Webサイトやブログの内容を、無断で「ミラーサイト」として複製されたり、転載されたりする被害があります。ミラーサイトは、正規サイトのコンテンツを丸ごとコピーし、あたかも本物のように装ってユーザーを誘導します。
著作権侵害であることはもちろん、悪質なケースではフィッシング詐欺に利用される場合もあり、放置すると信用が低下する悪影響もあります。
今回は、ミラーサイトを発見し、削除請求をする手段について、弁護士が法的な観点から解説します。また、今後同様の被害を防ぐための再発防止策も取り上げます。
- ミラーサイトは著作権侵害や信用毀損に繋がるおそれがある
- ミラーサイトを削除請求するため、早期に発見して迅速に対応すべき
- ミラーサイトの再発防止のため、コピー防止と著作権の明示が効果的
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ミラーサイトとは
ミラーサイトとは、Webサイトやブログ内のコンテンツを、意図的にそっくりそのまま複製して作成された別のサイトのことです。見た目や内容はもちろんのこと、HTML構造や、中身となる文章、画像などもオリジナルと酷似し、区別が付かないケースもあります。
ミラーサイトは、正規サイトから自動取得したデータをもとに自動生成されるケースが多いですが、手動で巧妙に作り上げられたものもあります。
ミラーサイトが作られる目的
ミラーサイトは、一部のコンテンツを無断転載している「コピーサイト」や、著作権法の引用の要件に従って作成された「まとめサイト」とは異なり、あたかも正規サイトを模倣したもので、非常に悪質性が高いのが特徴です。
ミラーサイトが作られる主な目的には、次のものがあります。
- 広告収入の獲得
人気のある記事を転載してアクセスを集め、広告収益を上げる。 - 詐欺・フィッシング
正規サイトと見せかけて、ユーザーに不正な情報入力をさせて詐欺を行う(ログインID、カード情報など)。 - SEO対策
大量のミラーサイトを作って検索エンジンの順位を操作する、いわゆる「ブラックハットSEO」の一環。 - スパム
別サイトや商品ページにリダイレクトさせ、情報を詐取したり、劣悪な商品を購入させたりして不当に利益を得る。
ミラーサイトによる被害
ミラーサイトが作成される理由はいずれも不当なので、被害に遭った正規サイトを作成した企業ないし個人には大きな損失があります。
- 著作権侵害
ミラーサイトは、文書や画像、デザインなどを無断でコピーするので、著作権法上の複製権の侵害に該当することが明らかです。 - 名誉毀損
正規サイトを悪意ある内容に書き換えたミラーサイトは、名誉毀損や信用毀損となり、損害賠償請求の対象となる可能性があります。 - 不正競争防止法違反
営利目的で、正規サイトと混同を生じさせるミラーサイトを作成する行為は、不正競争防止法違反となる可能性があります。 - SEO評価の低下
Googleなどの検索エンジンは、重複コンテンツを厳しく評価し、ミラーサイトがインデックスされると正規サイトの検索順位が下落することがあります。特に、新規ドメインや信頼性の低いサイトだと、ミラーサイトの方が評価されるおそれがあります。 - 企業の信用毀損
ユーザーには本物と偽物の区別が付きづらく、詐欺サイトによって個人情報の流出や金銭的な被害が生じるおそれがあります。その結果、正規サイトを保有する企業の信用が傷つきます。 - 売上やアクセスへの影響
ユーザーがミラーサイトに流れると、本来得られたはずのアクセスや売上を奪われます。ECサイトやサービス提供サイトだと、直接的な売上減少に繋がります。
ミラーサイトを削除せず放置すば、SNSや匿名掲示板(5ちゃんねる、爆サイなど)で拡散され、被害が倍増するおそれもあります。
「風評被害を訴える方法」の解説

