入社時の手続について、企業の労働問題に強い弁護士が解説します。

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1. 在留資格を確認する

「在留資格」とは、外国人が日本に滞在できることを示す資格をいいます。

「在留資格」なく日本に滞在し続けている外国人は、「不法滞在」といって、入管法違反の犯罪行為となります。

したがって、外国人雇用をする際には、まず、採用を考えている外国人が、適法な「在留資格を有しているかどうかを確認しなければなりません。

「在留資格」にはそれぞれ期限があり、一旦は「在留資格」を取得して入国したとしても、期限切れとなった場合には役に立ちません。この場合「不法滞留(オーバーステイ)という、入管法違反の犯罪行為ですので、注意が必要です。

1.1. 在留資格の種類

「在留資格」は、「出入国管理及び難民認定法」(入管法)、という法律にルールが定められており、現在では27種類の「在留資格」が認められています。

 在留資格に定められた範囲で就労が認められる在留資格 

外交、公用、教授、芸術、宗教、報道、投資・経営、法律・会計業務、医療、研究、教育、技術、人文知識・国際業務、企業内転筋、興行、技能、特定活動

 就労が認められない在留資格 

文化活動、短期滞在、留学、就学、研修、家族滞在

 就労活動に制限がない在留資格 

永住者、日本人の配偶者など、永住者の配偶者など、定住者

なお、これらの「在留資格」のいずれにも該当しない場合には、90日を超えて日本に滞在することは認められません。

1.2. 在留資格の確認方法

「在留資格」を確認するためには、次のような方法によることとなります。

1.2.1. 在留カード

日本に滞在することのできる外国人に発行されるのが「在留カード」です。日本に滞在している外国人にとって、最重要の身分証です。

「在留カード」には、氏名、生年月日、国籍などとともに、在留資格・在留期限が記載されます。

1.2.2. 旅券(パスポート)

パスポートにもまた、日本に上陸したときの上陸許可印が押してあり、ここには、上陸時点の「在留資格」が記載されます。

ただし、その後「在留資格」が変更となっている場合に備えて、「在留カード」を確認しておくという対応を原則と考えておくべきでしょう。

1.2.3. 就労資格証明書

外国人本人が、就労を認められている内容を証するために、「就労資格証明書」の発行を申請していた場合には、「就労資格証明書」を提示させることによっても、「在留資格」と在留期限を確認できます。

1.3. 資格外許可について

「在留資格」を確認したところ、既に解説した一覧の中での「就労が認められない在留資格」であったとしても、「資格外許可」を得ている場合には、例外的に就労が可能なケースがあります。

