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債権回収

取引先が倒産!迅速な初動対応のために債権届出が必要不可欠

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昨年、2015年の倒産件数をご存知ですか。「取引先が倒産した」との連絡を受けても、あわてずに済むような、万全な準備はできていますか。

帝国データバンクによると、2015年の倒産件数は8517件(前年9180件、前年比7.2%減)と、6年連続で前年を下回っています。しかし負債総額は2兆108億800万円(前年1兆8678億円)と前年を7.7%も上回っています。

「うちの取引先は優良企業ばかりで業績も好調だから大丈夫。」と安心して取引先の管理を怠ってはいませんか。

業績好調な会社が、突如として資金繰りに苦しむケースも少なくありません。

今回は、取引先が倒産した場合に、会社がまず行うべき初期対応の方法を、企業法務を得意とする弁護士が解説します。

1. 担保権の設定を行うこと

取引先が倒産した場合、売掛金などの債権を全額回収することは、決してたやすいことではありません。むしろ、倒産するまで手をこまねいてまっていては、回収は不可能でしょう。

しかし、これから説明する担保権がある場合には、破産手続が開始されたとしても、「別除権(破産法65条)」として、破産手続内での回収によらずに債権を回収することが可能です。

つまり、全く準備をしてこなかった債権者に先駆けて、優先的に債権を回収することが可能となるわけです。

正しい知識を持ち、初期の対応方法さえ間違えなければ、設定した担保権によって他の債権者に優先して債権回収を図ることができます。

1.1. 集合動産譲渡担保

集合動産譲渡担保とは、民法に規定はありませんが、実務的には多く利用される担保の1つです。

取引先の工場や倉庫など、特定された一定範囲の場所にある、日々内容が変化する原材料や在庫品などの動産を担保の目的物とする、というものです。

集合譲渡担保権を設定する最大のメリットは、取引先が倒産により破綻した場合でもその効力が失われない点にあります。

1.1.1. 担保設定の際の注意点

集合動産譲渡担保を設定する際には、次の注意点をしっかり理解しておいてください。

  1. 譲渡担保の対象物の特定をすること
  2.  集合動産譲渡担保は集合物を対象とするので、「種類」「所在場所」「量的範囲」を指定するなどして特定する必要があります

  3. 対抗要件を備えること
  4.  対象動産が、譲渡担保の対象となっていることを第三者に明示するために、対抗要件を具備する必要があります。

集合動産譲渡担保の対抗要件設定は、原則として動産の場合は「占有改定」(民法183条)という方法により引渡しを受けることが対抗要件となります。

占有改定とは、占有場所はそのままに、概念上の占有を変更したことを表示する方法をいいます。しかし、「占有改定」は外形的には判然としない公示方法です。

そこで、譲渡人が法人の場合には、特別法による登記、すなわち「動産譲渡登記」により対抗要件を備えることができます。

「動産譲渡登記」を具備すると、当該動産の譲渡について引渡し(民法178条)があったものとみなされます。

1.1.2. 実行方法に関する注意点

集合動産譲渡担保を実行する際には、法的手続きによる必要はありません。この点で、抵当権など、法律に定められた担保権とは異なります。

つまり、取引先に対して「担保の動産を現実に引渡してくれ」と請求することになります。

しかし、以下のようなデメリットがあります。

  • 取引先などが担保の動産を第三者の売却してしまった場合、売渡しを受けた企業が集合動産譲渡担保の目的物であることを知らなかった場合には、担保権は消滅してしまいます。
  • 倒産の混乱に乗じて第三者が担保の目的物を搬出してしまった場合も、担保権の実行は困難になってしまいます。

したがって、集合動産譲渡担保だけに頼るのは危険です。次に解説する通り、相手方に不動産などの保有資産がないか、また、保有資産がある場合には、担保余力があるかを調査してください。

集合動産譲渡担保の利点は、在庫がある場合には簡易にいつでも設定できる点にあるといってよいでしょう。

1.2. 抵当権

抵当権とは、当事者間の合意により成立する約定担保物権の1つです。

抵当権には優先弁済的効力があります。すなわち、取引先が債務の支払いを怠ったとき、抵当権を実行することで、競売代金から、目的物の価値の範囲内で優先的に配当を受けることができます。

