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ベンチャー法務

投資契約の株式買取条項(株式買取請求権)の対応の8ポイント

更新日:

ベンチャー企業が、VC(ベンチャーキャピタル)やエンジェル投資家などから投資を受けるとき、「投資契約書」の最後の方に「株式買取条項(株式買取請求権)」について記載されていることが多くあります。

具体的には、投資家側の請求によって、会社や起業家個人に対して、投資家の株式を買い取るよう請求できる、という内容の条項です。

起業や投資がはじめての方の中には、会社だけでなく「起業家の個人責任」を追及できる「株式買取条項(株式買取請求権)」の記載された「投資契約書」に驚き、あわてて弁護士に相談にくるケースも少なくありません。

個人責任を回避するための会社設立なのに、経営に必要な投資を受けるためには、個人責任を追及される「投資契約書」を結ばざるを得ないのでしょうか。

今回は、投資契約書の「株式買取条項(株式買取請求権)」について、ベンチャー法務を得意とする弁護士が解説します。

1. 株式買取条項(株式買取請求権)とは?

「投資契約書」に定められる「株式買取条項(株式買取請求権)」とは、一定の条件が発生したときに、投資家側の請求によって、会社だけでなく起業家個人に対しても、投資家の持っている株式を買い取ることを請求できる条項ないし権利のことをいいます。

まずは、「株式買取条項(株式買取請求権)」について、基本的な知識を、弁護士が解説します。

1.1. 投資契約書における記載

投資家側の提案する「投資契約書」によって、「株式買取条項(株式買取請求権)」の設計にはさまざまなパターンが考えられます。例えば、次のような点です。

 例 
  • どのような場合に「株式買取条項(株式買取請求権)」が発動するのか(発動条件)
  • 買取の義務が、会社のみに負わされるのか、それとも、起業家の個人責任まで追及できるのか

「投資契約書」において、「株式買取条項(株式買取請求権)」の記載は、契約書の最後の方に記載されることが一般的ですので、投資家側から契約書を提案されたベンチャー起業家は、契約書を入念にチェックしておかなければなりません。

「株式買取条項(株式買取請求権)」を削除することは、出資者に受け入れてもらえないとしても、できる限り合理的な内容であり、ベンチャー企業側にとって一方的に不利な契約条項とならないよう、交渉が必要です。

1.2. 株式買取条項が定められる理由

投資家は、なぜ「株式買取条項(株式買取請求権)」を設けることを求めるのでしょうか。

「株式買取条項(株式買取請求権)」が定められる理由を理解することが、ベンチャー企業側が、「株式買取条項(株式買取請求権)」の細かい設計について、投資家側と有利に交渉する第一歩となります。

「株式買取条項(株式買取請求権)」が定められる理由は、ベンチャー企業ないしその経営者が「投資契約」に違反する行為をした場合に、投資家が投資を回収し、その後の関係を絶つことができるようにするためです。

ベンチャー企業ないしその経営者が、投資契約に違反する行為を行ったとき、投資家は、民法や会社法にしたがって、ベンチャー企業ないしその経営者に対して「損害賠償請求」ができます。

しかし、民法や会社法に定められた「損害賠償責任」に加えて、「投資契約書」にわざわざ「株式買取条項(株式買取請求権)」を定める理由は、次のようなものです。

  • 投資契約に違反する行為によって信頼関係が破壊された場合、損害の賠償を受けるだけでなく、その後の出資関係を継続したくない。
  • 株式を売却するにあたって、非上場であること、譲渡制限付であることといった多くのハードルがある。
  • 投資契約に違反する行為に対し、負った損害の賠償のみではペナルティが少ない。

「投資契約書」にペナルティを定めず、法律上のペナルティのみに頼った場合、次のような責任追及の制限(限界)があることも、投資家の行為を制約します。

  • 投資契約における表明保証違反を理由に、出資の詐欺取消、錯誤無効を主張する場合、「株主となった日から一年を経過した後又はその株式について権利を行使した後」に行うことはできない(会社法タ211条2項)
  • 投資契約に違反する行為を理由として投資契約を解除したとしても、新株発行の効果はなくならない。
  • 投資契約に違反する行為によって投資家が負った損害や、その損害額を立証することには一定の困難が付きまとう。
  • 損害額を株式の評価額で算出する場合、非上場株式の評価という困難な問題を乗り越えなければならない。

以上のことから、最も容易な責任追及手段、投資回収手段として、「投資契約書」に「株式買取条項(株式買取請求権)」が定められることとなるわけです。

1.3. 経営者の個人責任が追及される理由

「株式買取条項(株式買取請求権)」が「投資契約書」に定められる理由はご理解いただけたとしても、次に、「とはいってもベンチャー企業経営者の個人責任まで追及するのは厳しいのでは?」という疑問が出てきます。

