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企業法務

取締役の解任と、損害賠償が必要な「正当な理由」のない解任

更新日:

創業時から一緒に事業拡大をしてきたメンバーであっても、どうしても意見の食い違い、性格の不一致などが表面化してしまうケースも少なくありません。

取締役を「解任」することは、「従業員の解雇」とは性質的に大きく異なりますから、混同しないように気を付けてください。

「正当な理由」が一切ないにもかかわらず、軽い気持ちで取締役を解任すれば、退任した取締役から「損害賠償請求」をされたり、会社自身の企業イメージが低下したりと大きなデメリットを受けるおそれがあります。

どうしても取締役を解任したいという場合は、株主総会決議において解任の決議を取得する必要があります。

また、取締役の退任には、「解任」以外に「辞任」「任期満了」といった方法もあるため、早急な「解任」が必要かどうか、改めて検討する必要があるでしょう。

今回は、取締役の解任と損害賠償請求、解任以外に取締役に退任してもらう方法について、企業法務を得意とする弁護士が解説します。

1. 株主総会による解任決議

取締役を「解任」する場合には、「株主総会の普通決議」を行うことによって可能となります。

取締役の「解任」の場合、「従業員の解雇」とは異なる次の2点がポイントとなります。

  • 解任理由がなくても「解任」ができる。
  • 「解任」に「正当な理由」がないと、損害賠償請求を受ける。

特に、過半数の株式を有している株主の場合、どのような場合であっても取締役を「解任」することができることから、取締役解任に付随するリスクを見逃しがちです。

取締役を「解任」するときの、株主総会のポイントについて、弁護士が順に解説していきます。

1.1. 解任理由は不要

取締役の「解任」とは、法的には、会社と取締役との間の委任契約を終了させる、という意味です。

そのため、「従業員の解雇」とは異なり、「解任」の理由は不要です。

 参考 

「解任」に理由が不要であるのに対して、従業員を解雇する場合には、「解雇権濫用法理」によって解雇が制限されるため、合理的な理由のある解雇でなければ、解雇自体が無効となります。

しかし、解任理由が不要であるからといって、どのような場合であっても取締役を解任してよいというわけではないことは、次に解説する「損害賠償」などの重大なリスクからも理解頂けるでしょう。

 注意! 

「従業員兼務役員」の場合には、従業員の地位と、取締役の地位を併せ持つこととされています。

そのため、取締役として「解任」をすることは株主総会決議のみで可能であるものの、解雇をともなうことから、合理的な理由が必要であり、これがなければ、「従業員としての解雇」は無効なります。

1.2. 正当な理由がないと損害賠償請求される

以上の通り、解任理由は不要であり、「株主総会の普通決議」を得られれば、取締役を解任することが可能です。

しかし、「正当な理由」のない「解任」の場合には、解任された取締役は、会社に対して損害賠償を請求することが可能です。

この際に請求できる損害は、解任によって取締役に生じた損害です。

「正当な理由」がない場合とはどのような場合であるか、また、その場合の損害賠償請求については、後ほど詳しく解説します。

1.3. 招集通知を退任する取締役にも行う

株主総会を開催する場合には、株主に対して「招集通知」を行うことが原則です。なお、株主全員の同意がある場合には、招集通知を省略することも可能です。

ここで注意しなければならないのが、「招集通知」は、その株主総会で解任することを予定している取締役に対しても、適切に行わなければなりません。

感情的な問題で解任する場合など、あえて「招集通知」を退任する取締役にだけ行わなかったことから、せっかく行った株主総会の解任決議が、後に無効であるとして争いの火種にもなりかねません。

2. 取締役解任の訴え

取締役の退任を求める株主が、議決権の過半数を有していない場合、株主総会における解任決議が否決されるおそれがあります。

株主総会で解任決議が否決された場合には、一定の場合には、取締役の解任を求めて訴訟提起が可能です。

取締役解任請求の訴訟が可能なケースとは、次のような条件です。

  • 取締役の職務執行に、不正または重大な法令もしくは定款違反があった場合
    :例えば、横領・背任行為、会社財産の使い込み行為がこれに該当します。
  • 議決権の3%以上もしくは発行済株式の3%以上の株式を、6か月前から引続き保有
    :議決権を行使できない株主と、解任対象の役員である株主を除いて算出します。
  • 解任決議を否決した株主総会から30日以内
    :招集手続が行われたけれども、定足数に足りなかった場合もこれに該当します。

この取締役解任請求の訴訟の被告は、「会社及び解任を求める取締役」とされています。

取締役解任の訴えに勝訴した場合には、判決確定により、当然に解任の効果が生じ、職権で「解任」された旨の登記がされます。

3. 取締役解任のリスク

過半数の議決権を有する株主であれば、いつでも取締役を解任できるわけですが、それでも、既に解説した「損害賠償請求」のリスクをはじめ、取締役解任には多くのリスクが付きまといます。

そのため、軽い気持ちで取締役の解任を進めるべきではありません。

次に解説する、取締役の解任に付随するリスクをよく検討し、それでも解任を行う必要があるかどうか、慎重に判断してください。

3.1. 正当な理由がない場合、損害賠償請求

冒頭でも解説しましたとおり、取締役を解任する場合には、従業員の解雇とは異なり、特段合理的な理由がなくても「株主総会の普通決議」解任をすることが可能です。

しかし、解任について「正当な理由がなかった場合には、解任された役員は、会社に対して、解任によって生じた損害の賠償を請求できます。

「正当な理由」には、具体的には次のようなものが含まれます。

  • 取締役に法令違反があった場合
    :横領、背任行為など
  • 心身の故障などにより客観的に職務執行ができなくなった場合
    :入院し、長期の療養を要する場合など