抵当権設定の際の注意点は、以下の2つです。

  • 抵当権を設定する不動産の担保力の正確な把握
  •  当該不動産の価値や抵当権の順位等を調査し、自社の債権額以上の担保力を持つ不動産に設定する必要があります。

  • 抵当権の設定及び登記は、取引先の破綻「前」に行うこと
  •  破綻後に行われた抵当権設定は、詐害行為ないし否認権の対象となり、意味をなさなくなるおそれがあります。

取引先の破綻後に抵当権を設定しても、「他の債権者を害する行為」として、倒産手続において否認されてしまう可能性があります。

抵当権を有効に設定するためにも、設定前に、不動産の担保余力と、会社の経営状態について、今一度調査することを怠らないようにしてください。

1.3. 所有権留保

所有権留保とは、商品の代金債権担保のために、「商品の所有権を代金が完済されるまで所有者が留保する」という合意により成立する約定担保物権です。

売買契約の目的物が車や不動産など、高額な商品の場合には、分割支払やローンでの支払いが多くみられます。

このような場合に、通常の売買契約のように、契約成立時に商品の所有権が買主に移転し、売主には売掛債権だけが残る、ということになると、売主は不安定な立場に置かれます。

そこで、所有権留保の特約を締結します。

万が一、売買代金が支払われない場合、留保した所有権に基づき、売買の目的物を取り戻すことにより、実質的に債権を回収できます。

所有権留保設定と実行の際の注意点は、以下の3つです。

  • 売買の目的物を特定し、所在を確認すること
  •  平常時から買主の在庫管理方法等の情報を入手するようにしましょう。

  • 目的物返還の際には取引先の承諾、あるいは、仮処分や訴訟などの法的手続きをとること
  • 返還を受けた商品は適正な価格で処分・清算すること

1.4. 動産売買先取特権

動産売買先取特権とは、売主が、未払いの売買代金と利息を、売り渡した動産から他の債権者に優先的して代金を回収できる、という法定担保権です(民法第311条、第321条)。

実行の方法としては「動産自体を差し押さえる方法」と、「動産の転売代金を差し押さえる方法」の2種類があります。

動産自体を差し押さえる方法の場合には、取引先から任意に引渡しを受けるか、差押えの承諾を得る、それらがない場合には、裁判所の差押え決定によって債権回収をすることが可能です。

動産の転売代金を差し押さえる方法の場合、動産が取引先から第三者に転売されているが、その転売代金が相手方に支払われていないときは、先取特権の「物上代位」(民法第304条)によって転売代金を差し押さえることができます。

この場合、転売代金が既に支払われてしまっているような場合には実行できないので注意が必要です。

1.5. 商事留置権

商事留置権とは、企業商取引においてよく用いられる法定担保権の1つです。

債権自体がその占有物に関して生じていなくても(法的には「牽連性」といいます)、その占有物について留置権が認められるので、商人間における大量かつ継続的な取引によって生じる債権回収には有益です。

つまり、「牽連性がない。」ということは、取引先の物を預かっている場合、当該物の返還を拒絶し、動産競売を行い、換価代金から優先弁済を受けることが可能となります。

1.6. 担保権の実行には、目的物の保全が重要!

以上の解説でご理解頂ける通り、担保権の実行には、とにもかくにも担保目的物の「保全」が欠かせません。

取引先の任意の協力が期待できない場合には、担保目的物を特定し、処分等をしないように通知し、処分禁止の仮処分や訴訟などの法的手続きをとることが必要になります。

また、所有権留保の対象が動産の場合には、取引先が第三者に当該動産を転売すると、「即時取得」が成立してしまいます。

したがって、動産売買先取特権に基づく物上代位により、転売代金債権を差し押さえる等の方法をとる必要があります。

2. 相殺

自社が取引先に債権を有し、一方で債務を負っている場合は、自社の債権と債務とを相殺することにより、実質的に債権を回収することができます(専門的には、「相殺の担保的機能」といいます。)。