会社法では「経営判断の原則」といって、経営者の経営判断は、結果的に失敗に終わったとしてもすべての結果責任を問われるものではなく、経営判断には一定の裁量が認められているからです。

しかし、次のような理由から、会社自身、特にベンチャー企業に自己株式を買い取ってもらうことには一定のハードルがあります。

  • 自己株式の取得には、株主総会の特別決議による議決が必要である。
  • 特定の株主から自己株式を取得する場合には、他の株主に「売主追加請求権」を与えなければならない。
  • 自己株式の買取金額は、会社の分配可能額の範囲に限られる。
  • 他の株主が売主追加請求権を行使し、買取金額が分配可能額を超えると、特定の株主のすべての自己株式を取得することができなくなる。

そのため、投資家側としても、会社の判断を決定し、買取金額に制限のない経営者自身に、自分の保有している株式を買い取ってもらう必要があるわけです。

自己株式の取得について、詳細はこちらの解説をご覧ください。

2. 株式買取条項の8つの交渉ポイント

ここまでお読みいただければ、「株式買取条項(株式買取請求権)がなぜ投資契約書に定められるのか?」という理由を十分ご理解いただけたのではないでしょうか。

投資家側としても、出資をする以上、「株式買取条項(株式買取請求権)」をなくすことはできず、ベンチャー企業としても、「条項自体を削除して欲しい。」という交渉は難しい場合が多いのではないでしょうか。

ベンチャー企業、経営者側が、「株式買取条項(株式買取請求権)」の交渉をするとき、できる限り合理的な契約条項に変更し、ベンチャー企業側にとって一方的に不利な内容とならないよう、注意すべきポイントを、弁護士が解説します。

2.1. どのような場合に株式買取条項が発動するか

まず、出資を受けるベンチャー企業もしくはその経営者側として考えるべきことは、「株式買取条項(株式買取請求権)」がどのような場合に発動するか、すなわち、「発動条件(発動事由)」です。

ベンチャー企業側としては、「株式買取条項(株式買取請求権)」の発動条件を、「できるだけ狭く限定したい。」と考えます。

一般的に、よく「株式買取条項(株式買取請求権)」の発動条件として「投資契約書」に定められる事由が、次のようなものです。

  • 投資契約違反
  • 表明保証条項違反
  • 投資条件の違反(特に、上場しないケース)
  • ファンドの満期到来

2.2. 「投資契約違反」は限定的に

「投資契約」に重大な違反があった場合、投資家とベンチャー企業との信頼関係は決定的に破壊されますから、これ以上出資を継続することができないのは当然です。

そのため、重大な違反であれば「株式買取条項(株式買取請求権)」を要求されるのは仕方のないことでしょう。

しかし、ベンチャー企業側に意図しない小さなミスがあった場合であっても、すべて「株式買取条項(株式買取請求権)」の対象とされてしまうのでは、ベンチャー企業側に酷であると言わざるを得ません。

ベンチャー企業ないしその経営者側として、「投資契約違反」という「株式買取条項(株式買取請求権)」の発動条件について、発動事由をできる限り限定できるよう、次のような代替案が考えられます。

  • 投資契約に違反する行為があった場合には是正を求め、一定期間内に是正がされなかった場合のみ株式買取条項(株式買取請求権)の発動事由とする。
  • 投資契約に違反する行為のうち、一定の重要な違反のみを株式買取条項(株式買取請求権)の発動事由とする。

2.3. 「表明保証条項違反」は限定的に

「表明保証条項違反」についても、既に解説しました「投資契約違反」と同様、あまりに軽微な違反について、すべて「株式買取条項(株式買取請求権)」の対象とされてしまうのでは、ベンチャー企業側に酷です。

したがって、同様に、「重要な表明保証条項違反」の場合にのみ「株式買取条項(株式買取請求権)」の発動事由となるよう、交渉をしておくのがよいでしょう。

また、ベンチャー企業ないしその経営者がコントロールできない事情について「表明保証」を行うことは、そもそも表明保証条項を定める時点で適切ではないといえます。

何でもかんでも表明保証してしまうのではなく「知る限り」「知り得る限り」といった限定を付けた表明保証条項とするよう、投資契約を締結する時点で交渉をしておくのがよいでしょう。

2.4. 「上場できるのに上場しない場合」にあたるか

「株式買取条項(株式買取請求権)」の発動条件の1つに「上場できるのに上場しない場合」が発動事由として定められることがあります。

ベンチャー企業に投資するVC(ベンチャーキャピタリスト)、エンジェル投資家としては、上場した時のキャピタルゲインが大きな目的の1つとなります。

つまり、ベンチャー企業が上場(IPO)したときに、保有していた株式の価値が上がり、利益を得られるというわけです。

ベンチャー企業ないしその経営者側が、「投資契約」をしたときの約束とは異なり、上場を目指さなくなった場合には、投下資本を回収しなければならず「株式買取条項(株式買取請求権)」が必要となるわけです。