これに対して、取締役間における仲たがいなどの感情的な問題や、取締役の資質・能力といった問題は、非常に基準が曖昧であって、正当な理由であると認められることがなかなか困難です。

正当な理由とは認められないような理由で取締役を解任することにならないためにも、取締役選任時から、人選を慎重に行わなければなりません。

 重要 

「正当な理由」のない取締役の解任で、取締役が請求する損害額は、残りの任期分の報酬額(賞与、退職慰労金なども含む。)が基準の1つとなります。

3.2. 「正当な理由」が認められるケース、認められないケース

「正当な理由」が認められるかどうかは、最終的には裁判所が判断すべき法的評価の問題です。

したがって、既に解説したような、重大な法令違反行為がある場合などの、明らかな場合はよいですが、微妙なケースでは、解任をすることが非常に大きな損害賠償請求のリスクを伴うこととなります。

例えば、「正当な理由」が認められるケースは、次のようなものです。

  • 最高裁昭和57年1月21日判決
    :病気療養に専念する必要があり、業務の遂行ができない状態であったケース
  • 東京高裁昭和58年4月28日判決
    :監査役が明らかな税務処理上の過誤を犯したという、著しい能力不足のケース

例えば、「正当な理由」が認められないケースは、次のようなものです。

  • 多数派株主の感情的な問題に起因するケース
  • 経営判断の失敗に起因するケース

取締役の経営判断を委縮させないために、「経営判断の原則」という法理があります。

この「経営判断の原則」により、経営判断が結果的に失敗したとしても、取締役に対する結果責任の追及には、一定の制限があります。

3.3. 株式の買戻しリスク

取締役が、会社の株主でもある場合には、株式の買戻しリスクを検討する必要があります。

というのも、取締役を解任することが可能であっても、株主でなくすることはできないからです。

取締役を解任し、かつ、正当な理由があったとしても、解任後も会社の株主であり続けるわけです。

会社を離れた人物が株主であり続けるといったケースは、IPO、M&A、追加投資などのあらゆるタイミングで問題視されますから、注意が必要です。

対策として、株式を与える際に、「創業株主間契約」などの契約を締結することで、取締役を退任する際には株式を譲渡するという内容の契約をしておくことが重要です。

「創業株主間契約」の締結方法や内容は、こちらの解説を参考にしてください。

いざ会社が退任した取締役から株式を買い戻すというタイミングでは、「自己株式の取得」に伴う制限がハードルとなるケースも少なくありません。

会社が自己株式を買い取る場合には、分配可能額の範囲でしか自己株式を買い取ることができない、という「財源規制」があるからです。

3.4. 登記簿上の記載

取締役が退任した場合には、「変更の登記」によって公示する必要があります。

そして、取締役を解任した場合には、登記簿において「解任」と明記されることから、外から見ても、その取締役が解任されたことが明らかにわかってしまうというリスクがあります。

解任された取締役にとって、「問題ある人物である。」というイメージを抱かれやすいというデメリットとなるのはもちろんのことですが、会社にとってもデメリットとなります。

解任するような取締役を選任していたという事実は、解任後、M&A、IPO、追加投資などあらゆるタイミングで問題となり、解任理由や経緯が、デューデリジェンスの対象となります。

4. 「解任」以外に、取締役を退任させるには?

以上の解説で、取締役を解任することは、たとえ法律上可能であったとしても、リスクが大きいことが十分ご理解いただけたのではないでしょうか。

たとえ、過半数の議決権を有する株主であったとしても、「正当な理由」が存在すると明らかにいえる場合でない限り、直ちに取締役を解任することには慎重になった方がよいケースが多いでしょう。

取締役が退任するケースは「解任」以外にも存在します。したがって、取締役の解任を強行する前に、次で解説する方法によって取締役に退任してもらうことはできないかどうか、検討してみてください。

4.1. 辞任(自主的な退任)

取締役であっても、従業員と同様、自主的な退任、すなわち、「辞任」することが可能です。

取締役自身の意思によって自主的に辞めてもらえる場合には、事後的に損害賠償などの法的トラブルが発生するリスクは格段に減少します。

そのため、まずは、取締役に辞任してもらえないかどうか、交渉した方がよいでしょう。

4.2. 任期満了による退任

次に、取締役には一定の任期があります。任期が満了したら、その後も取締役に選任されるためには、「再任の決議」が必要です。

そこで、「任期満了」により再任せずに「退任」してもらう方法もあります。

任期満了による退任の場合には、取締役を解任する場合とは異なり、損害賠償請求されるおそれはありません。

5. まとめ

一旦は「取締役」として人選し、選任した以上は、その後、取締役を解任することは、文字通り「最終手段」でなければなりません。

まずは、自主的な退任を促して交渉を進め、辞任の意思がないことが明らかとなったとしても、任期満了による退任では間に合わないかを検討するようにしてください。

どうしても取締役の解任をする必要があるという結論に至った場合であっても、正当な理由のない解任は、任期期間中の報酬を基準として、損害賠償請求を受けるリスクがあります。また、その他にもさまざまなリスクが、取締役の解任には付随します。

取締役の早期の解任を検討している場合には、早めに企業法務を得意とする弁護士までご相談ください。

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