ミラーサイトの見つけ方
次に、ミラーサイトの見つけ方について解説します。
ミラーサイトによる被害を防ぐためには、早期発見が極めて重要です。自身のWebコンテンツがどこかで無断転載されていないかを定期的に確認することは、リスク管理の基本です。より早期に気づくには、サイト運営者はアクセス数などの情報を定期的に監視して、不自然な動きがないかチェックしておく必要があります。
Googleの検索コマンドを活用する
検索エンジンを活用してミラーサイトを探すには、Googleの検索コマンドを活用するのが有効です。具体的には、オリジナルの文章や特徴的なフレーズを引用符(「”」)で囲んで検索することで、同じ表現を使用しているページを見つけます。
また、「site:」を付けて検索すれば、特定のドメイン内のみで、キーワード検索を行えるので、悪用の疑いのあるサイトの調査に最適です。
重複チェックツールを利用する
インターネット内を網羅的に調査するには、専門の重複チェックツールを利用しましょう。
例えば、「Copyscape」や「Siteliner」などが有名です。これらのツールでは、無料でも、サイトのURLを入力するだけでWeb上からコピーや盗用ページを検索してくれるほか、有料だと、定期的にチェックしたりレポート機能を利用したりすることもできます。
ミラーサイトの削除請求の方法
次に、ミラーサイトの削除請求の方法について解説します。
ミラーサイトは、発見したときには既に被害が深刻化している例も少なくありません。早期発見して、速やかに削除請求を行うことが重要です。
ミラーサイトを発見した場合の初動対応
まず、削除の前提として、証拠の確保が極めて重要です。
悪質なミラーサイトの管理者は削除依頼に応じないことが多く、その場合、法的手続きを利用した削除請求が必要です。この際、裁判所の審理では、証拠が重視されます。URLを記録し、サイトのスクリーンショットを保存することで証拠を保全しましょう。
「ソーシャルリスク」の解説

自分で削除を依頼する方法
対象となるミラーサイトの運営者やサーバー情報を、ドメイン情報(Whois検索ツールなど)から特定することが第一歩となります。
運営者が判明した場合は、直接通知書を送付することが可能です。ただし、現在ではプライバシー保護のため、Whois情報が隠されていて直接連絡が取れない場合もあります。運営者本人に連絡が取れない場合も、ドメイン登録機関(レジストラ)やホスティングサーバー会社に対し、著作権侵害に基づく削除依頼を行うことができます。
また、ミラーサイトのサーバーやドメインが米国企業に属している場合は、DMCA(米国著作権法)に基づいた削除申請の方法も有効です。
「ネットの削除依頼の方法」の解説

弁護士を通じて削除請求する方法
ミラーサイトによる被害が深刻なケースは、弁護士に依頼するのが確実です。
前章の通り、ミラーサイトの作成行為は、著作権法上の複製権侵害、不正競争防止法違反、名誉毀損などに該当します。そのため、弁護士名義の内容証明や警告書を送付すれば、相手も速やかに削除に応じることが期待できます。
ミラーサイトが匿名で運営されている場合も、弁護士に依頼すれば、発信者情報開示請求によって運営者を特定できる可能性がありますし、生じた損害の賠償請求も検討できます。
弁護士が関与することで、法律知識に基づいた正確な主張ができるほか、交渉力を高め、削除の成功率を上げられるメリットがあります。
ミラーサイトの再発防止策
最後に、ミラーサイトの再発を防止する対策について解説します。
悪質なミラーサイトほど、一度削除しても再度作成される可能性があります。完全に防ぐのは難しいものの、対策を講じることで再発を抑止できます。
ミラーサイトの対策には、コピーBotやクローラーによる情報取得を制限する技術的な手法のほか、法的な対抗措置として、著作権があることを明記する方法が一般的です。例えば、サイト内の目立つ箇所に「©」や「本サイト内の文書・画像の無断転載を禁止します」などと記載し、コピーが違法であるという意思表示を明確にします。これにより、「ミラーサイトを作成することには法的リスクがある」と認識させ、あらかじめ抑止するのです。利用規約を作成し、コピーした際の責任追及について明示することも効果的です。
サイト内の対策だけでなく、継続的にミラーサイトをチェックする体制づくりも、再発防止のためには欠かせません。
「SNS投稿監視サービス」の解説

まとめ

今回は、ミラーサイトのリスクと、その対策について解説しました。
ミラーサイトは、コンテンツの無断転載による著作権侵害や信用の毀損のほか、技術的にはSEOへの悪影響といった深刻なリスクを伴います。自サイトの健全な運営を守るためにも、定期的にチェックし、早期の段階で発見して、削除請求などの対応を実施しなければなりません。
ミラーサイトの削除は、自力で削除を依頼する方法と、弁護士を通じて削除請求する方法がありますが、悪質なケースほど、専門家の力を借りて確実かつ迅速に対処すべきです。
ミラーサイトを発見し、何から始めればよいか迷う場合、現在の被害状況を確認した上で、弁護士への相談を検討してください。
- ミラーサイトは著作権侵害や信用毀損に繋がるおそれがある
- ミラーサイトを削除請求するため、早期に発見して迅速に対応すべき
- ミラーサイトの再発防止のため、コピー防止と著作権の明示が効果的
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