会社破産

法人破産・会社破産のデメリットと、デメリットを回避して倒産する方法

業績が悪化し、倒産を考えざるを得ないタイミングで頭をよぎるのが「法人破産・会社破産のデメリット」ではないでしょうか。

テレビドラマや映画をみると、破産をする会社の社長は、債権者に怒鳴られたり殴られたり、夜逃げを余儀なくされてしまったりと、踏んだり蹴ったりの悲惨な状況がよく描かれています。しかし、これらのデメリットは、現実の法人破産・会社破産では起こりません。

少なくとも、適切な方法で進めていく限り、法人破産・会社破産のデメリットを最小限におさえ、できるだけ安全に会社を倒産させることができます。

破産は、裁判所で認められた再出発のための手続きであり、悪いことではありません。なんとなくのイメージで破産を不安視したり、過度に恐れたりするのではなく、デメリットについて正しく理解をしてください。

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事業を継続できない

法人破産・会社破産のデメリットの1つ目は「事業を継続できない」ことです。

法人破産・会社破産をおこない倒産してしまうと、当然ながら、会社の事業を継続することができなくなります。会社を創業し、経営努力を重ねてきた創業社長の場合、我が子を失うに等しい痛みを感じることでしょう。

また、二代目社長など事業承継をおこなった経営者であっても、「親からもらったものを台無しにしてしまった」という後ろめたさにかられることかと思います。

法人破産・会社破産が終了すると、法人は消滅し、事業は廃止されることとなる大きなデメリットを負います。ただし、一部の事業については利益があがっているようなケースでは、破産手続きの中で、その事業のみ切り出して他社に「事業譲渡」することもできます。

会社の財産・資産を失う

法人破産・会社破産のデメリットの2つ目は「会社の財産・資産を失う」ことです。

法人破産・会社破産によって会社を倒産させるときには、会社の財産・資産はすべて債務の支払にあてられます。法人名義の不動産(土地・建物など)、現預金だけでなく、機械や車両も失われます。そのため、会社の財産・資産をすべて失うこととなります。

法人破産・会社破産の場合には、個人の自己破産と違い、処分してもよい「自由財産」はなく、全ての財産が換価され、債務の弁済にあてられます。

あわせて、会社経営者(代表者など)が会社の債務を連帯保証しているときは、会社経営者(代表者など)個人の財産も失うこととなります。特に、個人で自宅などの財産を保有していて、破産をすると家族に影響を与えるようなケースでは、破産へ向かう意思表示が遅れてしまうことがあります。

しかし、いざ法人破産・会社破産を考えざるを得ないようなタイミングとなったとき、「自宅を守りたい」という思いが、無理な延命につながり、多くの人に迷惑をかける事態となることは避けなければなりません。自宅を残したまま整理をおこなう「個人再生」などの方法も検討に入れておいてください。

取引先の信用を失う

法人破産・会社破産のデメリットの3つ目は「取引先の信用を失う」ことです。

会社を破産させることとなると、支払わなければならなかった債務を免れることとなります。会社(法人)自体がなくなるのですから、当然です。

しかし、会社経営をうまく進めることができず業績を悪化させてしまい、会社を消滅させなければならなかったことは、取引先からの信用を失うことにつながります。会社経営者個人も破産した場合には、信用情報(いわゆる「ブラックリスト」)に記録され、5~7年間の間、あらたな借入を起こすことができません。

もっとも、既に債務を支払うことができない状態になっている場合、「取引先の信用を失う」というデメリットを必要以上におそれ、無理な延命を試みることは、逆効果なこともあります。

早く倒産させて再出発を図るべきところを、個人のクレジットカードでの借入を資金繰りに回したり、違法業者から借入を受けたり、手形を発行したり連帯保証人をお願いしたり、といったことをしていると、いざ法人破産をしたときに迷惑をかける範囲はますます拡大してしまいます。

今後の再出発において、「会社を倒産させてしまった」という過去が影響することはありますが、現在では金融機関の融資に頼ることなく、クラウドファンディングなど新しい資金調達の方法をとることもできます。

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従業員を解雇しなければならない

法人破産・会社破産のデメリットの4つ目は「従業員を解雇しなければならない」ことです。つまり、会社を動かす「ヒト、モノ、カネ」のうち、物的資産「モノ、カネ」だけでなく人的資産「ヒト」も失われるとういことです。

例外的に、破産管財事件の場合には、管財業務の遂行に必要な範囲で雇用を継続することができますが、破産手続きが終了するまでには全員解雇しなければなりません。

このとき、従業員の給与債権は、優先的に回収することが許されていますが、会社に残された財産・資産が少ない場合、給料すら支払い切れず未払となってしまうこともあります。