例えば、「留学」の在留資格で日本に滞在している留学生がアルバイトをするといったケースです。

ただし、「資格外許可」には上限時間や業種などの制限がありますから、「資格外許可」を得ているかどうかを確認しておかなければなりません。

2. 外国人雇用の手続き

次に、実際に外国人を雇用する際の、具体的な手続きについて解説します。

外国人を雇用するときは、日本人とは異なった届出書類が必要なケースがあります。

また、外国人労働者が離職するときは、その氏名と「在留資格」などを、ハローワークに届出なければなりません。

2.1. 雇用保険の対象となる場合

雇用する外国人労働者が、雇用保険の対象となる場合には、「雇用保険被保険者資格取得届」を提出することとなります。

この際、喪失届の備考欄に、次の事項を記載して提出するようにします。

  • 在留資格
  • 在留期限
  • 国籍

2.2. 雇用保険の対象とならない場合

雇用する外国人労働者が、雇用保険の対象とならない場合には、雇入れ、離職の翌月末日までに、管轄のハローワークへ、「外国人雇用状況届出書」を提出します。

また、あわせて次の書類を添付書類として提出します。

  • 外国人登録証明書またはパスポート
  • 資格外活動許可証または就労資格証明書

3. 外国人雇用の注意すべきポイント

最後に、外国人を雇用する際に、日本人の雇用とは違って特に注意しなければならないポイントを、弁護士が順に解説していきます。

3.1. 労働条件を理解させる

日本で滞在し、就労を考えている外国人が、みんな日本語が流暢なわけではありません。

外国人の語学力にはそれぞれ差があり、流暢に日本語を話していたとしても、文字をあまり理解していないという外国人もいます。

そのため、入社時の説明を慎重に行わなければ、重要な労働条件について理解せずに入社してしまい、事後にトラブルの種となるおそれがあります。

外国語の「労働条件通知書」を準備することによって、説明不十分な点を少しでもなくす努力をしておきましょう。

3.2. 日本特有の制度を理解させる

日本特有の制度や、母国にはあって日本にはない慣習などについて、「当然の前提」として説明を省略すると、外国人労働者との認識のギャップが生じるおそれがあります。

特に、日本の裁判所で形成された判例法理には、外国人が理解しづらいものも含まれていますので、チェックリストなどにしてわかりやすく説明するとよいでしょう。

経営者が注意しなければならない、日本特有の制度や判例法理として、特に注意が必要なのは、たとえば次のようなものです。

  • 長期雇用慣行、年功序列
  • 解雇権濫用法理

日本人でも理解しがたい部分について、より一層の配慮が必要なことは当然です。

3.3. 社会保険に加入させるべきか?

社会保険への加入は、正社員ではない場合には、「常用雇用」といえるかどうかによって判断されます。

そして、適用事業所で「常用雇用」する場合には、日本人であっても外国人であっても変わらず、社会保険に加入させる必要があります。

しかしながら、日本に滞在し、就労を希望する外国人が、みんな長期的な雇用を希望しているわけではありません。

「保険料の自己負担分を引かれるくらいなら社会保険に加入したくない。」という希望を持つ外国人も少なくありません。

このような場合であっても、「常用雇用」といえる要件にあたる場合には、会社はその外国人を社会保険に加入させる必要がありますので、社会保険制度について、丁寧な説明と理解が必要となります。

4. 不法就労が判明したときの対応

現在、日本には「在留資格」を越えて滞在している不法在留者が増加しているといわれています。

不法在留者の多くが日本で仕事をしていて、すなわち、「不法就労」もまた増加しているというわけです。

「不法就労」には、次のような事情があります。

  • 不法に入国して就労している外国人
  • 在留資格に定められた活動範囲を超えて就労している外国人
  • 定められた在留期間を越えて就労している外国人

「不法就労」の外国人を雇用している会社側にも責任があります。「不法就労」と知りながら雇い続けた場合、「3年以下の懲役、若しくは300万円以下の罰金」という刑事罰が科されるおそれがあります。

「不法就労」が発覚した外国人には、ただちに「出勤停止命令」を下した上で、新たな「在留資格」を取得するなど「不法就労」を是正できない場合には、解雇せざるをえないでしょう。

5. 技能実習制度の利用について

「技能実習制度」とは、外国人の人材育成、技能・技術の実習を目的とした制度です。

しかしながら、「開発途上国支援」などを目的とした制度であるにもかかわらず、「安価な労働力の酷使」という誤った目的のために外国人を長時間労働に従事させ、賃金を支払わないといった問題が生じていました。

このような問題に対処するために、平成22年7月には制度となり、技能実習生の法的地位の安定と、入国1年目からの労働基準法、最低賃金法の適用が定められることとなりました。

新しい制度の下では、以前のような外国人労働力の酷使は、厳しい処分が下ることが予想されますから、制度趣旨に合った適切な利用が望まれます。

6. まとめ

今回は、現在年々増えている外国人労働力を活用して、会社経営をより活性化させるためのポイントについて、弁護士が解説しました。

「安価な単純労働力」といった意味で外国人労働者を雇用することは、思わぬリスクを抱え込むこととなり、全くオススメできません。

御社の発展のために、積極的に外国人労働者を活用するために、基本的な知識をきちんと理解するようにしてください。

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