しかし、この発動事由は、そもそも「『上場が可能』といえる状態であるかどうか。」、という新たなトラブルの火種を作ることになります。最終的には投資家とベンチャー企業との協議によって決することとなります。

2.5. 「ファンドの満期到来」が発動事由となるか

「投資ファンド」とは、投資家から資金を集め、その資金を運用する機関のことをいいます。

「投資ファンド」には運用期間があり、その満期となると、「投資ファンド」は、集めた資金を現金化し、出資者に返さなければなりません。

出資を現金化する必要があることから、「ファンドの満期到来」が「株式買取条項(株式買取請求権)」の発動条件(発動事由)とされることがあります。

ただし、これは投資ファンドの性質上の必要性から記載されるものであって、「投資契約違反」「表明保証条項違反」のように、ベンチャー企業ないしその経営者への責任追及といった意味合いではありません。

2.6. 誰が株式を買い取る義務を負うか

「1.3.」で解説したとおり、投資契約における「株式買取条項(株式買取請求権)」では、買取義務を負う当事者が、ベンチャー企業だけでなく、経営者個人にも及ぶことが少なくありません。

会社を設立していながら、「個人責任」まで追及されるのでは、「連帯保証」を負わされるのと同じだという納得できない面もあるかもしれませんが、投資をする側にも、合理的な理由があります。

先に解説したとおり、ベンチャー企業による「自己株式の取得」には手続き的に制限があり、また、分配可能額の範囲でしか行えないということです。

ベンチャー企業の場合、資本の大半を事業につぎ込んでおり、分配可能額が存在しないケースが多くあるといえます。

2.7. 買取価格はいくらか

「株式買取条項(株式買取請求権)」を投資家側が行使した場合に、いくらで株式を買い取るかについては、「投資契約書」で明確にしておく必要があります。

買取価格を「協議で定める。」とするケースも少なくありませんが、投資家とベンチャー企業側との協議がうまくいかなければ買取が行えず、「株式買取条項(株式買取請求権)」自体の実効性が失われることともなりかねません。

次のような複数の算出方法のうち、「最も高額となるものによる。」としているケースが多くあります。

  • 投資時の株価
  • 純資産法に従って計算した金額
  • 類似業種批准価額方式に従って計算した金額
  • 直近の発行または譲渡時の株価

いずれにせよ、買取価格でトラブルとならないよう、「投資契約書」の記載から、客観的に明らかとなるような定め方であり、なおかつ、一方的に不利な価格とならないように交渉しなければなりません。

2.8. 代替手段はないか

何としても個人責任を負う「株式買取条項(株式買取請求権)」をなくしたいが、出資を断ることはできない、という場合、できる限りの交渉をするためには、代替手段を用意しなければなりません。

というのも、既に解説したとおり、投資家側が「株式買取条項(株式買取請求権)」を求めることには、重要な理由がいくつもありますから、投資家側の不安を解消しなければ「株式買取条項(株式買取請求権)」をなくしたり、狭く限定したりはできないからです。

投資家側が「株式買取条項(株式買取請求権)」を求める最大の理由が、「投資契約違反に対するペナルティ」にあることから、「違約金条項」によって「株式買取条項(株式買取請求権)」の代替手段とすることが考えられます。

つまり、「投資契約に違反する行為が行われた場合には、ベンチャー企業もしくはその経営者が、損害賠償以上の違約金を支払う。」という内容です。

次のようなケースでは、代替手段によって「株式買取条項(株式買取請求権)」をなくし、もしくは、狭く限定する交渉に成功するケースがあります。

  • 投資家側の株式買取条項(株式買取請求権)を設ける理由が、主にペナルティの追加にある。
  • 投資契約を解除したり、出資関係を終了することまでは考えていない。

3. まとめ

今回は、「投資契約書」に記載される一般的な条項のうち、「株式買取条項(株式買取請求権)」について、その理由、買取をする当事者、発動条件などのポイントを、弁護士が解説しました。

「株式買取条項(株式買取請求権)」について、ベンチャー企業経営者が投資家と、合理的な契約条項となるよう交渉をするためには、「株式買取条項(株式買取請求権)」に関する法律知識が必須です。

また、「投資契約書」の中には、「株式買取条項(株式買取請求権)」以外にも重要なポイントが多くあります。契約書のレビュー、リーガルチェックは、企業法務を得意とする弁護士へ、お気軽にご相談ください。

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