会社が倒産し、給与債権が未払いになってしまったときは、独立行政法人労働者健康安全機構の実施する「未払賃金立替払制度」によって、一部を行政に立替支払してもらうことができます。

経営者の責任を追及されることがある

法人破産・会社破産のデメリットの5つ目は「経営者の責任を追及されることがある」ことです。

原則としては、会社(法人)と代表者などの経営者個人とは、法的に別人格とされています。そのため、会社破産・法人破産をしたとしても、代表者などの経営者個人がその責任を負うことはありませんし、個人の財産がなくなることもありません。

しかし一方で、多くの中小企業では、代表者個人が、会社債務の連帯保証人となっています。代表者個人所有の不動産を、会社の事業用に利用していることも多くあります。したがって、会社の代表者個人もまた、倒産の責任を負うことがあります。この場合には、会社破産・個人破産と同時に、代表者など経営者個人も自己破産することになります。

ただし、次のような方法で、代表者個人の自己破産を免れることができます。

  • 会社債務について、一切連帯保証をしていない
  • 会社債務のうち、連帯保証している債務が少額であり、代表者個人の資産によって返済することが可能である
  • 会社債務のうち、連帯保証している債務について、任意整理(弁済計画のリスケジュール・利息の減額交渉など)をおこなうことができる

また、経営者は「経営判断の原則」というルールにより、経営の失敗を負わないのが原則ですが、あまりに非常識であったり奔放な経営をしていた場合、損失を与えた株主や第三者から損害賠償請求を受けるおそれがあります。

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連帯保証人に迷惑をかける

法人破産・会社破産のデメリットの6つ目は「連帯保証人に迷惑をかける」ことです。

既に解説をしたとおり、法人破産・会社破産がおこなわれると、会社債務を保証していた連帯保証人に請求がいくこととなります。そのため、会社代表者以外の人が連帯保証人となっていた場合には、その人に迷惑をかけることとなります。

代表者以外に、共同創業者、役員、従業員や、代表者の家族などが、会社債務の連帯保証人となっていることがあります。

しかし一方で、「連帯保証人に迷惑をかけないように」と考え、連帯保証がついている債務だけ弁済することはできません。これは、会社が支払い不能となったときには、債権者は平等に取り扱わなければならないからです。一部の債権者にのみ返済をした場合には、のちに破産管財人によってその弁済が否認されると、返金が必要となります。

倒産するための費用がかかる

法人破産・会社破産のデメリットの7つ目は「倒産するための費用がかかる」ことです。

法人破産・会社破産は、個人の自己破産と比べて、費用が多くかかることが一般的です。かかる費用には、裁判所に支払う費用(予納金・官報公告費・郵券代・印紙代)と弁護士に支払う費用(弁護士報酬)があります。

このうち、大きな金額になるのが、裁判所に支払う予納金と弁護士報酬です。ただし、東京地方裁判所などの一部の裁判所では、弁護士が申立代理人となり事前準備を適切におこなうことで「少額管財」という制度を利用することができます。「少額管財」の場合には、一般的には60万円程度かかる予納金を、最低20万円でおさめることができます。

事業が継続中に倒産の準備を進めることができる場合には、一旦支払を止めた上で、最後にあがってきた売上を原資として法人破産・会社破産の手続きを進めることができます。

会社に財産がある場合には、適正価格で売却をすることで、倒産にかかる費用を捻出することもできます。ただし、売却額が適正でない場合には、会社の財産を毀損したものとして、破産管財人の否認権の対象となってしまうこともあるため注意が必要です。

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倒産のデメリットを回避する方法

倒産のデメリットを列挙して説明をしましたが、しかしながら、デメリットがあるからといって法人破産・会社破産をためらった結果、適切なタイミングを逃してしまうことはお勧めできません。

法人破産・会社破産は、法律で認められた再出発の制度であって、悪いことではありません。デメリットは当然ながら存在しますが、デメリットを回避して、できる限り安全に倒産を進める方法を、弁護士が解説します。

倒産のデメリットを正しく理解する

倒産のデメリットを回避するための方法の1つ目は、「倒産のデメリットを正しく理解する」ことです。

法人破産・会社破産のデメリットをしっかりと理解せず、なんとなくの悪いイメージで恐れることはやめなければなりません。ここまで解説してきたとおり、法人破産・会社破産には当然デメリットはあるものの、その影響はごく限定的です。

