企業法務の法律知識について、弁護士がわかりやすく解説しています。
企業法務や経営にお悩みの方は、ぜひ参考にしてください。なお、危機的な状況に陥ってしまう前に、弁護士に相談したり、顧問弁護士をつけて対策したりするのがお勧めです。本解説は、その前知識として、ご活用ください。
企業法務
会社を経営するには、企業法務の知識は必須です。事前の予防法務を徹底しておくことで、将来のリスクを減らし、いざトラブルになったときの対応コストも少なくて済みます。企業法務で最も重要なのが会社法であり、この法律に定められた企業運営の基本的なルールを遵守するよう心がけてください。
契約書
企業の経営では、様々な契約書が登場します。社外の取引先とビジネスを開始するときに必要なのはもちろんのこと、社内でも従業員との間でも多くの契約が締結されます。これら契約書は、自社で作成することもできますが、書式やテンプレートを活用し、企業法務を得意とする弁護士のサポートを受けた方が、法的に有効で、適切な契約書とすることができます。
また、他社から契約書を提示された場面では、自社にとって不利でないか、リーガルチェックをすることは必須です。契約書は、将来トラブルが生じた際には証拠として機能する重要な書類であり、間違っても自社に不利な内容のないように慎重に調査しなければなりません。
人事労務
企業に生じる法律のトラブルは、対外的なトラブルだけではありません。社内の紛争もまた深刻であり、従業員との関係に目を向けなければ、思わぬリスクに足を引っ張られることとなります。社内における紛争の種は、「人事」と「労務」の2つの側面から対策を講じる必要があります。
企業の労働問題、つまり、人事労務の問題に関しても、予防法務を徹底しておけば回避することが可能です。
債権回収
取引先をはじめとした債務者が、定められた支払いを守らないと、見込んでいた売上の回収ができなくなります。そのため、債権回収は、企業の持続的な発展にとって不可欠です。
債権回収を成功させるには、期限を徒過する前兆が見えたら速やかに対処すること。危機的な段階に至る前の、平常時からの準備が、いざというときの債権回収の勝負を分けます。
M&A
事業売却のことをM&Aと呼びます。つまりは、企業を売ったり買ったりすることです。企業の売買では、大きな金額が動くため、事前のリーガルチェックは必須であり、デューデリジェンス(DD)と呼ばれる詳細な調査をします。売り手側、買い手側いずれの立場でも、M&Aの目的を確実に果たすには、十分な準備と、契約書のチェックが必要となり、弁護士の力は欠かせません。
M&Aには、弁護士だけでなく、会計士や税理士など、多くの専門家が関わります。
ベンチャー法務
スタートアップやベンチャーでは、起業当初から弁護士の必要性に気づく経営者はさほど多くはないかもしれません。売上拡大や資金調達などの「攻め」の経営に目がいきがちですが、法務による「守り」もおろそかにしてはいけません。
最低限の法令遵守もままならないままに事業を拡大すれば、小さなミスが取り返しのつかない損失を招くリスクがあります。
IT法務
情報通信技術やテクノロジーの進歩によって、IT法務という新たな法分野が注目されています。IT法務は、最先端のIT企業は当然ですが、インターネットの発展によって、それ以外の全ての企業にとって無視できない法律上のリスクとなっています。
最先端の技術を駆使した経営について、法律がまだ追いついていない部分も多く、経験豊富な弁護士のサポートを要します。
不動産
不動産に関する事業を営む会社、例えば、不動産売買、仲介、賃貸、管理などを事業とする企業では、不動産に関する法律知識が必要となります。不動産は価値が高いため、争いになると長期化しやすい性質があります。オフィスの賃貸などの面では、その他の会社の経営にも不動産が関わります。
会社破産
残念ながら経営がうまくいかず、業績が悪化してしまった場合でも、少しでも早期のリスタートのためには会社破産の機会を逃してはなりません。破産に関する正しい知識を理解することで、万が一の危機的な状況において傷口を広げすぎることなく、損失を最小限に抑えることができます。
知的財産
企業にとって、知的財産もまた重要な資産となることを忘れてはなりません。知的財産には、特許権、著作権、商標権といった複数の種類があり、各権利の種類ごとに法律上の扱いが異なります。いずれも、財産的な価値があり、企業経営の根幹となっていることもあるため、その侵害は大きな紛争を引き起こします。
知的財産は、今や大企業のみの問題ではなく、スタートアップやベンチャーでも当然に意識しなければならない重要な課題です。