インターネットの進歩と共に、企業の評判も、インターネット上の情報を調査し、参考にする場合が増えてきました。
一方で、インターネット上に書き込まれる情報は、拡散が簡単で、コピーも容易ななため、悪評を書かれてしまうといっきに広がってしまいます。
「ブラック企業」「セクハラ」「パワハラ」など、事実無根の企業の悪評は枚挙にいとまがありません。中でも、企業として、特に気になるのが、転職サイトの書込み、すなわち、求職者に対する評判ではないでしょうか。
そこで、今回は、転職サイトに企業の悪評を書かれてしまったとき、どのように対応したらよいかについて、IT法務に強い弁護士が解説します。
1. なぜ転職サイトの悪評にすぐ対処しなければいけないの?
まず、大前提として、企業における、転職サイト内の評判の重要性について解説していきます。
転職サイトとは、企業の転職情報を掲載するサイトをいいます。したがって、転職サイトに記載された情報は、求職者にとって、企業の評価を決める重要な情報になります。
「インターネット上の情報は信用できない。」という時代はもはや過去のこと。求職者は、「どの企業に入ろうか。」と迷うとき、転職サイトの情報を参考にします。
また、求職者に対してマイナスなイメージを抱かせてしまうだけではなく、働いている従業員の士気をも低下させます。
2. 特に、元従業員の書込みに注意
転職サイトの中には、元従業員が、経験談を書き込める形式となっているサイトがあります。
元従業員が、円満に退職していれば、会社の悪口を書くことはないでしょう。
しかし、円満退社ではなかった場合、元従業員の会社に対する書込みは、求職者の評判を下げるおそれが十分にあります。
元従業員は、企業内部でしか知ることのできない、重大な秘密を知っていることが多いため、トラブルが大きくなりがちです。
元従業員による、退職後のインターネット上の問題行為を予防するために、「秘密保持契約書」「誓約書」などを、入社、退社時に記載させておくことが重要です。
ネット上で、会社に対する誹謗中傷を行うことは、名誉棄損、業務妨害といった犯罪行為であると同時に、これらの契約書を結んでおけば「秘密保持義務違反」の責任を追及することができるからです。
3. 悪評が、事実ではなければ、すぐに削除請求
悪評の内容が事実ではない場合には、名誉棄損等、権利の侵害を客観的な証拠によって立証した上で、記事の削除を求めるべきです。
ここまでお読みいただければ、転職サイトに書かれた真実ではない悪評に対し、できるだけスピーディに対処する必要性は、十分ご理解いただけたのではないでしょうか。
一方で、悪評が事実であったからといって、あきらめる必要はありません。
というのも、真実であったとしても、その目的が誹謗中傷のみにあることが明らかな場合には、会社の権利を侵害する違法行為にあたる可能性が十分にあるからです。
そもそも、事実を適示しないで、「経営者が無能」「バカ」などと誹謗中傷することだけが目的なことが明らかなものは、積極的に削除の交渉をすべきでしょう。
4. まとめ
企業経営において、インターネット上の情報が、大きな影響を与える時代となりました。
特に、「転職会議」などに記載された、転職情報、求人情報における「口コミ」「評判」は、御社の企業イメージに大きな影響を与えます。
転職サイトに、虚偽の悪評を書き込まれてしまったときは、即座に「削除請求」による対処が必要となります。
転職サイトにおける書込みでお困りの会社様は、IT法務に詳しい弁護士に、お気軽に法律相談ください。