相殺は、債務者に破産手続が開始されても、その手続によらずにできるのが原則です(破産法67条)。

2.1. 相殺の要件

ただし、相殺を行うためには、次の2つの要件が必須となります。いわゆる「相殺適状」にある状態であることが必要であるということです。

  • 相殺の対象となる債権及び債務の存在の特定
  • 債権債務が弁済期にあること

なお、破産手続においては、弁済期未到来の自働債権であっても、相殺可能です(破産法70条、103条3項参照)。

2.2. 相殺を実行するための具体的方法

相殺には、取引先に対して未払い債務を負っていることが条件です。

そこで、取引先の倒産を知ったら、未払い債務の支払いをストップさせ、相殺の通知を発送しましょう。

このとき、自社の負う債務が、未だ弁済期が到来していない場合、契約書を確認し、「期限の利益喪失条項」がある場合には、これに該当することも合わせて通知しましょう。

期限の利益喪失条項によれば、取引先が危機的状況となった場合に、弁済期を到来させることが可能となります。

3. 自社所有物の取戻し

 
「取引先が倒産しそう。」という情報を得た際に、取引先の工場に自社の製品を預けている、あるいは自社所有の商品が納品済みといった状況ではないか、お考えください。

まずは、取引先に対して、自社商品があるかどうかを確認し、あれば任意の引き上げに応じてもらいましょう。

破産手続きが開始された場合であっても、自社所有物を取戻すことは影響されません(「取戻権」破産法62条~64条)。

 注意! 

自社所有物だからといって、取引先に無断で勝手に持ち出してしまうと、建造物侵入罪(刑法第130条)や窃盗罪(刑法第235条)が成立することがあります。

よって、取引先の関係者等の同意を得て引き上げることが必要です。

その際には、事後にトラブルとなった際に同意の有無が争いの火種となることを回避するため、相手方が同意したことがわかる内容の書面をどのような形でも構わないので、得ておきましょう。

4. 連帯保証人からの回収

取引先が破綻したときに備えて、連帯保証人から債権を回収するという手段もあります。

ただし、連帯保証人が倒産してしまう会社の代表者の場合には注意しましょう。代表者自身も法人破産と同時に破産してしまうケースが多いためです。

そこで、債権回収の実効性を高めるために、連帯保証人には、取引先となる会社の代表者以外の人になってもらうなどの工夫が必要です。

5. 破産手続き開始後の、「債権届出」

取引先が法的に破産すると、破産手続開始決定通知書とともに「債権届出書」が届きます。

債権届出書作成の際に注意すべきことについて説明します。

破産手続き開始後は、強制執行を行うことはできず、債権届出書を提出することによって配当を受ける方法により、債権回収を図るしかありません。

5.1. 債権届出全般で注意すべきこと

破産手続開始決定通知書に書いてある、債権届出期間を確認し、期間内に必ず提出しましょう。

債権届出は、破産手続内で「配当」を受けるなどの債権者の権利行使のために必要な手続きです。

届出債権は「特定」のために、発生日、弁済金等について詳細に記載しましょう。また、自社と取引先間で取引が複数ある場合には漏れのないように集計しましょう。

5.2. 別除権付債権届出の場合

別除権がある場合には、破産手続によらずに権利を行使することができますので、既に解説した方法により、実行しましょう。

その上で、別除権の行使では弁済を受けることができない債権の額、すなわち、「予定不足額」を債権届出書に記載します。

5.3. 相殺済(予定)債権届出の場合

相殺権がある場合には、相殺を先に済ませ、債権届出書には相殺後の金額を記載します。

もっとも、相殺禁止にあたる場合に備えて、「破産債権」として届出る旨を明記しておきましょう。

さらに、まだ相殺していない状態の場合には、相殺「前」の金額を記載する必要があります。

6. まとめ

取引先の倒産によって債権が回収できず、将来の事業計画を見直さざるを得ない、という事態にならないようにするためには、少しでも多く、債権回収を図ることが必要です。

取引先の倒産時には、他の債権者が殺到しますし、混乱状態になることが容易に想定できます。

自社の債権回収を確実に図るために、平時から、顧問弁護士に実行方法や債権届等の提出方法について相談することがおすすめです。

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