倒産のデメリットの影響が、どれほど限定的なものかについては、ここまで説明してきた順に次のとおりです。

  • 【デメリット1】事業を継続できない
    →早期に判断して法人破産・会社破産を進めることにより、業績悪化の原因となった事業を停止し、次の事業を起こして再出発することができる
  • 【デメリット2】会社の財産・資産を失う
    →失うのは会社の財産・資産のみであり、限定的である上、会社の財産・資産により支払い切れなかった債務は法人破産・会社破産によって免責される
  • 【デメリット3】取引先の信用を失う
    →業績悪化させたまま事業を継続し、無理な資金繰りによって延命を試みた場合、かえって取引先の信用を失うこととなる
  • 【デメリット4】従業員を解雇しなければならない
    →早期に判断して法人破産・会社破産を進めることにより、未払いを継続したまま働かせることなく従業員を再出発させることができ、未払賃金立替払制度による救済を受けてもらえる
  • 【デメリット5】経営者の責任を追及されることがある
    →故意、重過失のない限り損害賠償請求を受けることはなく、連帯保証人などとなっている場合には同時に自己破産すれば免責される
  • 【デメリット6】連帯保証人に迷惑をかける
    →会社債務の連帯保証人は、会社と一定の関係性があることを前提としており、事前に十分に説明することにより理解を求めることができる
  • 【デメリット7】倒産するための費用がかかる
    →会社財産の売却、売掛金の回収、少額管財手続の利用、弁護士報酬・予納金の分割支払いなど、手持ち資金の少ない会社の倒産費用を捻出する多くの方法がある

このように、法人破産・会社破産のデメリットはいずれも、その影響を最小限におさえることができる反面、倒産のタイミングを逃すことは、ますますデメリットを大きくしてしまいます。

特に、もはや会社を継続していくことが難しいにもかかわらず、無理な融資、違法な業者のサポートを受けて会社を延命することは、ますます迷惑をかける人を増やし、信用を失うことにもつながります。会社内(法人内)に一切の現預金がなくなってしまえば、破産することすら難しく、夜逃げするしかない状況に追い込まれるおそれもあります。

倒産のメリットが大きいことを理解する

倒産のデメリットを回避するための方法の2つ目は、「倒産のメリットが大きいことを理解する」ことです。

弁護士がサポートする法的な手続きには、メリット・デメリットのいずれか一方しか存在しなようなものはありません。法人破産・会社破産についても同様でいずれも存在するものの、デメリットに比べてメリットが大きいケースが多いため、倒産を進めていく理由があるわけです。

法人破産・会社破産のメリットとして、最も大きいのは、当然ながら、「会社のすべての債務がなくなる」という点です。会社が消滅することから、法人税・保険料などの公的な支払についてもすべてゼロにすることができます。

また、一旦破産申立てをすることによって、申立て以降に取得した財産、申立て以降に起こした事業については、破産の影響を受けずに継続することができます。

弁護士に相談・依頼する

倒産のデメリットを回避するための方法の3つ目は、「弁護士に相談・依頼する」ことです。

デメリットを最小限におさえるためにも、倒産のメリット・デメリットを正しく認識する必要がありますが、このことには法的な知識が必要となります。会社や経営者個人では十分に理解できない法律知識を、会社破産に詳しい弁護士のアドバイスを受けて補うことができます。

法人破産・会社破産の手続きは、「申立て→破産管財人による換価処分→債権者集会」と進むこととなり、そのスケジュールは短くても半年、長いと1年以上かかることもあります。この間に、破産管財人と面談をおこなったり、裁判所で債権者集会において裁判官との面談をおこなったりといった手続きが必要です。

破産をおこなうにあたって裁判官や破産管財人から怒られたり、怒鳴られたりすることはありませんが、質問には適切な回答をする必要があり、とても大きなストレスに感じる方も少なくないです。

弁護士に相談し、申立ての代理を依頼すれば、弁護士がすべての手続きに同席し、アドバイスを受けながら進めることができます。

「弁護士法人浅野総合法律事務所」について

「会社破産」は、弁護士にお任せください!

今回は、会社破産・法人破産のデメリットについて解説しました。一般的に「破産」のイメージはとても悪く、そのデメリットは過大に評価をされがちです。

しかし一方で、会社破産・法人破産をおこなえば、会社の負債を消滅させることができ、会社経営者(代表者など)は再起を図ることができます。メリットがとても大きい分、デメリットも当然ながらありますが、そのリスクを最小限にする努力はできます。

むしろ、デメリットを過剰におそれるあまりに倒産のタイミングが遅れてしまうと、かえって負債を膨らませてしまったり、迷惑をかける第三者の範囲を拡大させてしまったりと、ますますデメリットが大きくなりがちです。

できる限りデメリットを最小限におさえ、安全に会社を倒産させるためにも、会社破産に詳しい弁護士に、ぜひお気軽に相談ください。

「会社破産と経営者の対応」の法律知識まとめ

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